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「猫は我が儘、猫は気まぐれ、猫はよく寝る」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第42話

◆第42カイ!「新ヒーローにゃ!おコタの密会!!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:香村純子)
 「俺は悪い事はしてないコタツ
 「それ大体、悪い事したやつが言うよね!」
 「どうせこの後、何か起こるんだろう!」
 「決めつけは酷いコタツ!」
 ……そこはかとなく漂う、上原正三節(笑)
 街に出現したコタツワルドが次々と人々をコタツの虜にしていき、ブルーンが好奇心に負けたのをきっかけに、コタツに取り込まれてしまうゼンカイジャー。一度入ったが最後、抜け出す事のかなわないコタツの快適さに身動き出来なくなるゼンカイジャーだが、そこに響き渡るよほほいいほい。
 「飛んで火に入るトリコタツビーム!」
 しかし、ワニ宇宙船ごと界賊一家もコタツに取り込まれ……まあ、今作では割とある気がしますが、OP明けて1分40秒で、全員戦闘不能にされました(笑)
 ……コタツに。
 「にゃははー、みんな永遠にぬくぬくしてろコタツ!」
 コタツワルドを演じる平川大輔さん、割と好きな声なのですが、二枚目演技以外は初めて聞いたかも。
 「コタツがこんなに恐ろしい物だったとは!」
 「ああ駄目だ! 暑い!」
 だが約1名、暑がりの汗っかきゆえにコタツの魔力に囚われなかったジュラン(劇場版の汗で大脱出ネタを拾ったのでしょうか)が脱出に成功し、敵の能力打破の為に、「着るコタツ」の購入を求めるヒーローたぶん全世界初だぞ介人!
 ところが、どこに行っても売り切れ全開で「着るコタツ」を入手できずにいる内に、なんと、コタツに入った人々がネコ化してしまい……昨年のネコ充瑠に味を占めた感。
 まあ、女性メンバー二人をマリアナ海溝の底へと突き落としたネコ充瑠の破壊力があまりに高すぎたので、二番煎じの上グレードダウン感は否めないのですが、ならばと数で勝負してくるのは、『ゼンカイ』らしさでしょうか(笑)
 そのままコタツで眠りこけたが最後、完全なネコとなってしまう恐るべきトラップを防ぐべく、ジュランが甲斐甲斐しく皆の世話を焼き東奔西走。
 「なんでおまえ耳4つあんだ!」
 「SD化した上にネコになっていいのか!」
 舌鋒も冴え渡ります(笑)
 西に行っては水分を与え、東に行っては濡れタオルで顔を拭いている内になにやら閃いたジュランは、ラジカセで主題歌を流すとダンスをさせる事で人々の眠気を払おうとし、なにやらBGMでいい話っぽくしたところで、コタツワルド発見の報が入る。
 「若者助けんのも、おじさんの役目よぉ!」
 ところがそこにバラシタラも参戦し、今回の作戦は、壁王様の機嫌を取るためのネコペット計画だった事が判明。
 ジュランの危機に、コタツごとでもなんとか這いずっていこうとするゼンカイジャーの姿を見たセッちゃんのアドバイスに乗ってパトレンジャーギアを用いると、
 「野宿じゃない。コタツ生活だ。コタツに住んで、戦闘時もコタツを背負っていけば、トリコタツビームを食らっても、戦闘不能にならずに済む。……一応理屈は通ってる。コタツがユニフォームなんだから」
 ……じゃなかった、一致団結してコタツが融合。界賊船に乗り込んだセッちゃんが一つになったコタツをアンカーに引っかけてジュランの元へと乗り込み、空中コタツ大回転アタックは、勢いがあって面白かったです。
 そして、当然、そのまま変身。
 「や、大丈夫? それで出来んの? ね、出来んのー?!」
 そしてフル名乗りで、ゼンカイニャー&ツーカイニャー。
 コタツ変身→コタツ名乗り→コタツバトル、となだれ込むも、さすがにバラシタラには分が悪く、苦戦する白が父が残していった46バーンのギアを発動すると、時空の割れ目を切り開き、バイクに乗ったニューヒーローが颯爽登場。
 「ははははは! よく俺を呼んだー! 褒めてやる! さあ、祭りだぁ!」
 前回の流れから想像はつきましたが、公式が煽っていた桃と丁髷のニューヒーローは戦隊ギアでざっくり召喚され、先行登場補正の力でバラシタラを蹴散らすと、ジュランと共にコタツワルドを撃破。
 巨大コタツの遠赤外線ビームにゼンカイジャーが吹き飛ばされると、
 「悪縁は断ち切るに限るぜ!」
 とバイクをレンタルし、桃バイクと巨大ジュランが半分こ合体すると、巨大ロボ・ドンゼンカイオーが誕生。フルCGのドンゼンカイオーは圧倒的な力でコタツワルドを成敗し、トジテンドの人類ネコ化計画は失敗に終わるのであった。
 「見ろおまえ達、空が青いぞ! 笑え笑え! わっはっはっはっはははは!」
 終始テンションの高かった桃と丁髷の人はバイクにまたがり去って行き、何故か合体できるロボット案件を除くと無難な先行登場でしたが、「縁」「貸し借り」「親分気質」といった、キーワードと基本的性格を明確に示しつつ悪印象にならない範囲に収めたのは、巧かったところです。
 バイクの「貸し」が強調されていたので、ゼンカイジャーがこの「借り」を返す展開が、自作劇中なり劇場版なりでありそうな雰囲気でしょうか。
 戦い終わってカラフルではジュランがねぎらわれ、その姿に、好奇心を優先して仲間を危機に陥れてしまった事を反省するブルーン。責任を感じて根性を見せるシーンが二回ほどあったブルーンにスポットが当たってのオチとなり………………これはつまり、ブルーン回終了のお知らせでしょうか。
 ジュラン>桃と丁髷の人>>>>>添え物のパセリのようなブルーン、のあまりに不憫な扱いに、嗚咽が止まりません。
 一方、対ネコ充瑠の決戦兵器であったステイシーは、トジテンドで牢獄に閉じ込められていた。
 「まさかイジルデに陥れられるとは…………でもまあ……自業自得か」
 ……自覚はあった(笑)
 そこへ飛んできたゲゲに、突然ステイシーが乗っ取られた?! で、つづく。
 今作の長短一体となっている部分ですが、変則的な名乗り(と戦闘)にこだわる事による《スーパー戦隊》の様式美の強調と破壊をスタイルとして貫くのが、ドラマと巧く噛み合うと跳ねる一方で、噛み合わないと「破壊行為そのものが内輪ネタになってしまう」危険性があって、今回は後者の印象。
 先行登場に尺を使う事情もあったでしょうし、変則アイデアそのものの面白さは面白さとして、“こんな形で変化を入れるのが面白い”のは、結局は「約束事の共有」を閉じた部屋でこね回しているだけになってしまうので、それを普遍的な“面白さ”に拡大するには“物語”と繋げなくてはいけないと思うのですが、ここに来てジュランが“良識派のおじさん”通り越して“みんなのお父さん”扱いされるのはいまひとつピンと来ず、またブルーンがついでのように普段よりちょっと取り上げられる、のもおざなりな感じで残念でした。