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えらく格好いいサブタイトル

仮面ライダーエグゼイド』感想・第8話

◆第8話「男たちよ、Fly high!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也
 「娘さんの事以外で、なにかストレスを感じてる事ありませんか?」
 ゲーム病で前回から引き続き入院中の工場主・岡田に向けて、娘がストレスと言い放つのが開始早々クライマックスですが、永夢先生の本質は“治療対象”とみなした存在の「治療の為なら周囲のあらゆるものを利用する」患者絶対治すマシーンであって、「お人好し」とか「正直者」とか「患者と向き合おうとしている」とか、そういう生やさしい存在ではないような気がしてなりません。
 岡田娘の話を聞いたポピ子が、気にしているのは工場経営の事では? とこちらもズケズケ問いかけて珍しく別行動で役に立つが、直後、飛行ブリキバグスターにより、岡田の工場が爆撃されてしまう。
 バグスターの匂いを嗅ぎつける、ライダー前髪センサーでいち早く現場へ到着したスナイプは、武器をスナイパーライフルモードにして飛行ブリキの撃墜に成功すると、Aパートで早くも新ガシャット入手。
 「患者を救いたければ俺と勝負しろ」
 素体状態となったバグスター(またさらっと新設定が出ていますが、とにかく誰もツッコまない)を人質に取ると、ガシャットを賭けた勝負を持ちかけてくる斜め上の行動で、Fly high!
 「花家大我も堕ちるところまで堕ちたな……奴は5年前のゼロ・ディの事を……小姫を死なせた事を全く反省していない!」
 そういう飛彩先生が、数話前に手術を途中離脱して目の前の患者を見捨てようとしていた玉突き衝突で花火工場大爆発が引き起こされているのですが、スタッフの中でどういう理路で消化されているのか気になるレベル。
 前髪枠の挑戦を受けてやる、と憤る飛彩を院長が一喝し、ここまでずっと権力に媚びへつらう小物街道を驀進していた院長(正直あまり好きな使い方ではなく)が父として先人として貫禄を見せるのかと思いきや、説教は途中から私利私欲ダダ漏れになり、飛彩には放置プレイを受け……まあ急に立派なメンター化するより、これで良かったか(笑)
 工場が爆撃された事をあえて岡田に伝えた永夢は、翌日、半壊した工場へ岡田を連れて行くと、残された社員たちが工場を再稼働しようと奮闘する姿を見せる。
 本当に岡田のストレスになっていたのは経営難の工場を存続できるかどうかではなく、それに伴う社員たちの生活の事だったのでは、と指摘すると岡田はそれを認め、社員一同に娘も揃って、みんな納得して頑張る気だからいいと思います、と何となくいい雰囲気で処理して、永夢と飛彩は大我の元へ。
 「逃げずに来た事を褒めてやろう」
 「誤解しないで下さい! 僕は患者を救いに来たんです」
 「おまえに、仮面ライダーの資格はない」
 「…………全てのガシャットの力を手に入れるのは、この俺だ。さあ、ゲームを始めようぜ」
 ここまで“ガシャットに取り憑かれた男”にして“戦闘(ゲーム)狂”と描かれている大我、「一人で充分なんだ…………この俺一人で」といった思わせぶりな台詞の数々など、自発的な悪役ロールにしか見えないのですが、むしろこれで本当に社会不適格者だった方が意表を突かれるレベル(笑)
 実際どうなのか……までを見る前に本放送時はリタイアしてしまったので、今回の楽しみの一つです。
 永夢・飛彩・大我が一斉に変身する一方、檀黎人を呼び出した九条も雪辱戦を挑んで二つのライダーバトルが同時展開し、早々にバグスターを倒した上で続く戦闘の理由付けとし、パターンに一ひねりを入れつつ後半のライダーバトルにクライマックスにふさわしい意味づけを与えたのは、面白い構成でした。
 「医師免許の無い俺に、人を救う義務も責任もない。――お医者さんごっこなら病院でやってろ」
 小銃に見立てた握り方が格好いいポーズから、スナイプは新たなガシャットを起動してジェットスナイプへとレベルアップし、酸素マスクを身につけた顔が、また、絶妙に格好悪い……アーマー路線のLV3ですが、個人的に一番格好いいと思うのは、自転車エグゼイド。
 ジェットスナイプが空中からド派手に機銃を掃射すると、エグゼイドとブレイブもレベルアップしてLV3同士による激しい戦いが展開するや否や、ブレイブさん、あっという間に地面に這いつくばってDJガシャットを奪われる(笑)
 「仮面ライダーは俺一人で十分だ」
 某アギトみたいな事を言い出したスナイプは、故意に解放した人質のバグスターに気を取られたエグゼイドの背中にジェットクリティカルを叩き込み、空中からの弾雨に飲み込まれるエグゼイド、躊躇無く、バグスターを、盾に!
 バグスターは消し飛んで結果的に治療は成功となるが、大ダメージを受けて地面に転がったエグゼイドは、まんまと激突ガシャットをスナイプに奪われてしまう。
 一方、レーザーとゲンムも互いの決め技を放つが、お互いに決定打を欠き、戦闘を終了。
 「ゲンムの社長が、なんでこんな真似してんだ……」
 「君と同じさ。……バグスターがこの世に生まれた原因を、突き止める為だ。その為に私は、ゲーマドライバーと、ライダーガシャットを開発した」
 地面に倒れた永夢は、花家の背へ向けて叫ぶ。
 「……ガシャットは、あなたの快楽の為にあるんじゃない。患者を救うためのものだ!」
 「なにもわかってねぇようだな。ゲーマドライバーの適合者となって、ライダーガシャットを使い続けることの真の意味を」
 花家は、説明書を読んでいない二人に向けて思わせぶりに呟き……
 「ゲーマドライバーを使用するためには、適合手術を受けなければならない事は知ってるだろ。現に君も、私も、その手術を受け、仮面ライダーとなった」
 ここまで何度か会話に出てきた「適合者」とは、まさしく改造人間であったとシリーズの本歌取りがストレートに持ち込まれ……大森P作品の傾向として、こういったシリーズテーゼの取り込みに際して「仮面ライダー」がメタ前提になりすぎて、作り手サイドの描いているつもりの情報と、受け手に伝わっている情報のズレが物語が進むにつれて大きくなりすぎるところがありますが、巧いバランスに収まってほしい部分。
 「どうやら一人だけ、適合手術を受けずに仮面ライダーに変身できた者が居るようだ。不思議だと思わないか?」
 「…………ほうじょう、えむ……」
 檀社長の、僕らバグスターの謎を追うむしろ似たスタンスじゃないかな、と友情を匂わせてからの流れるような三面記事トークにすっかり惑わされた九条は、その名を口にし……スナイプに完敗した永夢は、立ち去る花家を追う事も出来ぬまま、愕然と呟く。
 「…………真の意味って、適合者になるって、なんのことだ……?」
 勿論――一部人類の夢・二次元に行けるようになるのさ宝生永夢ぅぅーーー!!
 男たちよ、二次元にFly high!
 衛生省の野望が明らかになる中、ライダー適合者=改造人間であるが、永夢は手術を受けていない筈だし本人にも自覚は無い、という大きな謎が浮上し………………そうすると第1話の言行からして、ポピ子は(さすがに適合手術について知らないのは無理があるので)「天才ゲーマー・Mは適合手術を受けているに違いない、と思うに至る理由を持っていた」事になるわけですが、果たして、この巨大な地雷は無事に処理する事が出来るのか。
 社長不在の間に、プロトガシャットをこっそり拝借したグラファイトが新たな力を手に入れて、つづく。