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仮面ライダードライブ』感想・最終話&簡易総括

◆最終話(特別編)「ゴーストの事件」◆ (監督:金田治 脚本:毛利亘宏)
 ロイミュードとの死闘に決着が付いてから数日……霧子さんは普通のスーツ姿になっており、あの改造制服は、ベルトさんの趣味だったの?!
 最終話にして重大な疑惑が持ち上がる中、進ノ介は、グローバルフリーズの日に進ノ介と早瀬が追っていた犯罪組織――ネオシェイドのリーダーを追っており、そこに至る顛末として一ヶ月前に話は巻き戻り、ネオシェイドのアジト突入で進ノ介・剛・チェイスが生身アクションから並んで変身するサービス。
 その途中、逃走を図ったリーダーを中心に、透明人間が争っているような不思議な現象が巻き起こり、
 「私にも感知できない! 科学では説明がつかない事が起こっている!」
 と、ベルトさんに言わせるのはズルい(笑)
 リーダーの逃走を許してしまった進ノ介は、リーダーが手にしていた謎の球体――アイコン――を証拠品として拾い、次作『ゴースト』の要素を投入。
 そのアイコンが盗まれてしまうが、りんなと西城の協力により確認された犯人のアジトへ霧子と追田と共に向かう途中、脳内ベルトさんの声に気を取られて脇見運転をする進ノ介は、某ハーフボイルド探偵ばりに重症だった。
 「なあ、進ノ介……急にベルトさんが居なくなっちまったからって、不安かもしんねぇが……」
 「俺がですか? ……そんな事」
 「いいから聞けって。今までどおりやれるなんて思ったら大間違いだ。不安で当たり前よ」
 「……源さん……」
 「だけどな、俺も居る。嬢ちゃんもいる。究太郎も先生も、課長さんだって。だから、おまえはおまえらしく、自身持てよ」
 「……ありがとうございます」
 そんな進ノ介の様子に気付いて先輩として諭す追田がやたらおいしいのですが、死ぬの?! これから、アジトに突入して銃撃戦の最中に死ぬの?!
 進ノ介と追田は逃走寸前に犯人を確保するが、再び、アイコンを求める謎の透明人間の襲撃を受け……今回、最終話特別編という事で油断していたのですが、迫り来る見えない何者かの表現や、“ライダーに変身できない状況下”における生身の緊張感など、金田監督らしく生身アクションをふんだんに盛りこみつつ、アクションサスペンスとしてかなり充実の出来映え。
 また、ベルトさんとの別離を踏まえて進ノ介の心情を掘り下げつつ、“ドライブになれない”必然性により次作ライダーの引き立て役になる事を回避しながらも、諦めない姿で進ノ介のヒーロー性はしっかりと描き出すという、「後日談として現行作品を完結に導きつつ、次回作品への橋渡しを行う」高難度ミッションにおいて、極めて巧妙な構成。
 進ノ介が透明怪人に襲われている間に、犯人は拳銃を拾って逃走し、それを追う現八……死ぬの?! やっぱり最終回で殉職なの?!
 両者が去った後、アイコンを手にしようと実体化する謎の怪人だが、そこへ現れたオレンジ色の仮面パーカーが、怪人を撃破。
 「あんた……どっかで……」
 「――俺は仮面ライダーゴースト」
 アイコンの持ち主だというゴーストと妙な妖怪だが、逃走していた犯人が霧子を人質に取ってアイコンとの交換を要求(追田は腕を負傷するも生存)した事から、進ノ介はアイコンを一時拝借して取引現場へと単身向かい、今、眠っていた霧子さんのヒロイン力が、オーバードライブ!!
 最後の最後で正ヒロインの底力を見せた霧子さんに銃を突きつける犯人と向かいあった進ノ介の腰には、アイコンの奇跡の力でゴーストベルトさんが浮かび上がり……
 「俺はもうあの時の……一年前の俺とは違う。……俺は仮面ライダーになった。ロイミュードたちと戦ってわかったんだ、ベルトさん。ロイミュードが居なくなっても世界は平和にはならない。本当に悪いのは人間の悪意だった。だからこいつみたいに酷い人間は絶対に居なくならない。でも俺は絶望しない。そう決めた。俺は走る! 走り続ける! みんなの幸せを守る為に。だから俺は!」
 ――進ノ介は、アイコンを放り捨てる。
 「たとえ変身できなくても……ベルトさんが居なくても……俺は刑事で仮面ライダーだ!」
 進ノ介はアイコンの奇跡による変身を否定し(それはやはり、本当の仮面ライダードライブではないので)、正ヒロイン力のブーストを受けて今、自らを、人の幸せを奪うものと戦う、仮面ライダーと任じる。
 「霧子――俺を信じろ」
 「勿論です。バディですから」
 進ノ介は見事に犯人の拳銃を弾き飛ばすと身柄を確保し、あの夜から降り続いていた雨は、今、ようやく止んだのだった……。
 事件を解決した進ノ介は捜査一課に転属し、前回入らなかった霧子と進ノ介のその後テロップが挿入。
 「たとえ止まってしまう事があっても、君なら何度でも走り出せる。ここが本当のスタートライン。さあ、走り出すんだ進ノ介。Start Your Engine!」
 「――さあ! ひとっ走り行くか!」
 ベルトさんが課長に伝えていた進ノ介への言葉から、歩み出す進ノ介の姿にOPがかかるのは非常に気持ち良く決まり、スタッフロールと、レギュラーメンバー名場面集で、おわり。
 前回でばっちりエンディングをやった後の特別編という事でこれといって期待していないかったのですが、いや、これは、良い最終回でした。
 前作『鎧武』でもコラボ仕事人として活躍した毛利さんですが、こういうエピソードを書かせると、本当に上手い。
 ベルトさんの存在感、ベルト去りし後の「仲間」達の助け、霧子さんのヒロイン力、そして主人公としての進ノ介、と本編で力を入れていた要素、入れたかったが終盤に不足していた要素、をきっちりと拾って組み上げて『ドライブ』エクストラエピソードとしてまとめて見せて、お見事です。
 「ロイミュードが居なくなっても世界は平和にはならない。本当に悪いのは人間の悪意だった」辺りは、進ノ介がそもそも刑事――人が人に向ける悪意を取り締まる職業――である事を考えると、本編の短所も顔を出してしまいましたが(『クウガ』オマージュの意図もあったでしょうか?)、では、それからどうするのか? に対してきちっと、「でも俺は絶望しない。そう決めた。俺は走る! 走り続ける!」とその悪意――守るべきものでありながら相反するものを抱えてもいる人間社会――と向き合っていく事を宣言してくれたのは良かったです。
 作品総合としては相性が悪く、さすがにその評価を覆すほどではありませんでしたが、今回に関しては満足度の高い一編で、最後は気持ちの良いエンドロールになってくれました。……勿論、長丁場のあれやこれやとの取っ組み合いを離れて、外から見て要素をまとめるからこそ生まれる完成度という面はありますが、毛利さんの得意技が良い形で発揮されたな、と。
 以下、簡単な総括を。

 本放送時は序盤のアイテムラッシュについていけずに早々に脱落し、今回、改めて視聴してわかった事は、本当の穴は序盤のアイテムラッシュの先にあった……事で、特に3クール目以降、ずっとボタンの掛け違いを感じたまま、の作品となってしまいました。
 これまで感想で触れてきた事と重なる内容になりますが、新展開、と銘打って、世間公認仮面ライダーとなるドライブ、そしてグローバルフリーズに関する設定的矛盾の解消として、国家権力の中枢付近にロイミュードが入り込んでいた! まではともかく、「無から出てきた泊英介(進ノ介父)を中心に話を回してしまった」のが、一つ大きな深傷に。
 まず根本的なところで、“進ノ介の進路に大きな影響を与えた父親”を3クール目に無から出すべきではなかったと思いますし、百歩譲って無から出すなら出すで、回想シーンで「キャラクターとしての愛嬌をつける」なり「進ノ介と父子の関係性を描く」なりすればまだ良かったのですが、基本的に皆無。
 泊英介について、過去を知る人物(仁良・本願寺・ベルトさん)から語られる物事といえば、「『ドライブ』世界における理想の警官だった」事ばかりであり――先々代ヒーロー、というニュアンスはそこにあったのでしょうが――、結果としてキャラクターではなく、ギミックないしシンボルにかならず、そこに向ける進ノ介の感情(パーソナルな想い)に引き込まれる事が出来ずじまいでした。
 いっそ父親ではなく、少年進ノ介が憧れた警官が実は過去のロイミュード事件に深い関わりがあった、ぐらいにしておけば、個人的な繋がりは一回の出来事に集約しても繋がりますし、「課長とベルトさんが泊父の死の不審点について調べていたけど、ずっとだんまり決め込んでいた」案件も発生せずに済んだのですが……なまじ父親にした事でドンドン傷口が広がっていく事に。
 で、その“父”要素を、並行して布石は置いていた“剛と蛮野”に繋げるのかと思いきや、全く繋がらない腰砕けが発生し、その結果として、3クール目と4クール目の分断と、4クール目における進ノ介の所在不明も生み出す、負のドミノ倒し。
 お互い同士は馬が合うが、父親に対しては全く別の感情を持っている二人、って絡めようも広げようもあったと思うのですが……バンノ編が始まると、泊英介の存在が消失するのはもはや唖然とするレベルで、上手く繋げれば、父親を憎みながらも許せればと思う剛の心情とか最終決戦前に掘り下げておけたと思いますし、進ノ介もvsバンノにおいて蚊帳の外にならない方法が出てきたのではと思うわけなのですが……。
 この“要素の断絶”は今作のあちらこちらに見える短所で、チェイスの問題がどこかに行ってしまうとか、進ノ介のロイミュード観がふわふわしっぱなしとか、物語全体を貫く縦糸になりうる部分がブチブチと途切れがちな事で、太い束になりえなかったのは残念でした(つまり、肝心なところで物語をダイナミックに動かす為の筋力が足りない)。
 かくして、3クール目に盛りこんだ要素が、前半2クールとも最終1クールとも上手く繋がらず、特にその中でねじこまれた「泊英介事件とは全く関わっていないが、超進化の都合で突如として進ノ介をライバル視するハート様」は、どこにも噛み合っていない歯車、として最後まで物語を空転させてしまう事に。
 元来、敵組織の首魁と主人公ライダーなので、宿敵関係はあっても良いところなのですが、劇中での絡みが数回殴り合っただけ、かつ、基本的に進ノ介がロイミュードとは何か?」を考えないので、当然、「ハートが何をしようとしているのか?」も考えないので、ロイミュードの王としてのハートと、人間社会を守る警察官としての進ノ介の視線の位置がズレっぱなしのまま、そのズレがドラマを生むわけでもなしに、最終回だけ強引に合わせる形になってしまったのも、残念でした。
 で、前回の感想でちょっと触れましたが、ロイミュードについて知る内に、進ノ介とベルトさんの目的意識にズレが生じ始める……とか物語的には鉱脈だったのではないか、と思うのですが……その場合の問題点は、変身できない(笑)
 最重要アイテムであるベルトが意思を持って喋る、というアイデアそのものは非常に面白かったと思うのですが、一方で、“ベルトさんと意見が合わないと変身できない”問題が発生し、道中、多少の諍いこそありましたが、決定的な衝突を起こせないのは、作劇上のネックになってしまった面はありそう。
 そしてそのベルトさんを最大の情報供給源にしてしまった事により、話の都合でベルトさんが語りたくない事には進ノ介は一切突っ込まないで無視するが常態化した結果、
 「ロイミュードはどうして生まれたのか?」
 「ロイミュードはなぜ人類と敵対するのか?」
 という進ノ介が当然考えて良い筈の最重要議題が延々と放置を受け、進ノ介が“本当の意味でロイミュードと向き合う”事をしないまま物語が進んでいき、そこに生まれても良かったサスペンスとミステリ、そして主人公の葛藤の全てを捨てる事になってしまったのは、致命的な落とし穴であったな、と。
 ベルトさんのアイデア自体は好きなだけに、不自然な情報の出し入れをほぼ全て、ベルトさんの秘密主義、に押しつけて処理してしまった――そして進ノ介がそれを受け入れて考えるのを止めてしまったのは、今作通して、つくづく残念なところでした。
 それをもって進ノ介とベルトさんの信頼関係、という割には、ベルトさんが止めた(情報も止めていた)バンノの罠に思い切り引っかかった結果としてゴルドドライブが誕生しましたからね!
 そんなこんなで、劇中のテーマ云々以前に構成への疑問が大きいのに加えて、全体的に演出の方向性も肌に合わず、特に後半は全く乗り切れないまま終わってしまいましたが、贔屓目だったキャラは、チェイス、後半に貫禄が出てきてからのハート様、追田警部補、といった辺り。
 ……最後に、書くタイミングを失っていた凄くどうでもよい話なのですが、
 OPの歌詞をずっと、
 「誰かが ユーロビート 信じない」
 と聞き取っていて、一体なに……? と思っていたら、
 「誰かが言う Logic 信じない」
 でした!
 あと、「mission ignition」で韻を踏んでいるのかと思っていたら、「Fire up,ignition」で全然違っていたという、以上、『仮面ライダードライブ』感想でした。

 現状、『ゴースト』再挑戦はしない予定。その後『エグゼイド』が配信されるようなら、以前にお薦めもいただいているので、再挑戦しようかなと思っております。