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CRには近づくな

仮面ライダーエグゼイド』感想・第6話

◆第6話「鼓動を刻め in the heart!」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
 音大のキャンパスを白衣とナース服でうろつく飛彩・永夢・ポピ子、衛生省は治外法権なので不審者ではありません!
 前回倒したブリキのバグスターの行動から、バグスターがストレス発散ロケットパンチを放とうとした人物がここに居る! と恐るべき記憶力で構内を徘徊する永夢は問題の男性を発見するが、その恋人とおぼしき女性がゲーム病を発症。
 ライダー適合者を利用してなにやら「実験」を行っているパラド&檀とは別に、全人類を乗っ取り世界の支配者になる為に仲間を増やそうとするグラファイトは、女性にロボットバトルと音ゲー、二つのガシャットからバグスターウィルスを感染させたと説明すると、前回と同じく、謎の武装と「培養」のキーワードで、人間の姿から鳥怪人の姿へと変貌。
 今作序盤のノりにくい要因として、ガシャットとバグスターが紐付けされている理由がわからない・バグスターを倒すと「ゲームクリア」とされるのもよくわからない点があるのですが、そこだけ考えるとむしろガシャットが元凶というか、呪いのアイテムを敢えて解放した上で再封印を施しているように見える、のですが、劇中人物の誰もそういった情報を検討も整理もしてくれない為に、そもそもそれが「謎」なのかがわからないのが、困ったところ。
 視聴者目線だと不可解な事物がかなり多いのですが、その中のどれが劇中人物にとっては当たり前の情報で、どれが劇中人物にとっても未知の謎なのか、の区別がつきにくく、そのくせ知っていて当然だろうと思われる情報が、「驚きの真実」みたいに飛び出してくるので、面食らいます。
 音ゲー生まれのDJバグスターに対し、音ゲーを理解できないブレイブが今日も悶絶ダメージを受けるのは、「ゲームの理屈」と「怪人バトル」の融合としては面白かった一方、自ら仮面ライダーになった筈の鏡先生が、そもそもゲーム病のオペについてよく理解していないのではないか……という疑念が回を追うごとに大きくなり、だから、読もう、説明書!
 鏡先生、登場当初は「描写を失敗したエリートライバル」かと思っていたのですが、その後のブレイブ連戦連敗と本人の支離滅裂な言行を見ていると、「登板2回目でプロの壁にぶちあたった大型ルーキー」のような気がしてきて……そろそろ、自分を探しにTADDLE QUEST(ガシャット起動音としては、今のところこれが一番好き)しそう。
 「5年前の借りを返してやる」
 鏡先生が、何故か空っぽになったみたい~の危機に陥る中、グラファイトを狙うスナイプが乱入し、その間にブレイブとエグゼイドがレベルアップ……の背後で、ちょっと所在なげに立って明らかに関係ない方を見ているポッピーが画面に入ってますね……。
 サポート要員の後方棒立ち具合は、いつかストーリー的に大事故を起こしそうな気がしてドキドキします(映像的には今回、完全に失敗していますが、どうしてそのまま通してしまったのか)。
 グラファイトは激突エグゼイドと互角の戦いを見せ、それをじっと見ていた檀社長、初めての「変身」。クロゼイド改め仮面ライダーゲンムが介入すると即座に全員撤収し、完全に、変身を見せる為だけの登場でした。
 グラファイトがおまえの恋人の仇だ」
 5年前――当時CRの仮面ライダーだったスナイプが敗北した事により、ゲーム病に感染していた飛彩の恋人、小姫(さき)が消滅し、グラファイトが実体化(時折、ノイズが走る描写があるのは、なにやら意味がありそう)。
 「だから飛彩は、仮面ライダーになる決意をした」
 飛彩と大我、そしてグラファイトを巡る過去の因縁が明らかになり、当時、恋人との間にすれ違いの生じていた飛彩は、それでも復讐の為にグラファイトへと斬りかかる。
 「哀れだな……今でも覚えてるぞ、5年前消滅したあの女の気持ちを」
 あ……やぱりシンクロするものだったのですね、乙女心。
 グラファイトに挑発され、本日もゲームオーバー寸前に陥るブレイブだったが、激突エグゼイドが咄嗟にカバーリング。変身を解いた永夢から、恋人の夢を応援する為に自分の病気を隠す女性の気持ちを伝えられ、過去の飛彩×小姫カップルと、現在のゲーム病患者カップルの状況を重ねる事で要素を圧縮しつつ、患者に寄り添おうとする永夢の姿勢が、飛彩のわだかまりを解き放つのは、忙しいなりに上手くまとまりました。
 「……――俺に切れないものはない」
 再起動したブレイブは、改めてバグスター切除手術の開始を宣言し、数秒前に雑にグラファイトに投げつけた伝説のメスが何故か手元に戻っているのは、深く考えない方が良さそうでしょうか(笑)
 森のステージを展開したブレイブは、スライディング凍結斬りでDJバグスターを撃破すると、入手したガシャットを起動する事で黄色いアーマーを身にまとい、DJブレイブにレベルアップ!
 秘拳・イマジナリー心肺蘇生法グラファイトにパーフェクトコンボを叩き込み、「ゲームの理屈」に翻弄されたブレイブが、「医者のスキル」で逆転を決める趣向なのですが……仮面ライダー適合者の皆さんは、明らかに自分たちが玩具にされている事を自覚して労災を申請した方が良いと思います!
 「仮面ライダーブレイブ……貴様は必ずこの手で潰す!」
 格が乱気流に巻き込まれているグラファイトは捨て台詞を残して撤収し、ゲーム病患者カップルは無事に和解。
 飛彩は恋人との写真を見ながらシュークリームを鮮やかに切断し、実は甘いものは嫌いだった飛彩が、亡き恋人の助言を守って糖分補給に勤しんでいた事が明らかにされ……知らなかった事とはいえ、出会って早々に、飛彩の「亡き恋人との繋がり」について「糖分補給とかふざけてんのか?!」とやってのけた永夢先生の地雷の踏み方が酷い事になりましたが、一周回って飛彩の心が広い気もしてこないでもなく(この二人の関係描写は、とにかく凄く雑で困るのですが……)。
 今作ここまででは比較的まとまりが良かったですが、ゲスト患者のエピソード・檀一派の暗躍・飛彩と大我の過去・ブレイブLV3、と情報とイベントがとにかく多く、結果的に話のメリハリが無くなってしまっているのが苦しいところ。
 2010年代入ってからの《平成ライダー》序盤の、強化が連続し過ぎて山も谷も消えるのは、もはや無我の境地で受け止めるべきなのかもしれませんが、複数ライダーを順々に強化する事でその傾向が悪化しており(この、強化要素のメリハリ不足を補う為に、今作では「個々のキャラクターにまつわる新情報」をセットで出してきているのですが、今度はそれに引きずられて、情報公開のタイミングとそれに伴う人間関係の変化がスムーズに噛み合っていない感)、次回――念願の、人型。