『仮面ライダーエグゼイド』感想・第９話
◆第９話「Dragonをぶっとばせ！」◆ （監督：諸田敏 脚本：高橋悠也）
「先生って、本当にあいつの命の恩人？」
ＣＲの最高責任者である衛生省の審議官・日向恭太郎は、永夢の命の恩人。だがその日向がグラファイトに襲われ、ゲーム病に感染してしまう。
「必ず救います。……今度は僕が、先生を」
いつも以上に強い決意を持って治療にあたろうとする永夢だが、飛彩がさっそくオペを強行し、先日ここで戦うなと言われたばかりのような……と思ったら、バグスターウィルが空を舞うドラゴンとして実体化するやゲームエリアを展開し、学習……と思ったら、即座にグラファイトに乱入を許すので、逆の意味で、学習……。
バグスターの特性としてどうにもならない、と割り切っているかもしれませんが、ゲームエリアを展開した途端に敵性戦力に侵入され放題なの、手術環境としては致命傷すぎて、求む、ファイアウォール！
作劇としては非常に便利なのですが、それが上手く劇中設定として整合性が取られているかというと、どちらかといえばＣＲのザルの目を大きくしていくばかりなのが苦しい。
ちなみに、「おまえＣＲに席ねーから」でお馴染み九条は前々回の今回でさっくりと処置室にまで侵入を果たしており、求む、壁からレーザー！（※＜レスキューポリス＞時空標準装備）
「俺の目的は、バグスターの仲間を増やし、バグスターの軍団を築き上げること！ 新たな我が力を、思い知るがいい！」
『モン○ン』……ならぬ『ドラハン』の力により、漆黒の姿に培養されるラファイトだが、もちろん社長の計画通り。最近露骨に態度が悪い契約社員のグラファイトにプロトガシャットを持ち出させた社長の狙いは、強大なプロトグラファイトとの戦いを通して、新たな金色のガシャットの実戦データを集め、計画第一段階を完了に導く事。
思惑通りにエグゼイドとブレイブが敗北したＣＲを絶妙のタイミングで訪れた社長は、二人の前で未完成のＬＶ５ガシャットをひらひらとさせ、その完成の為に、ドラゴンバグスターの撃破データを入手する必要がある、とニンジンをぶら下げる。
恩人を助けたいと意固地になる永夢が、飛彩と衝突すると社長の手からガシャットをかっさらう一方、飛彩は永夢が「適合者」という言葉を知らなかった事に疑問を覚え、九条は永夢の手術歴を調べ……浮上した大きなミステリに対して、キャラクターがそれぞれの立場から近づいていくのは面白い構成（複数主観の醍醐味！）なのですが、肝心のミステリが、今まで誰も気にしなかった事の方がミステリな為、パッチを当てたら序盤のシナリオが変わった、みたいな事に。
飛彩の口からは、適合者手術とは、少量のバグスターウィルスを体内に注入する事で抗体を作り出すワクチン接種のようなものと語られ、監察医の立場を利用して九条が辿り着いた永夢の手術歴は、１６年前の一度きり――その執刀医は、日向恭太郎。
日向にストレスを与えると同時にバグスターの増殖をもくろむグラファイトは、市街地で大量のバグスターウィルスをばらまき、巻き起こるゲーム病パンデミック！
「未知のウィルスの恐怖に、おののくがいい」
エグゼイド、ブレイブ、スナイプ、グラファイト、ドラゴンバグスターが入り乱れる激戦となり、「先生を救うのは、俺じゃなきゃ！」と恩人にして憧れの人である日向に対し、私情を爆発させるエグゼイドはブレイブから伝説のメスを奪い取ると、鮮やかな二刀流でドラゴンバグスターの撃破に成功。
首尾良く吸収したデータでＬＶ５ガシャットを完成させると、さっそく使用して大・大・大・大・大変身！ し、実によく、プロップを放り投げる作品です。
引き続きアーマー路線となってレベルアップしたエグゼイドはドラゴンアーマーを身につけるが、大・大・大・大・大暴走して周囲に爆炎をまき散らし、グラファイトのドドド剣を浴びながらもクロスカウンター気味の一撃で大きなダメージを与えるが、エグゼイド自身も強制的に変身解除されてしまうのだった、でつづく。
ライダーゲージが０になると変身者が死亡すると語られている今作、以前の大事故回のようにそこにキャラクターの「選択と葛藤」を配置している以上、従来的な変身解除描写とは大変相性が悪く――ダメージで強制変身解除されるなら、ライダーゲージが一定数値以下になったら強制変身解除するセキュリティを何故組み込んでいないのか……となってしまうので……まあ、作った人が檀社長だから……で説明つくといえばつくにしても――、一度に大きなダメージを受けると変身が維持できなくなるが、こつこつ削られる分には０まで戦える、みたいな差なのかもしれませんが、そこは作りが甘いともいえますし、演出側でもう少し描写に注意を払ってほしいところではあります。
