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始まる未来にはバックギアはない

仮面ライダードライブ』感想・第47話

◆第47話「友よ、君はだれに未来を託すのか」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
 配信の罠で、サムネイルからあと2話で終わりか……と判断していたら今回が本編の実質最終回で、OP無しから前回ラストを振り返り、(何故か)メディックとオーバドライブしたドライブは、ハートと共に2倍2倍の脳筋パワーで実質4倍!
 「ハート――俺に力を貸してくれ!」
 「いけぇぇぇっ!!」
 投・げ・た。
 速さを超える純粋なパワーでシグマに痛打を与えたドライブは、全てのタイヤをかき混ぜるトライドロンフルバーストから、ハートとの合体攻撃を直撃させ、長引かせても仕方ないですが、開始2分でシグマ大爆発。
 第二のグローバルフリーズとデータ化は停止するが、力を使い果たした進ノ介は、ビルに空いた大穴から外へと転落してしまい……何故か、森の中で目を覚ます。
 「……俺は、どうなったんだ……?」
 困惑していると虚空に黒い穴が広がるが、そこに現れた仮面ライダーゴーストに助けられて、しばらくゴーストが亡霊ロイミュードと戦う一幕が入り……ここで次作の宣伝要素を入れないといけない作る側も色々と大変そうです。
 此岸と彼岸の狭間から脱出し、今度こそ雨に打たれながら路上で目を覚ました進ノ介は、満身創痍のハートに救われた事を知る。
 「蛮野の野望は砕いた。はっ、実に無粋な野望だった。人間をロイミュードに近付けてどうする。俺たちが、人間に近付いて、越えるべきなのに。……はは」
 「もう、とっくに越えてるよ……おまえは」
 進ノ介はハートに手を伸ばすが、ハートは躊躇いながらもそれを拒絶し、始まる雨中のタイマン。
 「やめろ! もうやめてくれよ、ハート……俺はここまで戦ってきて知った。本当の悪意は、人間の中にしか無い! 最悪の正体(←※聞き取り怪しい)は、蛮野博士だった。ロイミュードは、人間の悪意をなぞっただけだ。犠牲者みたいなもんだ。ベルトさんだってそれはわかってる」
 う、うーん……ベルトさんって、「それをわかっている」上で、しかし「コアドライブを始め今の人類には過ぎた技術によって生み出された、人類に仇なす存在としてのロイミュードの殲滅」の覚悟を決めた人だと思うので、「全ての元凶、悪いのは蛮野」にスライドしたいあまり、最終話にして進ノ介とベルトさんの目的意識がアキレス腱断裂しているような。
 いやまあ、二人の考えにズレがある事自体は別に良いのですが、ここの進ノ介のニュアンスだと、ベルトさんだって寛容さを見せてくれるのでは、みたいな雰囲気をこの場の話の都合で出してますけど、この後のベルトさん自身の始末の付け方を見ても、そこは全く妥協する気ないよな、と。
 今になってみるとこの点も今作の物語的鉱脈だったと思いますが、とにかく、肝心の主人公が「ロイミュードとは何か」の根幹をスルーし続ける作品だったので……。
 「……だから? なんだというんだ!!」
 「……俺たち人間が、それを理解した今なら! ……きっとおまえ達ともやっていける筈だ。チェイスに続いて、おまえまで失いたくないんだよ!」
 「甘い。そこが嫌いではなかったが……おまえは甘い!!」
 進ノ介を突き放したハートが必殺の拳を放つ寸前、最上階まで昇って落ちていたベルトさんを回収してまた地上まで降りてきた霧子さんが駆け付けると進ノ介にベルトを投げ渡すが、進ノ介は変身せず、だが、シグマとの戦いの中でコアドライブに致命傷を受けていたハートは、最後の一撃を放てぬまま、崩れ落ちる。
 「やっぱり……おまえはもう……半分死んでたんだな」
 「ここまでの戦いで、コアに致命傷を受けていたのか」
 「そんな体で、なんで……?」
 「こいつは、俺と戦って消えたかったんだ。死を悟っていたからこそ」
 ええ……そこまでわかっていたなら、何故ドライブに変身して介錯してあげないの……?!
 互いに変身しないのは、ラストは役者さん生身で芝居を、というのはあったのでしょうが、進ノ介の発言と行動が噛み合っていなくて、それなら、ドライブに変身して思い切り殴られてあげた方が良かったのでは。
 「これで……俺たちは全滅だ。……泊進ノ介……せめて、おまえだけでも、覚えていてくれないか。ロイミュードという、この種族、新たな生物になろうとしていた奴らが……居た事を」
 「ハート…………当たり前だ。忘れるものか」
 「……ありがとう……最後の最後に…………友達が、一人……増えた。……初めての、人間の――」
 最期の言葉は、事あるごとに「友達」を口にしてきたハートらしいものとなって良かったですが、返す返すも3クール目、「進ノ介の父の殉職にはロイミュードが絡んでいたが、それとは全く無関係なハート様が突如として進ノ介をライバル認定し始める」に無理があった事と、4クール目に壁から飛び出てきた「真の巨悪はバンノ」のダブルパンチにより、ハートと進ノ介を宿敵にしきれなかった事が内蔵に深く突き刺さり、最終盤の両者の関係性を空回り気味にしてしまったのが残念。
 「……午後3時32分、ロイミュード108体――撲滅完了」
 進ノ介と霧子は塵となって消えたハートに敬礼を送り、全てが終わった事を見届けたベルトさんは、ドライブピットに戻ると、自らを含めたコアドライブ関連技術の全ての封印を断行する。
 「最後に私の気持ちを見抜いてくれて、嬉しかったよ進ノ介。ここまで心が繋がっているとは、私たちは、なかなかの、名コンビだったんだね」
 う、うん、いいシーンなのですが、ベルトさんが不在の時に、ちょっと……ハイ。
 「……なかなかのじゃないよ……最高だよ、ベルトさん」
 「君と霧子には負ける。この奥手の相棒を、これからも、頼んだよ、霧子。彼には、君が必要だ」
 最後の最後で、大事な相棒に側面支援を入れるベルトさん、一歩間違えると、照れた霧子さんの華麗なハイキックが進ノ介の後頭部に直撃して再びゴーストが出てきてしまうところでしたが、霧子さんも、受け入れた!
 「ではみんな、GOOD-BYE! いつの日か人間が、 美しい夜を手に入れる 私の発明を正しい事のみに使えるようになるその日まで!」
 そして、本当の最後に最後で、やはりちょっと人間観に問題があるのでは……?と見せつけたベルトさんは、トライドロンやシフトカー、各種装備品と共に、ドライブピットの地下深くへと消えていく……。
 「……ああ。そんな未来を必ず掴んでみせる」
 数日後――特状課は活動を休止し、メンバーは解散。これだけはベルトさんに渡せない、とチェイスの忘れ形見を手にした剛はハーレー博士と再会し、“家族”との旅へ。
 霧子を助手席に乗せてミルク飴とか食べさせてもらいながら(早くもバカップルの予感)、荷造りをせずにフラフラとドライブしていた進ノ介は白バイに止められ、チェイスのコピー元が白バイ警官だと判明するサービスシーン。
 女連れで真っ赤な車を乗り回す余裕から、「友達居ないだろ。俺がなってやる」とか言い出すのは、違反切符を切っても許されると思います!
 「俺たちには未来が待ってる。ベルトさんや……チェイスやハートたちから託された未来が。フルスロットルで進まなきゃ辿り着けないしな」
 「やっとギアが入りましたね」
 一つの踏ん切りをつけた進ノ介は未来に目を向け始め、作品のキーワードを散りばめた締めのやり取りは良かったです。
 「……俺、一つだけずっと言いそびれてた事があるんだ、霧子。――おまえは笑顔が一番だ」
 「……はい!」
 霧子さんの笑顔からOPが流れ始め、スタッフロール&特状課メンバーのその後について触れられ、進ノ介と霧子の未来はこれから――で、おわり。
 …………えー、最初にちらっと触れましたが、てっきりもう1話あると思いながら見ていたら、あれよあれよという間に、あれ? 綺麗に締めたぞ? とラストシーンになってしまい、途中まで全く最終話のつもりで見ていなかった為、次回、特別編の感想と合わせて、もうちょっと整理したいかな、と思います。