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さくっとコスモス

ウルトラマンコスモス』感想・第50話

◆第50話「怪獣密輸!?」◆ (監督:市野龍一 脚本:川上英幸 特技監督鈴木健二
 某国から日本に希少動物を持ち込んだ密輸グループの一人が逮捕され、報道に憤るムサシだが、新聞を広げたフブキは何やら思案顔。
 「しかしなムサシ、俺たちも同じような事してねぇか? 怪獣に」
 「どういう意味ですか?」
 「もともと住んでた場所から捕獲して……自分たちの都合のいい場所に移して飼ってんだろ」
 「……それは……」
 アイズの怪獣保護活動が、「野生」の保全ではなく、あくまでも“人間の都合”を「殺すよりマシ」と解釈している事を自戒と共についてきて、ある時期から、何かを開き直ったかのように劇中のあやふやな部分に川上さんが踏み込んできます。
 警察に捜査協力を求められたムサシとフブキは、密輸グループが持ち込んだ希少動物が、成長すると体長50メートルに達する「怪獣」と呼んでいい存在だと知り怪獣の幼生を手にしたまま逃亡した密輸犯の行方を追う事に。
 警察や密輸犯関係の描写など、全体的にコミカルだった演出が、後半に巨獣パニック系のものへと切り替わり、成長抑止剤を注射された怪獣が逆に急成長すると、両肩と頭部からトゲトゲが生えた姿で巨大化。レーザーラックさえ破壊する怪獣は、そのパワーでコスモスの皮膚さえ切り裂き、ウルトラでは珍しい形のダメージ表現。
 とはいえ、あっさりと自己治癒したコスモス(ただし直後にカラータイマーが鳴るので、相応のMPは使う模様)は、イクリプスすると強烈な打撃を見舞ってから、ウルトラカラテバーストにより怪獣体内の毒素を除去し、怪獣は沈静化。怪獣は多分捕獲され、密輸犯は警察に逮捕され、これにて一件コンプリート。
 「あれ取り消すな」
 「……取り消す? なにをですか?」
 「だから、今朝言った事だ。…………俺たちが怪獣にしてる事は……決して奴らと同じじゃない」
 『コスモス』総体として真っ正面から取り組んでいいテーマと底辺の犯罪者を比較対象とするのはあまりにも筋が悪く、それでも比べてしまうフブキの煩悶を掘り下げるわけでもなく、ムサシはムサシで途端に、わかってくれたんですねフブキさん、と笑顔を浮かべてしまい……いやムサシはもう少し、その問題と向き合った方がいいのでは。
 まあ、鏑矢諸島における保護管理に批判の目を向けてしまうと『コスモス』の根本が崩れてしまうのでやりたくはないのでしょうが(フィクションとして、そういう嘘のつきどころ自体はあって良いと思いますが)、意を決して触れたかと思ったら即時撤退は極めて中途半端で、据わりの悪いエピソードになってしまいました。
 次回――キノコとカッパでベストマッチ! カッパは光線を吐くんだ!!