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ウルトラヤバい終わりのないマラソン

ウルトラマントリガー』感想・第8話

◆第8話「繁殖する侵略」◆ (監督:田口清隆 脚本:小柳啓吾)
 光線を撃つコツは、気合だ!!
 前回に続いて両脇をケンゴとハルキに挟まれ、“ウルトラマンになった男達”の共通体験をステレオで聞かされるアキトは、密かにぶち切れてZさん用の変身キーに悪質な精神汚染ウィルスとか仕込んでも、許されるのではないかと思います。
 「は? いつから俺がおまえの相棒になった」
 「え? 違うの?」
 「あんま調子に乗るな!」
 トリガーの変身キーにも(以下略)
 そんな折、街中で電子機器の不具合が大量に発生し、ブリッジでこの異常事態を説明中、ごく平然と背後の廊下を歩いているイグニス、面白いけど、それでいいのか、イグニス……(笑)
 そのイグニスの持つスマホっぽい透明な板(ミラーシェイドをかけている市民が居るなど、人類が火星に進出している時代に合わせ、電子機器の未来感を出そうとする工夫は好感)もバグを起こしてアプリ終了の憂き目にあい、皆がその存在を完全に黙殺する中、世界中へ謎の大規模サイバー攻撃が進行中。
 ケンゴはハルキ細胞に侵食されて物凄い勢いで暑苦しくなっていき、響き渡る押ーーー忍!
 「うん、君はいいから」
 地上では、自動車事故にドローンの墜落、とサイバー攻撃が市民生活に本格的な危機を及ぼし始め、群衆の居るその場にあるカメラ目線のような映像は、田口監督らしい臨場感の出し方。
 TPU本部との通信も遮断される中、ナース号もdadaを名乗る存在によってクラッキングを受け、発射準備に入ってしまうナースキャノン……あ、デカベースロボ案件。
 サイバー攻撃、という現代的な要素を持ち込んだスピーディーな侵略サスペンスの中で、必死にナース号を制御するテッシン、ガッツファルコンのVRシステムを利用して電光超人するナナセ(相変わらず外からの見せ方が大口絶叫系一辺倒なのが残念ですが……)、と各人の見せ場も手堅く配分されて、特に、これだけの事態を引き起こしながら“姿を見せないままの侵略者”の扱いが、良いアクセント。
 ユナはアキトをサポートし、メトロン星人は忙しく動き回り、イグニスは懐からケーブルを取り出し、隊長は皆の中心にドンと構え、ケンゴとハルキは甲板へと走り、なんとか二発目のキャノン発射を阻止するガッツセレクト一同だが、そちらで精一杯の内に地上に放置されっぱなしだった特空機3号――すなわちキングジョーストレイジカスタムが制御を奪われてミサイルを乱れ打ちする大やらかし案件。
 キングジョーを止めるべく変身したトリガーとZは激しい射撃戦を繰り広げるも、キングジョーの分離オールレンジ攻撃に苦戦。更には
キングタンクの砲撃を受け、『Z』世界の地球人の闘争本能に戦慄しますが、アキトの部屋に駆け込んできたユナ、アキトとの距離感、超近いな……(あまりにも家族すぎて、そっと目を伏せる)。
 トリガーとZは互いに力のフォームにタイプチェンジしてキングジョーに立ち向かい、ブリッジ内部に姿を見せた縞々の怪人ダダを撃退したガッツセレクトはメインシステムの奪還に成功。
 その喜びも束の間、アキトの背後に迫るダダだが、ユナがユザレを発動し、スペシウム的な何かでダダを消し飛ばすのは、少々ノリでやりすぎたのでは感。
 ……あの構えそのものが、後々、超古代人の習慣とか流行とかに繋がるのかもしれませんが。
 Z先輩のタイプチェンジ(能力をインストールしたキー)を見せる都合により、本日3回目のご唱和下さいから、めまぐるしい戦いは続き、正直、Zにしろトリガーにしろ“タイプごとの魅力”を描けているとはとても言えないのですが、とにかく出す事に意義があるといった展開。
 ナース号を追い払われたダダが巨大化して乱入すると、自動車攻撃で両ウルトラマンを攪乱しながらキングジョーと融合を図るもナースキャノンの砲撃を受けて消し飛び、じっと黙って座っていた隊長が、一撃必殺。
 「いっちばんおいしいとこもってくじゃーん!!」
 残るキングジョーに対し、本日4回目のご唱和で、『Z』本編もこういうノリだったのかもしれませんが、変身バンクをドタバタのテンポの中にねじ込む事で、ご唱和連打を味付けとして成立させる、物凄い力技。
 「ごめんなキングジョー……また直してやるからな!」
 黄金の鎧をまとったZ先輩は、トリガーと共に空中戦でキングジョーを叩きのめすと地上に叩き付け、トドメのW必殺光線により、さしものキングジョーも木っ葉微塵に消し飛び……え……直るの……これ(笑)
 「良かった。ナースデッセイ号も無事だ」
 「めっちゃいいチームですね。俺も、ストレージの皆が恋しくなりました」
 激闘を終えて、ウルトラマンである人が、それぞれの仲間の存在を浮かび上がらせるのは良いまとめ方で……それはそれとして、キングジョーの残骸を回収するZ先輩。
 「……これ、持って帰んないと、怒られるんで」
 様子を見に来たアキトに体育会系のコミュニケーションを嫌がられるもめげないハルキと、ハルキ細胞の侵食により物凄い勢いで面の皮が厚くなっていくケンゴにより、この2話で怒濤のごとく追い詰められていくアキトだが、ベリアル生首ソードが次元を切り裂けばなんとでもなる事が判明すると、キングジョーを手にしたZ先輩は帰還していき……故障中を名目に変身アイテムを借りていったのは、今後の劇場版などを想定した引き要素でありましょうか。
 後、本当に無事に帰れるのでしょうか(番外編が幾らでも生めそう感)。
 それはそれとして青空に浮かんだ巨大なZの光跡は美しく、肩を組まれた際にハルキ細胞の汚染を受けていたアキトが思わずケンゴとラーメン屋に寄ってから船に戻ると、そこではユナが、自分の体の秘密に気付きつつあった……と、番外編的なエピソードのラストで、本編の重要事項を持ち出してくるのは定番ですが、倉庫の片隅で体育座りしながら震えていた『トリガー』色が再び顔を出してきたところで、つづく。
 諸事情は窺えるとはいえ戦闘シーンはさすがにバタバタしすぎでしたが、ご唱和4セットのスプリント戦を破綻せずにまとめてみせたのは田口監督の力量がさすがで、ここまでの『トリガー』では、一番面白かったです。
 ……まあ前回今回の“面白さ”は、『トリガー』の“面白さ”なのだろうか……? という疑問と不安は少々ありますが、侵略サスペンスとしての面白さに、コミカルに寄せたキャスト陣の芝居も良く、前作とのクロスオーバーを消化しながらの、楽しいエピソードでした。
 ところで、正直今回、イグニスは別に居なくても成立したと思うのですが(良くも悪くもドタバタ感は増しましたが)、田口監督なり脚本の小柳さんなりがイグニス(細貝さん)を好きだったりしたのでしょうか(笑)
 次回――胡散臭いお父様の秘密。