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燃えろドラゴンシーザー

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第43話

◆第43話「甦れ!獣奏剣」◆ (監督:坂本太郎 脚本:荒川稔久
 突如として送電線を破壊するシーザーがジュウレンジャーさえ攻撃し、躾が必要なようじゃのお! と守護獣を召喚したその時、地割れと共に地底から巨大な怪物・ドーラアンタイオスが出現。
 ドラゴンシーザーはいち早くその存在を感知していたのであり、この辺りまで映像が妙に円谷寄りなのですが、脚本の荒川さん(《ウルトラ》ファン)から熱心な働きかけでもあったのでしょうか(笑)
 しかしここは東映なので、
 今です兄貴! やっちまって下さい!
 いてまうぞこらぁぁぁ!!
 とヤクザムーヴにより、シーザーが羽交い締めにしたモンスターに守護獣の攻撃が次々突き刺さると、最後は久々のティラノソニック直撃により、パンドーラ会の構成員は爆発四散。
 戦い終わって大地に並ぶ守護獣たちに向け、へっへっへ、今回も親分さん達のお陰で大勝利でげす、とゲキ達が賛辞を送るいつにない画になり、守護獣とジュウレンジャーの関係は祈りの対象かと思えば使役の対象だったりハッキリしないところはあるのですが(個々の守護獣に関しては、信仰によって得られる験力の具現化とは捉えられますが)、これまでも身びいき的な感情は垣間見えたとはいえ、“一定の意識を持った”“相棒的存在としてのマシン(相当)に対する親愛の情”がハッキリ示されたのは、《スーパー戦隊》シリーズでは初でありましょうか。
 「巨大ロボのパーツとしてのスーパーメカ」「モチーフの明瞭な個人用メカ」そして「感情的繋がりを持った相棒」と、シリーズにおける合体メカの変遷、その位置づけに00年代以降への萌芽が見えて、興味深い点(当時、《勇者》シリーズが人気を博していたらしいので、その影響もあったのかもですが)。
 だがそれにより、ブライの不在を強く感じてしまったシーザーは水平線を見つめて黄昏れ、海に近づけば近づくほどゴジ○感が上昇して意味もなくドキドキするのですが、そんなシーザーに気付いたゲキが、笛の音と共に現れる。
 「これからは、この俺と一緒だ。……兄さんの事なんか、もう忘れるんだ!」
 …………デリカシーが、無い!!
 まあ、青春を戦場働きに費やしてきた恐竜人類に細やかな配慮ある言葉遣いを求めるのはあまりにもハードルが高くはあるのですが、傷心のシーザーは野山を彷徨うと花畑にブライの幻影を見、神の切り離した“思いやりの心”感が凄いですが、勿論この流れを計算に入れていたバンドーラ様は、シーザーの心の隙間に忍び込んで魔術により拘束してしまう。
 一方、街には爆発四散した筈のモンスターが再出現。
 ドーラアンタイオスは強化再生を繰り返し、戦えば戦うほど強くなるザラガス体質のモンスターであり、再戦を挑んだ大獣神はトゲトゲ攻撃に苦戦。
 「シーザー……!」
 赤は亡きブライの魂のこもったぴーひゃららひゃららーを吹き鳴らすがシーザーは現れず……ひとまずゴッドホーン召喚技で窮地を切り抜けたジュウレンジャーは、その傷口が再生強化された事で敵の能力を認識。
 拘束を受けながらもシーザーが懸命に近づいてきている事を知らぬまま、やむなく必殺剣でアンタイオスを両断するも、ダイノペディアを読みに帰る隙もなく、アンタイオスは強化復活。
 そこにようやく到着したシーザーが魔力による拘束を受けている事に気付いた赤は、ならば再生の核となっている心臓部を破壊するのみ! と思い切りよくアンタイオスの口の中に飛び込んでいき、今までで一番、戦士の狂気に溢れたアクションで素晴らしかったです!(笑)
 内蔵お約束の触手攻撃を受ける赤だが、拘束されながらも獣奏剣を吹き鳴らし、その音色は地面に倒れたシーザーの耳にも響く……。
 「シーザー……頑張れ、頑張るんだ! 確かに兄さんはもう居ない。だが兄さんは決し死んではいない筈だ! おまえの心の中に、そして俺の心の中に、兄さんは今でも生きている! そして悪を倒せと叫んでる! だから俺は戦う! 全てを忘れて、平和な時が来る日まで戦う!」
 悪を許さぬブライの魂は今も生き続けている! いや、生き続ける為にこそ、生きている自分たちが悪と戦い続けなければいけないのだ! そしてそれこそが、ブライが生きていた事の証明なのだ!!
 シーザーへの言葉は、デリカシーが無いのではなく(いや、それもあるとは思いますが……)、ゲキなりに前を向こうとする強い意志の現れだったとされ、ゲキがブライの死をどう消化しようとしているのかを、シーザーと絡めつつ1話使って描いてくれたのは良かったところ。
 二刀を構えた赤が、受け継いだブライの魂の象徴として黄金アーマーを装着すると共に挿入歌が流れ始め、立ち上がったシーザーは、拘束を破壊。
 「そんな……そんな馬鹿な!」
 ブライが伝えたもの、遺したものがバンドーラ様の計算さえ超えて、尻尾ドリルの一撃がアンタイオスに突き刺さると、赤は心臓部と一緒に外へと転がり出す。
 「俺は……俺は負けない! 兄さん、俺に力を貸してくれ!」
 ティラノレンジャーが光をまとった二刀流で心臓を破壊し、再生強化能力を失ったアンタイオスに究極パニッシャーが火を噴いて、大勝利。
 ナレーション「ブライを失った悲しみを乗り越えて、ゲキとシーザーは、明日への戦いの為に心を一つにした。頑張れ、ドラゴンシーザー。戦え、恐竜戦隊ジュウレンジャー
 驚きのドラゴンシーザー回でしたが、ブライの死を強く悼む者の代表としてゲキとシーザーに焦点を絞り、悲しみを背負って戦わなくてはいけない理由を、若い頃から戦場働きを続けてきた恐竜人類らしく巧くまとめたエピソードでした。
 次回――ゴウシに春?