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「「ダブルゴッドインパクト!!」」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第46話

◆第46カイ!「ゲゲっと飛び出た神のちょっかい!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 今回のビックリその1。
 「あぁぁぁ! 呪いってどうやったら解けんだ?」
 SDトピアを解放した界賊一家、なんにも、アテ、無かった。
 既にSDトピアで情報収集した結果なのかもしれませんが、あれだけ、SDトピアに行ければ解決、みたいなノリだったのに、空白の1話の間にブラックサタンの改造手術でも受けてしまったのではないかと不安になる無策ぶり。
 続けて、ビックリその2。
 「じゃあ気晴らしに、どっか他の世界遊び行くか」
 思っていたより遙か以上に、アース-45(介人たち)の事、どうでも良かった。
 〔家族の呪いを解く > 介人〕はゾックスの行動原理として納得がいったのですが、〔家族の呪いを解く > 気晴らし > 介人〕の扱いになるとさすがに首をひねり、空白の1話の間にプロフェッサー・ギルの改造手術でも受けてしまったのではないかと不安になるポンコツぶり。
 まあニュアンスとしては、締め切りを前に原稿用紙が真っ白だけど気分転換だ! といったものだったのでしょうが、「少しでも早く呪いを解きたいから」を理由に多少強引にでもアース-45を旅立たせた直後としては、言葉選びがあまりに悪かったように思います。
 バカンス先を探してフリントが海図を広げると、いつの間にやらカイゾクトピアが解放されている事が判明し、話がうまく出来すぎているのでは……とさすがにゾックスが不審を抱いていた頃から時間は少し遡り、界賊一家の去ったアース-45では、騙されそうな相手なら誰でも良かった、と自称神が供述を始めていた。
 「僕が君たちをトジテンドパレスまで連れていってあげるからさ~。ボッコワウスを倒しちゃってよ」
 「「「ええっ?!」」」
 「……ハチャメチャ気軽に誘ってきた」
 ステイシーの体を利用している事をあっさり明かし、トジテンドのやり口が気に入らないので怒りのゴッドパンチを入れたいと思います、とゼンカイジャーに持ちかけてきた自称神を名乗る住所不定無職のゲゲイシー容疑者は、当然のように、痛い人なのでは……? という視線を向けられると、次に出てくるワルド怪人は、ニンジンワルドだと神のパワーで予言。
 一夜が明けると、ゲゲイシー予告先発通りにニンジンワルド(おろし金付属)が登板し、ゼンカイザーを赤く染まったニンジンカイザーに変えてしまうも、約50秒で大炎上して降板。
 緊急登板したダイニンジンワルドも1分15秒で塵と化し、ゲゲイシーの予言通りにワルド怪人が出てきては次々と瞬殺されていく趣向なのですが、使いどころの無かった挿入歌の使用と、ガオーンの持つ料理の戦士スキルが活かされたのは、巨大戦の工夫として良かったポイント。
 「僕の言った通り――ニンジンワルドが来ただろう?」
 信じる者は救われる。
 さあ、僕と一緒に悪いトジテンドを倒そうよ! とゼンカイジャーの洗脳を目論むゲゲイシーだが、介人の視線は厳しい。
 「人の体勝手に乗っ取るような奴、信じていいって思えない! 俺たちと話したいなら、俺の体使えよ!」
 介人の批難を聞き入れたゲゲイシーは、ワルド予言を二つ追加すると、これもあっさりステイシーの肉体を解放し、ここ数話、意図して視聴者に嫌な思いを感じさせていた要素が、あまりにもマッハで解消されていく展開(不安を煽ってきた要素と解決方法のバランスがあまりにも悪い)に困惑します。
 「神が僕の体を? ……そういう事か」
 介人はステイシーに事の次第を説明すると、改めて父救出の助力に感謝すると共に、ハカイザーを消してしまった事を謝罪し……うーん……正直ちょっと、ハカイザーの一件について謝罪するのは、介人がステイシーの立場に寄り添いすぎて無理が出ている印象。
 ハカイザーに関しては、父を拉致され別人格に洗脳された介人が一方的な被害者ですし、そうと知らずに友誼を結んだステイシーが、最終的に行った選択に対して謝罪するのは、いっそ侮辱的とも取れますし、介人なりの誠実さであるにしても、どうも介人のステイシーに対する目線が、「わかり合いたい相手」から「可哀想な子」に寄ってしまっている気がします。
 そしてそれは、互いの関係性として良いものとはどうも捉えにくく。
 「なんだったんだろうな……僕はただ、バラシタラを超えたかっただけなのに。悩んで、考えて……進めば進むほど迷走してこのザマだ。……もう疲れた」
 「……ステイシー」
 「僕みたいなやつは、神とやらの傀儡になっているのが、お似合いってことかな」
 やさぐれるステイシーに向け、あんな苦しいところで無理に頑張らなくていい、と介人は説得を試み、両者の関係の修正および着地点として、面白く頷きにくいのですが、思ったよりもスタッフの中で介人-ステイシーの関係を「兄-弟」と見ていたのか、或いは、ステイシーを軟着陸させる為のロジックが他に見つからなかったのか、なんだかすっかり、弟を甘やかす兄感全開。
 もう素直にゼンカイシーザーになっちゃおうぜ! と心の隙間にぐいぐいねじ込まれるカラフルサンデーの誘惑を拒絶したステイシーは夜の街に消え……自称神のパワーを失った今、アース-45で生きていく事は出来るのか。
 一方、ゲゲボディに戻った自称神は、介人たちに告げた予言のワルド怪人をボッコワウスにおねだりし、神としての予言通りにアース-45を攻撃したサファイヤワルドは人々を宝石の亡者に変えるが、スーパーゼンカイドリルキックを受け、1ラウンド1分20秒でK.O.
 ダイサファイヤワルドは登場1分で撃破され、生まれ育ちによって歪んでしまったステイシーを救いたい、と願う介人の頼みにヤツデは新たな居候の受け入れに太鼓判を押すが、それも束の間、今度は吸血鬼を生み出すコウモリワルドが出現。
 ゼンカイジャーはダイナマン先輩の力でコウモリワルドの超音波攻撃を跳ね返し、奇抜なワルド怪人の大がかりな能力に毎度苦戦するゼンカイジャーが、事前に怪人の情報を得て対策を立てる事で完全勝利を収めるのは、連続バトルの三回戦として成る程の工夫。
 作品のストロングポイント(ワルド怪人との奇天烈バトル)を消す構成を逆手に取って、予習さえできれば絶体絶命に陥らないゼンカイジャー、で1年間の戦いの構図をひっくり返すのは面白くなり、コウモリから黄金のバットそして野球のパワーは綺麗なコンボでした(笑)
 コウモリ対策を万全に練っていたゼンカイオーマジブルが巨大コウモリワルドを撃破すると、地上のガオーンに自称神が憑依。
 ステイシー解放の約束を守ってゼンカイジャーを依り代とし、イカサマを用いて3連続で予言を的中させた自称神をすっかり信じ込んだ介人たちは、一緒にトジテンドに乗り込もうぜ! と盛り上がり、一方のトジテンドでは、ワルド怪人完全攻略にスパイの可能性ありと報告を受けた怒りの壁王様、遂にキャラパキ?! で、つづく。
 最後に壁王様が真のパワーの片鱗を見せる映像は格好良く、次回予告もかなり盛り上げてきましたが、最終回直前、ヒーローが黒幕に騙されたまま敵の本拠地に突入する前代未聞?の展開が、面白くまとまってくれるのかは、不安先行。
 『ゼンカイジャー』といえば「洗脳」、「洗脳」といえば『ゼンカイジャー』、という意味では実にらしくはありますし、騙されたまま終わって、次回作『ドンブラザーズ』に登場が発表されている五色田介人=五色田神人、という可能性もありそうですが。
 昨年末の父ちゃん奪回をピークに、大きな目標を達成し、いざ物語全体のまとめに入ろうとしたところでまとめる為の素材が足りない、という作品総合の弱点が露呈する事になり、第44-45-46話、と不満の残る出来が続いているのですが、残り3話?で、逆転全開を期待したいです。