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戦わなければ生き残れない

 公式配信の始まった『仮面ライダー龍騎感想です。放映当時に視聴している事もあり、前後のシリーズ作品との関連性など、今の視点から個人的に気になる部分を中心とした、箇条書きのメモ形式となります(「名前」「ベルト」「異界(境界)」といった辺りが主な注目点になりそうかな、と)。『龍騎』本編のネタバレは勿論避けますが、前後のシリーズ作品の内容については触れる可能性があるので、ご留意下さい。

20年ぶりの『龍騎』メモ・第1-2話

(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第1話「境界」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子

  • パイロット版監督は、前作『アギト』に続き、田崎竜太が担当。この後、《平成ライダー》の“面倒くさいパイロット版職人”(ミラーワールドとか電車とか過去と未来の交錯とか)として名を馳せる事に。
  • 脚本は、この時点で『星獣戦隊ギンガマン』『未来戦隊タイムレンジャー』でメインライターを務めており、90年代後半~2010年代前半まで、東映ヒーロー作品に大きな足跡を残す事になる小林靖子
  • 鏡に映らない魔、というのは定番ですが、鏡にだけ映る蜘蛛の糸、はファーストインパクトとして面白い描写。
  • 怪物を追う男が闇の中にマントを広げるシルエットが浮かぶと、砕け散る鏡の映像からOPが流れ始め、イントロに合わせて3人の男女が歩いてくる入りは、改めて非常に格好いい。
  • 主人公は、独自のニュース配信を行うOREジャーナル編集長の後輩で、見習いとしてコネ入社した、強すぎる正義感が空回り気味のジャーナリスト志望・城戸真司。
  • 大きな騒ぎになっていないが、世間では謎の連続行方不明事件が起こっており、『クウガ』『アギト』の路線を継承して、スリラータッチ強め。
  • 正直、今見るとAパートは(モンスター周りの描写を除くと)退屈というか平凡というかな出来なのですが、田崎監督の演出意図も含めて、小林靖子の味が出ていないというより、井上敏樹っぽい事をしようとして上手く行っていないような印象。
  • 小林脚本に関してはこれ以降を知っているので、余計にそう見える、というのはあるでしょうが。
  • 行方不明になった人物が住んでいた、ガラス面というガラス面が新聞紙で覆われた不気味な部屋の中で、床に落ちていた四角いカードデッキを真司が拾ったその時――まるで内側から穴が開いたかのようにひしゃげたブラインドに気付き、そこから外に目をやると、向かいのビルの窓ガラスの中を泳ぐ真紅の龍が見える、という異常・気づき・そして異変、の連続は大変テンポが良く、開始12:30ぐらいでようやく面白さが出てきました。
  • 霊的であり魔的なものである「鏡」の“向こう側”にある「異界」の存在が繰り返し示され、カードデッキ(後の『電王』におけるパスケースと同質の存在といえます)を手にした事で、“向こう側”の気配に気付く真司は、ショートカットの少女に呼び止められる。
  • 「あなた……仮面ライダー、なの?」
  • 不思議な仮面の姿に変わって向こう側の世界に入り込んだ真司は、文字が反転した奇妙な空間で巨大な蜘蛛の化け物と遭遇。
  • 一方、その怪物を追っていたらしき黒いコートの男が、ビルのガラス面に向けてデッキを掲げると、〔鏡面の中にベルトが発生 → それが現実の男の腰にも巻き付く〕という流れから、デッキをベルトにはめて「変身!」
  • 仮面の戦士の姿となると、飛び込んだ“向こう側”に待機していたカプセル型のバイクに乗り込み…………轢いた!
  • 「驚いたな……まだモンスターと契約していないのか」「え?」
  • 剣の柄にカードを填め込むと、巨大コウモリから巨大なランスがパスされ、武器装備。
  • 真司ライダーも見よう見まねで左手の手甲にカードをはめると空から飾り気の無い剣が降ってきて……「うわ、折れた!」は、当時インパクト大でした(笑)
  • コウモリの騎士は更なるカードを読み込む事で巨大なコウモリ・ダークウイングと合体し、背中にマントを翻すと、天高く舞い上がってからのドリルマントキックで蜘蛛を撃破。
  • ところがそこに真司の見た真紅の龍が現れ、火球攻撃を受けながらひたすら走る2人で、つづく。

 第1話時点で明確にされる固有名詞は「仮面ライダー」と「ダークウイング」で、平成ライダー》3作目にして始めて、劇中のヒーローに「仮面ライダー」の呼び名が与えられる事に。
 また、次に出てくる固有名詞が「ダークウイング」である事に、今作における契約モンスターの扱いの大きさが窺えます。
 『クウガ』『アギト』と、主人公の初期状態はステゴロ、その後、フォームチェンジと専用武器が紐付けされる形式でしたが、主人公ヒーローが初回から装備品を使用したのは、《平成ライダー》3作目でこれまた初(主人公に限らなければ、『アギト』ではG3が初回から武装を使用)。
 装着型のG3を除き、『クウガ』『アギト』では、変身者の体内から生えてきたベルトは、「まず異界の側に発生する」中間的な手法となり、やや手間のかかるこの変身手法が今後も続くのか、留意事項。
 手間といえば、武装にカードを装填する一手間が加わる事になり、これは『ブレイド』にも継承。シリーズとしてはギミックはベルトに集約されるのが主流になっていきますが、《平成ライダー》における(ちょっと違いますが)「変身用アイテムを武器に差し込んで必殺技を発動する」はしり、となるでしょうか。
 それから、武装がカードについて淡々と読み上げる機能を持っており……まだ、静か。
 重要事項をまとめると、基本装備は、〔カード(デッキ)-ベルト-固有武器〕で1セット。ベルトは喋らないが、固有武器が喋る。まだ歌わない。ライダーの名前を叫んだりもしない。
 ベルトが変身者の体内から「生えてこない」点については、ちょっと余裕のある時に考えてみたいポイント。
 メタ的には、「死の世界」としての「水中」を繰り返し描いてきた『アギト』の次の作品が、「水面」の“向こう側”と“こちら側”を繋ぎ、行き来する物語というのは、偶然の産物かもしれませんが、面白いところです。

◆第2話「契約」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子

  • 異界では活動限界時間があり、超えて活動すると、死ぬ。
  • なんだかんだ「来た道を戻れ!」とアドバイスをくれるので、コウモリの騎士さんは、いい人かもしれません(笑)
  • 現実世界に戻ると、自動で変身解除。
  • 「カンザキシロウって……知ってる?」「ミラーワールドに居るモンスター」「あれは仮面ライダーナイト」と、固有名詞が続々登場。
  • ミラーワールドのモンスターは人間を餌にしており、龍のモンスターに目を付けられた真司は狙われる身となって、巻き込み方の継続は自然。そして、良かれと思って先輩を止めた結果、考え違いをがつんと思い知らされた真司は、遺された人々の悲しみの広がりを止めたいと、力に手を伸ばす。
  • 「モンスターと契約したら、もう後戻りできない。ずっと戦い続けるしかない」
  • 被害者の子供の姿を見た真司は、真実の一端を知る者として真実に辿り着く為に、龍と契約して赤いボディの仮面ライダーとなり、ミラーワールドのモンスター=「悪」の側の力、を制御する事で「仮面ライダー」になる構造。
  • 祭祀されていない神霊を「契約」の形で祭祀する事により、神霊のエネルギーをマイナスからプラスに転じる、といった捉え方も出来るでしょうか。
  • 龍の力を得た真司ライダーは青竜刀っぽい反り身の剣を召喚し、主人公ヒーローの武器としては、割とストレートに物騒。
  • トドメは必殺ドラゴン火球キック!
  • 契約モンスターは、倒したモンスターを吸収する事でより強く成長し、契約したら戦い続けるしかない=餌を与え続けないといけないって事なの?!
  • 龍騎か……今の内に潰しておいた方がよさそうだな」
  • そして、勝手に、名前つけられた(笑) 割と衝撃的。蓮も優衣に、「貴方は仮面ライダーナイト」とか勝手に付けられたのでしょうか。
  • 誰も知らない日常の裏側で、人々の命を守る為に戦う者たちが居る……的な割とよくある異能ものの展開をなぞっているかと思ったら、いきなり、先輩が、潰しに来た! で、つづく。

 日常/非日常、を鏡の外/中で表現していくのは映像としての説得力があって面白く、ヒロインがミラーワールドには入れない事で、必然的に「外からの視点」を提供する存在意義を出しているのは、上手い設計。
 OREジャーナルの描写を中心に(令子さんのきっつい正論で考えを改めるぼんくら新入社員の図とか、今日目線だとあまりどちらの好感度にも繋がりにくいような……とか)、時代の空気感、みたいなものに慣れるまで少し時間もかかりそうですが、感想としてのアプローチの仕方は、ぼちぼち模索していきたいと思います。