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戦慄の恐竜殺法

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第2話

◆第2話「復活」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升
 「地球の平和を守り、魔女バンドーラを倒す事が、あたし達の義務じゃない」
 全ての起こりは、今から1億7千万年前――恐竜時代の地球には、恐竜から進化した古代人類が、それぞれ恐竜を守護獣とした五つの部族に分かれて平和に暮らしており、つまり、マンモスとサーベルタイガーは恐竜です!!
 ……ゲキの回想に見える守護獣は明らかに機械生命体であり、そこから進化した人類とかも生まれているので、便宜上「恐竜」と呼ばれてはいるが、我々の知る「恐竜」とは異なる別の宇宙的な何かである可能性は高そうですが、セント○ピリアが干渉した気配がぷんぷんとしますね!
 「あの戦いで俺は……王である父も、母も失った。……そして、10歳になる妹も」
 だがそこに、地球を不毛の荒野にせんとする魔女バンドーラ一味が現れて古代恐竜人類と闘争を繰り広げ、超古代史を紐解きながらゲキたちがかつての戦いの当事者である事が明確に語られる、背景説明。
 激しい戦いの末に救い主として現れた守護獣によってバンドーラ一味は惑星ネメシスに封印されるが、その恐るべき魔力と執念を危ぶんだ恐竜人類は、遠い将来、バンドーラが蘇った時の保険として5人の戦士を眠りにつかせたのであった――。
 設定説明の都合で、子供たちの救出に関するサスペンスが一度完全に途切れてしまったのは難でしたが、その頃、高層ビル群のど真ん中に誕生してしまったパレスはどうしたのかと思ったら、いつの間にやら月にお引っ越し(或いは、建て直し)。
 造形職人の作り出した泥人形がドーラモンスターへと姿を変え、浮き浮きとそれを見つめる曽我町子さんの可愛さを積極的に押し出していくスタイルですが、着ぐるみの妙を活かし、いきなり頭蓋骨を外して小脇に抱えるドーラスケルトンがインパクト大。
 ジュウレンジャーをおびき寄せる為の囮として、子供達を乗せたままの小型シャトルが地球へ打ち込まれ、立ち上がりのバンドーラ一味はいずれも道化的なニュアンスを持った、滑稽ではあるが人間の命をなんとも思っていない悪として描かれ、これもまた、「悪夢」的な表象でありましょうか。
 また、前回今回と「工作」の要素が盛り込まれているのは、無邪気な子供の残酷さをそこに含む意識も感じられます。
 小型シャトルが市街地を飛び(走り)回るスペクタクルは、児童層をワクワクさせよう! という意識の強さが見えるところで、TV報道でこれを知ったゲキ達は救出へとバイク&サイドカーを走らせるが、一人だけ相棒の居ないゲキが、ドーラスケルトンの奇襲攻撃を受けてしまう!
 ゲキはスケルトンにより遊園地の異空間に引きずり込まれ、パンドーラの魔空空間的な攻撃、泥人形の見せ方、外観が盛り場っぽいバンドーラパレス、劇中TV画面の使い方など、意識があったのかはわかりませんが、「悪夢」のテーゼによる親和性なのか、なんとなく前回から、小林義明風味を感じる演出。
 いきなり銃を撃ってくるぬいぐるみ! はさすがに現れませんでしたが、代わりに異空間に追いかけてきた仲間たちは手持ち武器をスケルトンにあっさり破壊されてしまい、変身した5人は、遊園地から別の異空間に。
 今回はスケルトン模様の戦闘員を交えた集団戦となり、変身すると、小柄というより、小太りになるボーイはきっと守護獣のパワー。
 再生能力と卓抜した剣技を持ち合わせるスケルトンに苦しむジュウレンジャーだったが、再生途中の頭部をひっつかむと、スケルトン自身がレーザーブレード(露骨)で作り出した地割れの底へとたたき落として抹殺し、古代恐竜人類のえげつない攻撃手段に戦慄。
 ジュウレンジャーは少年少女の乗ったミニシャトルを回収するも、再び現れたドーラタイタンの前になすすべも無いその時、地鳴りと共に姿を見せたのは、ヤマト族の守護獣・ティラノザウルス!
 ゲキが守護獣と合身(コックピットに乗り込んでメダルをはめ、恐竜ゲージをシンクロさせる事をこう呼称)してドーラタイタンと戦う一方、地上の4人は子供たちを脱出させたシャトルをタイタンの顔面に叩きつけ、古代恐竜人類のえげつない攻撃手段に戦慄。
 シャトルから飛び出た途端に子供たちが元の大きさに戻ってしまうのは少々雑でしたが、シャトルミサイル作戦を考案するも子供たちの説得に失敗する黒、代わって優しく諭す桃、と地上の4人にも活躍の場を与えつつキャラの色分けをしていくのは、良かったところ。
 応援団化の回避は00年代以降の作品でも失敗する事があるので、尺の短い中での冴える工夫でした。
 誉れなき羽交い締めからの顔面飛び道具にタイタンが怯んだ隙にティラノは器用な飛び蹴りを決めると、空中ティラノエーーーックス! から必殺ティラノソニックを叩き込み、直撃を受けたドーラタイタンは塵と化して消し飛んでいき……古代恐竜人類のえげつない攻撃手段に戦慄。
 「やったー! みんなやったぞー!」
 「俺たちが5人揃えば、怖いもんなしだぜ!」
 勝利を手にしたジュウレンジャー喝采をあげ、年少アイドル系のダンがお調子者キャラとして描かれていますが、同じく年下枠とおぼしきボーイ@戸隠流ニンジャと今後どう色分けしていくのかは、気になるところ。
 一方で赤黒はだいぶ濃いめですが、第一印象ではゴウシが一番ツボに入りそうな雰囲気なので、今後の活躍に期待。
 ……メイさんは、もう少し、喋りがこなれてくるといいですね……。
 「だぁがこんな事で魔女バンドーラは、引き下がる筈が無い!」
 ナレーションさんが妙にバンドーラ様に肩入れして、つづく。
 『機動刑事ジバン』『特警ウインスペクター』『特救指令ソルブレイン』と《メタルヒーロー》シリーズで3年連続メインライターを務めた杉村升の《スーパー戦隊》シリーズ初メインライター作品。まずは穏当な作りで、これといって目立った狂人の出てこない立ち上がり。
 ……まあ、バンドーラ復活の可能性に備えて5人の若者を眠りにつかせ、いざ事が起きるとさも当然とたたき起こす古代恐竜人類の在り方に根源的狂気を感じなくもないですが、『ジェットマン』以後の作品ではあるも、戦士の使命感については、今のところ80年代的な処理。
 商業面でのヒット作品という事もあってか、戦士の設定や守護獣、衣装のラインなど、後の『星獣戦隊ギンガマン』や、『百獣戦隊ガオレンジャー』、各種恐竜系戦隊への影響が見て取れますが、ここからどんな物語が展開していくのか、ふんわり火加減で見ていければと思います。
 次回――サブタイトルは渋く二文字路線かと思ったら、全くそんな事はなかった。