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さくっとジュウレンジャー

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第23話

◆第23話「好きすき超魔球」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升
 「くやしーっ! 大獣神は生き返るし、ブライはジュウレンジャーの味方になっちまうし、ドラゴンシーザーまで現れて、敵は、増える一方じゃないか!」
 怒り心頭のバンドーラ様、バルコニーの片隅ではゴールデン夫婦が仲睦まじくいちゃいちゃしており、役に立たない幹部が増える一方じゃないか!
 だが、そこから妙計を閃いたバンドーラ様は、プリプリカンに命じてドーラピクシーを誕生させ、完全な着ぐるみではなく、子供が野球のユニフォームとグローブをアレンジした鎧兜を身につけているのが、なかなか面白いデザイン。
 ……若干のシャドウロボット(『キカイダー01』)感はありますが、全力で目をつぶる方向で。
 地球に降り立ったピクシーは、飲み込んだ者が最初に目にしたもの――それが人間であれ物質であれ――と盲目的な恋に落ちてしまう魔球・惚れ薬を次々と子供達に投げつけ、巻き起こる大騒動。
 ジュウレンジャーもダンとボーイが魔球を飲み込んで使い物にならなくなり、一旦アジトに退却して情報収集。ピクシーの角を折れば惚れ魔球の効果が消えると明らかになり、東映ヒーロー名物・殴れば解決ではなく、状態異常回復に一つプロセスを挟んでくれたのは、細かく良かったポイント。
 一方、好きな女の子につい意地悪をしてしまう思春期の入り口な小学生男子・次郎が惚れ魔球騒動を見つめ、あれを憧れの里子ちゃんに飲ませれば、自分に告白させる事が出来るのでは……と下衆丸出しの発想で、ピクシーから惚れ魔球ボールを奪い取ると、里子ちゃんに惚れボールを飲む事を強要しながら迫り、坂本演出が浦沢脚本。
 役に立たないダンとボーイを牢屋(さらっとアジトに常備)に閉じ込め、ピクシーの角を折ろうと再出撃したジュウレンジャーだが、今度はゴウシがリタイア。この隙を逃さず巨大ゴールデン夫婦が地上へ送り込まれ、メイにピクシーへの対処を任せた赤が単独ティラノで立ち向かう事になる思わぬ苦境に追い込まれ、激動の跡目争い編が続いて忘れていたけど、そういえば基本的にジュウレンジャーは苦戦傾向なのだった……と、独房で体育座りしているブライの存在感を出すのは、上手い流れに。
 惚れボールをピクシーに奪い返された次郎少年は、里子ちゃんの窮地を救っていいところを見せると、メイが追いかけるピクシーの確保を手伝って変態行為を精算。今回の割と被害者(惚れ魔球効果で大量の少年少女に追い回される羽目に)だった里子ちゃんがかなりアグレッシブにピクシーへと掴みかかるのは面白く、二人がピクシーの動きを止めたところで、メイがピクシーの角を叩き折る!
 素手で!
 夏仕様でショートパンツに衣替えしたメイ(男性陣は特に変わっていない感)が、恐竜人類のプリンセスは伊達ではないところを見せつけると、惚れボールが吐き出され、全員正常に。
 ところが、角を折られて苦悶するピクシーが鬼面と化して巨大化すると大量の惚れガスを地上にばらまき、今度はメイが戦線離脱してしまう。
 ティラノは黄金夫婦の相手で手一杯、正気に戻った黒青黄の守護獣はピクシーに苦戦し、頼みの綱の大獣神プテラ不在で合体不能の大ピンチだがその時――
 「ここから出れば、俺の命はどんどん減っていく。しかし……行くしか無い!」
 弟たちのピンチに、自らの命を天秤に乗せて飛び出していくブライの行動が否が応でもヒロイックになる仕掛けで(またそこに、復活直後の行動から「贖罪」の意識が燃料を加えるのが鮮やか)、
 ぴーひょろろーひょろろー!
 ぴぴぴーひょろーひょろろー!
 ぴぴぴーひょろーひょろろー!
 響き渡る笛の音とともにドラゴンシーザーが出現すると黄金夫婦にミサイルを浴びせ、その隙を突いて地上に降りた赤は、合体・ドラゴンミッション!
 そのコールを受けて剛龍神が誕生すると赤が改めてコックピットに乗り込み……ちょっと、面倒くさい仕様だった。
 あれ俺、今回はセンターじゃなかったの……? と、内心では血統による格差に疑問を感じ……そういえばゲキ、貴様には王家の血が流れていないようだな……? と、次なる叛乱の種がゴウシの中に芽吹いているのかどうかはわかりませんが、合体コールさえ外側からされる立場の黒青黄は、ちょっぴり可哀想。
 意外と軽快に動く剛龍神は格闘による立ち回りを見せると、ドリルの回転力でピクシーガスを跳ね返し、トドメは超爆裂・龍神突きによりピクシーの土手っ腹に風穴を空け、デビュー戦を勝利で飾る。
 兄さんは正直、高いところに立って格好つけながら弟を見守っている余裕は無いと思うのですが、復讐鬼から一転、父兄参観ポジションになると、肝心の説明は無しに再び姿を消すのであった。
 跡目争いに決着が付いた後の一本目、ブライの立ち位置と、剛龍神の合体・活躍をスムーズに見せる事が主眼にされ、後半にメイを離脱させる為に、ダン・ボーイ・ゴウシを状態異常で戦闘不能に陥らせて全体のバランスを取ったのは、なかなか上手い組み立てでした。
 主人公特性で難を逃れたゲキには、いずれどこかで酷い目に遭ってもらいたいです(笑)
 ……まあ、きつい目にはよく遭っているのですが。
 次郎と里子はまんざらでもない感じになって、それを見送るジュウレンジャーで、つづく。