『ウルトラマンコスモス』感想・第59話
◆第59話「最大の侵略」◆ (監督/特技監督:八木毅 脚本:梶研吾)
地球に平穏な日々が続く中、カッパキノコの持っていた抗カオス遺伝子――カオスキメラ――の再現を目指すSRC科学分析センター。
「……このまま……時間が止まったらなぁ……って。……この平和な時のまま」
「……うん、そう、ほんとーにそう思う」
「まったく、おめでたい奴らだぜ」
だが勿論、そうは問屋が卸さずに地球を襲う、同時多発地震。その直後に地中に眠る怪獣たちが一斉に活発化し、ジェルミナ3からは空前の規模のカオスヘッダー反応観測の報告がもたらされるも通信が切断されてしまう。地球の核にさえ影響を及ぼし、地震と怪獣の覚醒、更には広範囲の通信障害を引き起こした莫大なカオスエネルギーは、凝縮するようにして地球に飛来すると、カオスウルトラマンの形を取る!
19話ぶりに出現するなり地上に破壊光線を放つカオス番長を迎撃すべくテックスピナーが出撃するが、余裕かましていたリーダーがさっそく撃墜されて……「話し合いもしないで、乱暴すぎるぞ!」「これが仕事なんでね!」
まあ、カオスヘッダーは第1話冒頭で大きな被害を引き起こしている筈なので、別枠で敵視も納得は出来るのですが、今作のコンセプトを考えた時には、劇中でなんの検討作業も行われないまま、カオスヘッダーだけは有無を言わさず「絶対悪」指定されているのは、最初のボタンの掛け違いになった気がしてなりません(名称的にはそもそも、「コスモス」のアンチではありますが)。
続けてフブキ機とムサシ機を撃墜したカオス番長はカオスキメラ合成中のSRC科学分析センターへと迫り、泥まみれになりながら地上戦で決死の迎撃を行うチームアイズと、それを襲う光線による爆発、は頑張った演出。
多分キャップは昔取った杵柄で、(そうだ! 爆発は……こうじゃなくちゃな! ナパームは……もっと近くてもいい!)とか思っているかもしれません。
カオス番長の容赦無い攻撃によりチームアイズ壊滅寸前のその時、戦線に復帰したムサシがカオスウルトラマンへと挑むも「俺には……これがある、徒手空拳(光線銃)」ではかなうべくもなく、光弾の直撃を受けそうになったところをかばったフブキが代わりに吹き飛ばされ、とうとう死亡フラグ回収?!
「どんな事があっても……守り抜いてみせる……俺たちは……チームアイズ……」
キャップ達も気を失い……ここでチームアイズが守ろうとしているのは「SRC科学分析センター」であり「地球」なわけですが、勿論、チームアイズには地球を守る為に戦う一面もあったものの、物語を通して特徴的に守ろうとしていたのは「怪獣」である事を考えれば、この台詞を活かす為には、“怪獣を守る”状況を上手く作ってほしかったと思うところ。
それが出来れば、VSカオスヘッダーとチームアイズの在り方の積み重ねが噛み合って、最終決戦編の導入で一つ跳ねる事が出来たのではないかな、と(まあこの後、守ってきた怪獣が……という流れは想像できるので、ここでは避けたのかもしれませんが)。
フブキ(生きてた)を地面に横たえたムサシは、決死の突撃からコスモス変身即エクリプス。
そのまま主題歌バトルに突入する今作では珍しいラインの演出が続き、コスモスとのバトルで地面にひっくり返って気づきましたが、カオスウルトラマンはつま先の部分が反り返っていて、後のファウスト(『ネクサス』)に継承された悪魔(道化師)的要素でありましょうか。
辿り着いた武の真髄、ウルトラカラテでカオス番長を追い詰めるコスモスだったが、その時、ワームホールから更なるカオスエネルギーが注ぎ込まれると、カオスウルトラマンが青黒ボディから赤黒ボディへと進化を遂げ、貴様のカラテ、もはや見切った!
崩れたモヒカンをオールバックになでつけ、多分今、眼鏡もかけました。
消耗の激しいコスモスは、この恐るべきチャレンジャーに勝利する事が出来るのか?! 次回――ウルトラカラテvsカラミティ太極拳!