東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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電流火花が体を走る

人造人間キカイダー』感想・第1-2話

◆第1話「恐怖のグレイサイキングは地獄の使者」◆ (監督:北村秀敏 脚本:伊上勝
 サブタイトルが……長い……!
 それから、戦闘員の武器が、薙刀
 長距離トラックを襲撃して、その恐るべき突進力を見せたサイの怪人が続いてダム破壊を目論むが、そこに響くメランコリックなギターの音色……
 「誰だ貴様?!」
 「ダークの恐ろしい野望を砕く為に来た男――」
 青いジーンズとジャケットの下に黄色いシャツ、そして真っ赤なギターを抱え、存在がおもちゃカラーの青年(これは、間接的な、「ロボット」の表現なのか……?)は高いところから怪人一同を見下ろすと、謎の組織ダークに堂々宣戦布告。
 サイ怪人が爆発的なパワーで大地を揺るがし、青年を吹っ飛ばしたかに思われたが、煙が晴れると立っていたのは、機械の脳を持つ男――。
 「おまえは誰だ?!」
 「正義の戦士、キカイダー!」
 ブーツの下からジェット噴射でちょっと浮く事によりロボット感をアピールしたキカイダーは、Aパート早々からOPに乗せて戦闘員と戦い始めると(特にホバー移動したりはしませんが)、千切っては投げ、千切っては投げ……
 「グレイサイキング、さらばだ!」
 サイ怪人を鮮やかに崖から投げ落とすと、サイドカーに乗って走り去った(笑)
 その後を気合いで追いかけたサイ怪人は何故かダークの秘密基地の上に辿り着き、あれこれ? いきなり基地に潜入されたのでは? と色めき立つダークの防犯体制が、初回からだいぶ不安を誘います。
 基地内部では、ダークに囚われて何事か働かされているらしい光明寺博士とその娘・ミツ子が、24時間ダークに監視されていると言いながら地下にこっそりと隠し部屋を作っており、そこで密かに開発を進めていた人造人間ジローが、いつの間にか抜け出していつの間にか戻ってきている驚愕の密室トリックが明かされて次元が三回転半ひねりを決め、開幕直後から激しく揺さぶりをかけられる視聴者の正気ゲージ。
 それはそれとして、シートを外すと満面のスマイルのジローが出てくるのは、非人間性の表現として好き。
 「博士、ミツ子さん、俺はダークご自慢のグレイサイキングと対等に、いや、それ以上に戦えます!」
 ……冒頭から何をしたいのかよくわからなかったジロー、腕試しに出かけていたのか(笑)
 ま、まあサイも、本命のダム攻撃の前にトラックで練習していたし、予行演習、大事。
 謎の秘密結社ダークの野望を打ち砕くべく、最後の配線をセットしてジローを完成させようとする博士だが、ダークの総帥、プロフェサー・ギルに、隠し部屋がバレたーーー。
 「戦え! 戦うんだジロー! 私に構うな!」
 光明寺博士は炎上した研究室を包む炎の影に消え、ミツ子を連れて脱出を図るジローだが、不気味な笛の音が響くと頭を抱えて苦しみ出してしまう。半ば錯乱状態に陥る大ピンチに耐えてなんとかバリケードを突破するジローに一体なにが起こったのか……キカイダーといえばこれ、という特性ですが、初回時点ではなんのことやら一切の説明無し。
 杖に仕込まれた笛を吹くも脱出阻止に失敗したギルの呼び声に応え、ダーク破壊部隊のシルエットが障子(障子……)をバックに浮かび上がると、色+動物、の名称を次々と名乗り、「ピンクタイガー!」弱そう。
 光明寺家に戻るジローとミツ子だが一足遅く、ダークの秘密を守る為、キカイダー抹殺を目論むダーク破壊部隊により、独り家に残っていた光明寺マサルがさらわれてしまう。
 地獄谷へ呼び出されたジローがサイドカーを囮にマサル救出に成功したかと思われたその時、超ド派手に吊り橋ごと吹っ飛ばされ、空中で、
 「チェンジ! スイッチオン! 1・2・3!」
 が初披露。
 ジローからキカイダーへと変身して少年を救うと、勝ち誇るサイの耳にギターの音色が響き、姿を見せたキカイダーは別にギターを弾いていないので、録音再生機能だった(笑)
 果たして光明寺博士は何を思い、キカイダーに5.1chサラウンドスピーカーを搭載したのか……主題歌インストに合わせてのクライマックスバトルとなり、次々と解体されていくダーク戦闘員(爆発により機械仕掛けと表現)。
 70年代の情緒漂う「バラせ」「殺せ」と共に飛び交う長刀を華麗にかわしたキカイダーは、いよいよサイキングと一騎打ちとなり、角がドリル強化する面白ギミックを見せたサイキングだが、キカイダーにつられてまんまと崖から落下すると、ダブルチョップ・大車輪投げ、そしてデンジエンドを受け、大爆……発はしないのであった。
 吊り橋や岩は景気よく吹き飛ばしたのに、肝心のサイは割と地味な爆発でパーツが地面に散らばり、やや拍子抜けを感じつつキカイダー大勝利。
 いつの間にやら姿を消したジローを探すミツ子とマサルが、サイドカーで走り去るジローの姿を見つけて呼びかける、一種の定型文的なラストにナレーションが重ねられて、つづく。
 ナレーション「謎の秘密結社・ダークと戦う為に生まれた、正義の戦士キカイダー! それを追う、ダーク破壊部隊との恐るべき死闘の日々が、これから始まるのだ。ゆけキカイダー! 戦え、赤いギターの青年ジロー!」
 とりあえず初回の限りでは、次作『01』ほど、ナレーションさんによる浸食は見られませんでした(笑)
 次回――ダーク破壊部隊の次なる刺客がジローに迫る!
 先頃亡くなられた渡辺宙明さんの作曲ですが、ED曲のインストアレンジによる次回予告の入りがメチャクチャ格好良くて、これだけで+5点ぐらい入る勢い。

◆第2話「怪奇グリーンマンティスは殺人鬼」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:伊上勝
 ヘリコプターから砲撃を受けるジローは死んだフリ作戦で反撃を行い、勝者に卑怯の二文字は無いのだ!
 「アンドロイドマン達だけに任せておくのか、ダーク破壊部隊!」
 挑発に応えて岩の中から現れたのは、巨大な鎌と触腕を持つグリーンマンティスで、ジローがスイッチオンして地上に立つと、目のスイッチが入るのがちょっと格好いい、と思った直後に、煽るだけ煽って、飛んで逃げたぞ。
 どうやら追跡部隊の目を引きつける為にわざと目立つ動きをしていたらしいジローは、ミツ子とマサルの潜んでいたあばら屋へと戻り、光明寺博士の行方を求めつつ3人で逃避行中、という事の模様。
 ジローの提案を受けたミツ子は、光明寺博士の親友、石神博士の元でかくまってもらおうと考えるが……激しい雷の鳴る夜、不気味な笛の音と共に石神電子工学研究所の壁に怪人のシルエットが浮かび上がる画はなかなか見応えがあり、光明寺博士に化けたグリーンマンティスによって殺害されてしまう石神博士。
 この際のやり取りで博士とミツ子は5年前から行方不明になっていた事が明らかになり、博士はともかくミツ子もマサルも物凄く強靱なメンタルに育った事が窺えて、それはこの程度の逃亡生活、どうって事はありません。
 石神博士の殺害を利用してミツ子とマサルを捕まえるダークであったが、コメディリリーフの自称名探偵・服部半平の介入もあってマサルの逃走を招き、今後の使われ方はわかりませんが、今回に関してはコメディリリーフがある程度、無理の無い範囲で物語の筋に関わる登場だったのは、良かった点。
 車のナンバーをメモって活用するぐらいの知性と、金銭に関してかなり執念深い性格、は表現できましたし。
 敵の武器を奪って使う関係で、すっかり薙刀使いみたいになっているジローは、ミツ子をさらった偽パトカーの屋根にダイブするが、その時、またもあの笛の音が響き渡る――!
 ナレーション「悪の組織ダーク、その首領である、プロフェッサー・ギルの命令によって作られた、アンドロイドは、プロフェッサー・ギルの笛によって凶暴になる」
 付けてて良かった忠誠回路!
 ナレーション「だが、密かに光明寺博士が組み入れた良心回路は、不完全ながら、人造人間ジローに、悪に抵抗する力を与えていた」
 それに対する正義の心の存在が明らかになり、そんな予感はしていましたが、ナレーションで全てさくっと解説されました(笑)
 ナレーション「ジローはスイッチオンによって、良心回路が完全に動き、正義の戦士キカイダーになるのだ!」
 決算前に発売してもらわないと困るんだよ! と安全性テスト終了前に出荷されてしまっていたキカイダーは、パトカーを持ち上げるとミツ子を救出して一時逃走し、ヒーローの行動として何もおかしくはないのですが、なにぶん2話で4回目の逃亡なので、“よく逃げるヒーロー”の印象が強く(笑)
 ダークは偽光明寺博士に次々と関係者を殺害させる事で光明寺博士を改めて社会的に抹殺しようともくろむが(押し出しのいい紳士である光明寺博士に冷酷な殺人鬼を演じさせるのは秀逸)、そこに先回りしたキカイダーが外道照身霊破光線を放つと正体見たりグリーンマンティス!
 そのまま室内で戦闘に突入し、おお、横ホバー移動した! そして更に、天井に張り付いた!(なお、特に意味はありませんでした)
 小道具を持って登場・乗り物はサイドカー・ロボット的な機能、と時期的に『仮面ライダー』と如何に差別化するか、への意識が窺え、野外での主題歌バトルに移って、この戦いを石神夫人に見せると、誤解が……解けるの?(笑)
 まあ、誤解されたままだと色々アレなので、解けるに越した事は無いのですが。
 「ダークの破壊部隊二人目ーーー!!」
 デンジエンドでマンティスを木っ端微塵にしたキカイダーは、首とか掲げそうな勢いで敵将討ち取ったりと勝ちどきを上げ、特にそういう認識にはなっていないと思うのですが、差し向けられる刺客を全て返り討ちにしてみせると抜け忍物みたいな薫りも漂わせつつ、今回も置いてかないでジローエンド。
 基本は、西部劇や股旅物の作法をそのまま持ち込んでいるのでしょうが、「去って行く」事により、特定の社会構造に属さず常に「外から来る」ものとしてヒーロー性(超人的神性)が強烈に発生する機能もあるのだろうな、と。
 次回――70年代に悪の組織に狙われがちな伊東温泉、早くも登場。