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「人呼んで高校流れ者――さすらい転校生、流れ星」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第33話

◆第33カイ!「グレートティーチャー鬼使い!」◆ (監督:山口恭平 脚本:香村純子)
 前回トジテンドパレスに突入した介人、パレスの事を知るブルーンに、ゲゲとは何者かを訪ねるのが早速手堅い(香村脚本は、こういう要素を先送りしないのが本当に長所)。
 なお、壁王様については尋ねるほどの疑問は抱かなかったようですが、矛盾した行動の解決には繋がらず首をひねって歩いていると、ビルの屋上に、新たなワルドを発見。
 「やや! ワルドの主張でしょうか」
 「ウォホン! おはよう諸君。只今から、学園パワーを――あちゃちゃ、うわ、ぐはーっ」
 主張、ぶったぎられた。
 ヒーローとしては全く間違っていない行動なのですが、なまじ話を聞きそうな反応を見せた直後だけに、鬼畜な印象が強まります(笑)
 「とーーーう!」
 投げチョークをかわし、転がり込んだトラックの荷台で変身する白と青だが、そこに充電完了したハカイザーが乱入。
 「はーい笑い声うるさーい!」
 更に横から恐竜キックで赤黄桃も乱入し、冒頭から肉体言語が激しく飛び交い、撮影所は四角いマットのジャングルです。
 「今だガクエン! 学園パワー、かーいほーーーーう!!」
 混戦の中で学園ワルド(今作では珍しい印象の、壮年男性ぐらいの声が、個性となっていて良かった)が能力を発動すると、男性陣は詰め襟の学ラン、女性陣はセーラー服姿となり、更に周囲が教室の中に変わってしまう!
 「たった今からこの世界は、トジテンド学園となったガクエン! 貴様等は我が校の生徒ガクエン~」
 ハカイザーも巻き込まれ、ガオーンとブルーンは学校生活に興奮し、カラフルは駄菓子部となり、その学園世界の目的は、優秀な冒険者、じゃなかった、クダックを育てる為の教育施設。
 かくなる上は学園ワルド校長をしばき倒して世界を元に戻そう、とする介人たちだが、校長室を見つけられずに青春全開して廊下を走っているところを砕井田先生に見つかってお仕置きを受け、そこに現れるヨホホイ番長。
 両手をポケットに突っ込んだままヤンキーキックを放つゾックスだが(不良の作法は多分、マンガで覚えた)学園ワールドの教師バリアに攻撃を防がれ、完敗。
 「学校てのは、つまんねぇとこだな」
 「……違う。学校ってこんなとこじゃないよ! 友達作ったり、いろんなこと学んだり、全力でイベント盛り上がったり……こんな苦しい場所じゃない筈なんだ」
 モチーフに対してポジティブに肯定しつつ、別世界組に、本当の楽しい学校を見てもらうと約束するのは、らしい流れ。
 ハカイザーが進級テストに合格する事で生徒から教師にクラスチェンジし、校長室に向かう姿を目撃した一同は、学園ワルドと拳で進路相談する為にステイシー先生に掛け合ってテストを受ける事になり、いきなり始まる、クイズDEトジテンド。
 前回の事は忘れる勢いで、伝説の教壇に立ちそうな露骨なコスプレに身を包みつつも、表情の付け方などで、ステイシーは崩しすぎないように、と配慮が見えるのがステイシーの好感度が上がるところです(笑)
 間違えたら即落第、10問連続正解者だけが合格できる難関トジテンド進級テストに挑む介人たちだが、第1問で早くも5人が脱落。残るは頭脳派のブルーンとフリントに託されるが……出会った事のないスシワルドに絡んだ問題にフリントも敢えなく落第し、容赦なく、爆発!
 煤だらけの顔にチリチリ頭のギャグ爆発はコントめいてしまいかねない危うさを抱えていますが、学園時空の特殊効果という事で、ワルド怪人、便利(笑)
 頼みの綱はブルーンのみ……久方ぶりのブルーンのターンか?! と思われるも、正解が教師の胸先三寸の第3問で轟沈し(先生も正解がわかっていないのを台詞無しで見せたのは面白かったです)、正攻法の進級作戦は無惨に失敗。駄菓子部に集まった一同は作戦を検討し、ファイブマンギアに触れてくれたのは戦隊ギアを使い捨てにしないで良かったところ。
 「あのさ、校長室行かなくても、学園ワルドをおびき出せればいいんだろ?」
 話を聞いていた昭和の店主(失敬)に入れ知恵を受けた介人たちは、リーゼントやボンタンなどやんちゃのパワーを身に纏い、東映名物アナクロな不良が群れを成して現れましたが、最近、ぱっと見ヤンキー物な『東京卍リベンジャーズ』なるマンガが流行っていると聞く(詳しくは知らない)ので、それへの意識もあったりしたのでしょうか。
 今回、声優陣の細かい台詞遊びがいつもより更に目立つのですが、特にここでは各キャストが大量のパロディを突っ込んでいると思われるも物量が多すぎて拾いきれない勢いで、ゼンカイ連合とツーカイ連合の抗争が校庭で始まると、ヤツデの狙い通りにそれを止めにやってくる教師陣、そして校長ワルド。
 砕井田先生たちが竹刀を振り回す暴力教師だった割に、校長先生は「おまえらは腐ったミカンじゃない。やれば出来る」と説いてくる意外やまともな教育者であり、その言葉に心を打たれたツッパリ達は、感極まって校長を囲みながら……学園時空の象徴であるネクタイを、奪い取って引きちぎった。
 ……ヒーローとしては全く間違っていない行動なのですが、今回、全般的にゼンカイサイドのやる事が悪辣に見えて仕方ありません(笑)
 「偉い人を現場に引きずり出すには、揉め事よ」
 全て私の思うがまま、とヤツデさんは校庭の出来事を窓から見つめ、芸歴が長く元バリバリのアイドルだった方が呟くと、凄く怖いのですが(笑)
 そんなわけで、学園のルールを打ち砕き、教師バリアを破った介人たち、ツッパリ戦隊と番長のパワーが夜露死苦全開し、そいやっさー!
 一応、ステイシー先生も戦闘に参加するが、ギャラクシーパワーで召喚したイマジナリー先輩たちがハカイザーとステイシーザーを足止めしている間に校長先生をお面で爆殺し、消滅する学園ワールド。
 トジテンドの予算の都合でノーマルクダイテストが巨大化すると学園パワーが充ち満ちて、ゼンカイジュウオーは、巨大学園ワルドの試験バリアに攻撃を封じられて苦戦。そこにマジブルが参戦し、今度こそブルーンのターン?! と思ったら、マジーヌがぬぬぬマジーヌでテストの内容を改竄し、不正行為からド派手な集中砲火で逆転勝利を収めるのだった。
 ……もう少し、ブルーンのターンが、あっても良かったのではないですかね……あと、数学の問題だったので、普通にフリントが解けそうだったな、とも(笑) いや、ここでフリント活躍させるもちょっと違う気はしますが、巨大戦までぬぬぬマジーヌを持ち出すと戦闘が雑になるのはやはり引っかかるところです。学園パワーを示すフィールドのオブジェ各種は雰囲気出ていて良かったですが。
 次回――「ハロウィンといえば?」「はちゃめちゃ激しいお祭りの日!」「カボチャを大量に壊す日だろ?」
 「違うぞ。俺の正体がわかる日だ!」
 ……えええ。
 まあ、あまり引っ張ってもなという情報ですが、まさか年次イベント回にねじ込んでくるとは予想外全開で、パンプキンヘッドの中身は果たして誰だ?!