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ウルトラヤバいお父様の秘密

ウルトラマントリガー』感想・第9話

◆第9話「あの日の翼」◆ (監督:辻本貴則 脚本:林壮太郎
 3000万年前――政府や自治体のガイドラインに基づき感染症対策を徹底して古代都市を襲う邪眼持ちの怪獣だったが、ユザレはその石化光線を怪獣の股間に跳ね返し(もうちょっと無かったのでしょうか、場所)、怪獣は逆に石化。
 そして現在、アキトに色々丸投げしていたシズマ会長がナース号に帰還し、廊下では疲弊した表情を見せるも皆の居るブリッジには笑顔で入っていくのが、人となりを示して好演出。
 世界各地で見つかった“3000万年前の怪獣”の存在を示す碑文を示した会長は、エジプトで発見された壁画の分析をアキトらに託すと、自らが抱える何かに気付き始めたユナに、大きな秘密を明かす。
 「私はこの地球の人間ではない」
 「え!?」
 「……驚かないで聞いてほしい。私は、別次元の人間なんだ」
 6年前に会長が自ら乗り込んで怪獣と戦ったガッツウィングは、会長が生まれた世界――“TPCとGUTSがあった地球”から持ち込まれたテクノロジーで生み出されたものであり、会長の正体は30年前、時空間ゲートに飲み込まれて『トリガー』地球にやってきた、『ティガ』地球GUTSの元情報局員なのであった。
 会長の指示を受けた隊長の口からナース号のメンバーにもその秘密が伝えられ(といっても、アキトを除く4人ですが……まあ、特状課よりはマシというか……(笑))、どうやら第7-8話に『Z』コラボがねじ込まれたのは、会長の正体を登場人物と視聴者に受け入れやすくする狙いもあったようですが、うーん……理解のクッションになるメリットよりも、物語の根っこに関わる重大な要素が、話の都合でまま起こるコラボ回の飛び道具と一緒の扱いになってしまうデメリットの方が大きかったような。
 まあ今作が、「別次元の地球」の存在をハッキリさせる事により、「マルチユニバース的事象が起こる世界」である事を、“説明されない前提条件”にせずに“物語の中に落とし込んでくれている”事そのものは、好感が持てるのですが。
 会長の口から、会長次元に存在していた「光の巨人――ウルトラマンティガ」についても触れられ……全ては、ユナ18歳の誕生日の全力全開すぎるサプライズだった。
 放映時期の順序としてはこちらの方が早かったと思われますが、なんだか酷い被り方をしました!!
 今は亡きユナ母はユザレの末裔であり、ユナの中にユザレが宿っているのはその血統の為だと明らかに。母の形見の指輪を受け取るユナだが、そのタイミングでカルミラが石化怪獣を復活させ、気のせいかもしれませんが、地上の木が左右に開くように倒れたり、地面に引っ張り込まれていく演出、久々に見たような(笑)
 出撃したガッツファルコンがさっくり撃墜され、トリガーはふわふわした戦いに終始し、アキトにユナを託した会長は、ガッツファルコンのプロトタイプとなった改造ガッツウイングを遠隔操縦で発進させ、カモフラージュになっている岩壁と手前の木々が左右に倒れるとカタパルトが現れてウイングが飛び出すのは少々時代がかった演出ですが、原典オマージュでしょうか。
 そしてこの出撃シーンの前振りとして、統一感を持たせる為に怪獣出現時に樹木を左右に倒したのなら成る程納得。
 あまりにも訳知り&胡散臭くてラスボス疑惑もあった会長は、どうやら悪人では無いようだが別の意味での黒幕だったと判明し、今回は基本、会長の抱える秘密を明かし、『ティガ』世界との接点を描くエピソードなので、この後はガッツウイングが大活躍。
 ついでにユナの秘密も明かされていますが、ユナがユナなのは会長がたまたまユザレの末裔の女性と結婚したからであり、会長の秘密とユナの秘密には特になんの関係も無い為、ユナの秘密の方がおまけ扱いで……それで本当に良かったのか。
 トリガーとガッツウイングの共闘は原典を知っているとまた違うのかもしれませんが、原典に思い入れの無い身としては、やたら活躍するウィングに対して「ファルコン弱いな……」という感想にどうしてもなります(笑)
 地上のユナが奮戦するウイングに向けて「お父様……!」と感情たっぷりにエールを送るも、実際のお父様の方は地上でパワーグローブを振り回しているのはどうも基本設定の難しいところで、最終的にお父様の心眼に操られたウイングが怪獣の邪眼を破壊すると、トリガーがウルトラ聖剣で一刀両断するのであった。
 母の形見の指輪に呼びかける事でユザレ強制召還を成し遂げたユナと、秘密を黙っていたアキトの間には気まずい空気が流れるが……ナース号でユナの誕生日パーティが開かれるとにこやかにプレゼントを渡し、第5話辺りもそうでしたが、どうもアキトの心情表現が、CG差分の限られた立ち絵みたいというか……役者さんの演技力の問題もあるのかもしれませんが、「微妙な距離感」で引きを作ったかと思ったら、次のシーンではオチの都合により「笑顔で会話」みたいな事が目立ち、どうにもキャラが情緒不安定。
 アキトからユナへのプレゼント、デコりまくった対変態用スタンガンは面白かっただけに、直前のシーンとの繋がりの悪さが惜しまれます(皆の前だから、とやっているとしたら、未成年二人の大人の切り替え力があまりに高すぎますし)。
 ユナが指輪を手にした事に応じるように、光を放った石板には新たな絵が浮かび上がり……次回―― イケメン 変態たちに好かれやすい体質、それこそがヒロインの証。