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七つの顔のプリンセス

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第38話

◆第38話「メイ姫七変化!!」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒川稔久
 色々と見所があって、どこから触れるか悩ましいエピソードなのですが、正統派女性戦士コスプレ回のクライマックスが、巨大蚕を躊躇無く握り潰そうとするだったのが、恐竜人類の面目躍如でありました。
 ドーラ蚕を用いて子供達を次々と毒牙にかける「サングラスの女」――その正体はラミィ――と激突するジュウレンジャーだが、蚕の絹糸攻撃でバックラーを封じられて変身不能となったメイは、アッパーの一撃でジェットコースターの座席に放り込まれてしまう。
 残った男衆も同様の攻撃で巨大なドラム缶もとい繭玉の中にまとめて閉じ込められてしまい、
 「地獄があんた達を待ってるわ。……やれ!」
 の後に、荒海が映されるので、え、まさか……と思ったら、崖から海に落とされました(笑)
 二話連続で崖ダイブする羽目になった男達を繭玉ごと海に沈めたラミィは活動を再開するが、その邪魔をするピエロを強引にふりほどくと、宙にばらまかれたチラシに描かれていたのはラミィの顔、と気付いた瞬間、チラシを矢が貫くのが格好いい。
 「おまえは!」
 「たとえ変身できなくても、私は戦う! 最後まで、絶対に諦めないわ!」
 軽快な音楽と共に銃士風の衣装に身を包んだメイが現れると細身の剣を構え、コスプレ回に必要なのは、「無理が通れば道理が引っ込む」の精神です!
 男衆の入った繭玉が海岸に流れ着き、内部の4人が必死にサンダースリンガーを連射していた頃、メイの襲撃を受けて一時退散したラミィは婦人警官に変装して作戦を続行していたが、そこに立ちはだかるのは伊達メガネをかけてチャイナ服に身を包んだちゅうかなメイ。
 更に、セーラーメイvs老婆ラミィ@仕込み杖、銃士メイvs男装ラミィ、と続き、当時アイドル路線で人気を博していた《不思議コメディ》シリーズの影響も感じさせつつ、女性戦士コスプレ回に東映名物(?)七変化対決を複合し、
 「ある時はサングラスの女、ある時は婦人警官、ある時は老婆、ある時は山高帽の紳士、そしてその正体は――秘密捜査官・ラミィぃぃ! そしておまえは?」
 「ある時はピエロ、ある時は仮面の銃士、ある時は中華料理屋の看板、そしてまたある時は女子高生、ある時はシスター、そしてその正体は……ふふふははははは、リシヤ族のプリンセス・メイ。そしてその実態は! ――プテラレンジャー!」
 ただ衣装チェンジさせるだけではなく、アクションも見栄えする工夫があったのが良かったところ。
 シスターメイ、そしてウェディングメイからブーケの一撃を叩きつけ、遂にドーラ蚕を鷲掴みにメイはそのまま握り潰そうとするが、寸前、蚕が人間大に巨大化したドーラシルキス完全体へと成長してしまい、絹糸に囚われて絶体絶命の危機に。
 「ははははははは! 他の奴らも今頃、繭の中で窒息死してるかもね? さーて、どうやってトドメを刺そうかしら? 頭を真っ二つにしてほしい? ……やっぱり心臓を狙ってあげる。その可愛い顔が、痛みで醜く歪むのが見たいからね!」
 今回はラミィ回でもあるという事で、ちょっぴり台詞回しに可愛げを出したラミィさんの放ったブーメランソードがメイを貫く直前、飛んできた錫杖がそれを打ち落とし、根性で繭玉から脱出した男衆まで笠を被った墨染めコスプレで登場する特盛りのサービスで、ダイノバックラー!
 早々に巨大化された蚕は操り能力を発動して子供達がバンドーラの忠実な兵士として活動を始めるが、侵略作戦は二の次のエピソードなので特にジュウレンジャーの障害となる事はなく、キノコ大獣神の必殺エンパイアアタックで、ドーラ蚕は消滅。
 子供たちは正気に戻り、ゲキたちが小学生カップルを仲直りさせて、大団円。
 最後はナレーションに合わせてメイの各種衣装を連続で見せた後、皆で青春ジャンプ! でつづく。
 構成として特筆するような出来でもないが順当にまとまった正調コスプレ回で、後年の作品ほど“煩悩とテクニックの高度な融合”が発揮されてはいないものの、《スーパー戦隊》参加2作目にして、既に荒川さんが立ち位置を確立していたのが見て取れます(笑)
 次回――妙に曽田戦隊っぽい予告。