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つづけてリバイス

仮面ライダーバイス』感想・第3-4話

◆第3話「人質トラブル、どうする兄弟!?」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:木下半太
 「大二は、大二の出来る事をやればいいのよ」
 見舞いに来た病室で、ドライバーへたれ案件を思い出した弟の様子に気付いて母親が声をかけるところは良く、インスタントにならない丁寧な積み重ねは今後も期待したいところ。
 その頃、アミーゴブラザーズ緑により、デッドマンズはオブジェ様を復活させる生け贄となる強力なデッドマンを集めようとしている事が明らかになり、そこを訪れるフード姿の契約志願者から生み出されるモグラ……かと思ったら、最後の尋問シーンによると、コングデッドマン。
 銭湯から駆け付けた一輝は今回も自転車で戦闘員を轢き、どうして騒ぎの真っ最中に、幼なじみでもある妹の友達と再会して、雰囲気を出していますか(笑)
 弟と別行動だった為に手元にベルトの無い一輝は、フェニックス隊員に混ざって素手で戦闘員と取っ組み合い、序盤からかなり生身アクションをさせていくスタイル。そういえば第1話以来かえりみられませんが、サッカー要素が役者さんスキルならば、割と動ける方なのでしょうか。
 戦闘員から避難中に、拳銃持った男に幼なじみと妹が人質にされる謎トラブルが発生した後、弟と合流した一輝は変身するが、コングデビルの怪力に苦戦。
 「まともにやっても勝てねぇんだったら、卑怯な手を使おう! 卑怯なの俺っち大得意ー!」
 バイスが後ろからコングを羽交い締めにすると、リバイは躊躇なく必殺アクスを振り下ろし、大した事のないバイスの卑怯者LVよりも、リバイの思い切りの良さの方がヤバい。
 鬼呼ばわりを受けたリバイは逃げたコングを追うが、妹と幼なじみが囚われているとおぼしき倉庫の前にはコングと戦闘員が待ち構えており、更に幹部クラスのカブトムシガンマン(腹に犬の頭が、顔も何か別の生き物が入っているぽいので、三身合体とかでしょうか)が乱入。
 幹部の実力を見せつけたカブトムシはスタンプと人質の交換を要求し、思い悩んだ弟は空中戦艦に向かうとハンコを二つ貰って地上へと戻り、結果的に一つをカブトムシに、一つをリバイに渡すのですが、何か作戦があるのかと思ったら、本気でスタンプと交換しようとして失敗したように見えて、ちょっと描写が不明瞭。
 そもそも、リバイが前面に立っているとはいえ、一度空中戦艦まで戻ってスタンプを取ってくる流れそのものが強引にすぎて、新スタンプ運搬の事情と、新たなドライバーに引きつけられる場面を入れたい余りに、話の筋を歪めてしまった感。
 「貴様の事情を仕事に持ち込むな!! 目的を履き違えるな。デッドマンズから市民を守るが、おまえの仕事の筈だ」
 部下のマネジメントに難があるのでは疑惑のある艦長は、「市民を守る」部分において少なくとも通す筋のある人物だと明らかになり(割とその辺りから怪しい偉い人が過去に色々と居るので……)、ハンコの持ち出しは「市民を守る」為にOKの範疇なのか。
 それはそれとして、「おまえの仕事」だけど「フェニックスの使命」とは言わない辺り、信用はしきれませんが(笑)
 リバイスはリバイスで、マンモスハンコを手に入れると、能力も知らないのに人質そっちのけで真っ正面から戦闘を開始するのですが、途中でアミーゴ青は離脱しているし、倉庫に突入するわけでもなく長々と戦っているしで、人質が始末されていても全く文句を言えないレベル。
 いくらなんでも、「五十嵐家を舐めるな!」の中に、“拳銃を持った犯人は妹が空手で制圧する筈”が含まれていて、その前提で行動していたわけではないでしょうし、見せないといけないシーンありきで、キャラクターの行動原理がぐっちゃぐちゃ。
 そこで、見せたい(ないといけない)シーンとキャラの行動原理を擦り合わせてこそ、ヒーロー作品は面白くなると思うわけですが。
 イーグルはダブルっぽいなーと思っていたら、マンモスはだいぶ電王(武装はまさかのウイングフォーム)で、変身時のバイスの台詞を聞くに、各フォームは過去ライダーがモチーフの模様。
 コングを倒し、妹たちと無事に合流し、弟はアミーゴが落としていったプテラハンコを回収し、さすがに描写に困ったのか、一輝と人質の再会シーンはスキップされて、いきなり「じゃあ帰ろうか」みたいな笑顔のやり取りになっていて、人質の扱いの軽さが、天使の羽のランドセル。
 それにしても、弟の鬱屈に焦点を当てるなら第2話でも仄めかしを入れておいてほしかったところですが、1-2-3話で弟の心境が別人のように切り替わっていて、如何ともしがたい。
 コングの真の契約者は家族関係に問題を抱える幼なじみ・彩夏と示唆されて、つづく。

◆第4話「足りない愛情!アブない悪魔誕生!」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:木下半太
 率直なところ、家族の眼前で思い切りリバイスに変身している一輝が、バイスが見える事を隠している理由がわからず、すれ違うやり取りの面白さよりも、身内にはとっとと説明すればいいのに感が募ります。
 「世界を守る事が、家族を守る事に繋がるんだって」
 「いいや。家族を守れない奴が、世界なんて守れないんだよ」
 一輝はあくまでフェニックスとの契約を断固拒否し、怪人は1話単位で撃破するも、エピソードの主題は前後編の構成とした事により兄弟の価値観の衝突がスムーズに描けたのは、良かったところ。
 「俺は、兄ちゃんの連絡係じゃない!」
 使命感も計算も無しに他者の為に果断な行動を取ると共に、どんな強大な力を手に入れても立つ場所の揺らがない兄に苛立つ大地はアタッシュケースを放り投げ、変身失敗・大事なスタンプを奪われかける・契約任務放棄・民間人にドライバーを投擲の数え役満で、降格、待った無し。
 「…………なに怒ってんだよ」
 デッドマンズでは、生み出した悪魔と上級契約を結び一体化すると、インテリアもといゾフ様復活の生け贄の資格を得る事が説明され、アミーゴブラザーズ含めて(物言いからは、アミーゴシスターがカウントされているかは不明)6人の生け贄を集める事が当面の目標設定に。
 実家は飛び出した大二は、ドライバーを使いたい、とグラサン博士に直談判し、博士は仮面ライダーの玩具が並ぶ私室でトレーニング中。
 「じゃあまず……君自身の、アップデートが必要だ」
 つまり……筋トレですね!!
 一方、ジュニアアイドルとして妹を売り出す事に夢中の母親(いわゆるステージママ)に、自分の方を向いてほしいあまりに悪魔と契約した彩夏は、コングデビルと上級契約を結ぶ事で、デビルアヤカへと変貌。
 「やめろ彩夏! おまえの家族なんだぞ!」
 「――もう違うわ。今日から私は、ギフ様の子供」
 「彼女は悪魔に魂を売ったの。もう元の姿には戻れないよ」
 一般人に扮装したアミーゴシスターがいやらしく立ち回り、デビルアヤカはすさまじいパワーでリバイスを一蹴。
 「……家族だろ? ……なんで憎むんだよ?!」
 「はは、一輝くん、幸せな家族だけじゃないんだよ?」
 妹を拉致してデビルアヤカが姿を消すと、妹の名前だけを叫び続ける母親の反応がえげつなく、第3話にして主人公の拠って立つところに強烈なネガを突きつけると共に、一連の出来事は兄と弟にも大きな亀裂を走らせる。
 「自由気ままなヒーローごっこのつもりならもうやめてくれ!」
 「俺はただ、大二の力になれれば……」
 「だから誰も頼んでないんだよ! いつもそうやって誰かを理由にする。兄ちゃんのはお節介じゃなくて、ただの押し売りだ!」
 「大二……」
 「人の気持ちをわかったような顔して全然わかってない!」
 弟のこれは、完全な八つ当たりであり、一輝にフェニックスとの契約を求める事も、そうすれば自分を哀れまなくて済むからで、まさに押し売りなのですが、同時に、望むと望まざるに関わらず、“力”を得てしまったからには“変身”せざるを得ない物事もあり、果たして一輝が状況を捉え直すのかは、ちょっと面白くなって参りました(一面では、銭湯にこだわり続けるのは一輝の“強さ”ではなく“逃避”ともいえるわけで)。
 ……まあ、二人揃って、速攻でお母さんのところに行くのですが!
 (その一方、もはや単なる○人扱いの父……父……)
 「一輝、人の気持ちに寄り添えるようになりなさい」
 母に諭され、病院を出た一輝は自転車のカゴの中に置かれた新たなバイスタンプを手に取り……弟はもう、降格した方がいいのでは。
 「バイス……お前の言う通りだよ。……俺、愛情足りてなかった」
 翌日、デビルアヤカは妹を人質に母親を呼ぶように要求し、フェニックスが包囲を続ける中、母親を連れて一輝がやってくるシーンの音楽は格好良かったです。
 「俺は、日本一のお節介だからな」
 リバイがデビルアヤカを食い止めている間に、母親は悪魔と化してしまった娘(嫉妬の末に“鬼”と化したと思うと、非常に日本的な魔の観念であり)に語りかけ、ここまでの描写からするといきなり「本当は愛してる」とか言われてもなんだかな感はあり、ネガを突きつけたと思った直後に、結局家族は互いを想っている! と一輝の心情のままに事態が解決してしまうのは物足りない部分。
 ヒーローフィクションとしてはそれでいい部分はありますが、一輝の介入が母子の間に変化を起こしたわけではなく、母を説得して現場まで連れてきたとはいえ、「もともと愛してはいた」で通してしまったのは、もう一手間欲しかったな、と。
 どうも今のところ、劇中に散りばめられた「悪意」の総量と、着地点における「丸く収まりました」の開きが大きすぎて、「基本的にはサッパリ路線で行きたい」と「それはそれとして、人の心のねじれを描きたい」が噛み合っていないのですが、上手く“作風”として調節されてくれるのかどうか、少々不安。
 また、ゲストの問題と主人公らの問題を重ね合わせて解決に導く趣向はわかるものの、その結果として双方ともなし崩し気味の解決を余儀なくされており、レギュラーキャラ同士の継続的な問題もゲストの問題解決と同時にひとまず解決してしまうのは、余り上手く機能していないかなと。
 ところが、母の愛を感じて流れる涙が深紅に変わるとデビルアヤカが暴走し、ビルから落下した人質を救うためにリバイは空中でフォームチェンジ(この映像は格好良かった)。
 ファイズ:アクセルフォームがモチーフと思われますが、どこかキバっぽいファイズにも見えるプテラフォームを発動すると、エアロバイクとなったバイスにまたがって人質を無事に救出。
 「まったく……ヒヤヒヤさせないでよ」
 「大二……ごめん! 俺、こういうやり方しか出来ないから」
 「知ってる」
 「俺――やるよ、仮面ライダー
 兄弟の問題もひとまず解決し、作品の特性にもなる面白い要素だけに、もう少し引っ張ってくれても良かったのですが(この辺りも、「コースは本格和風懐石」だけど「料理人はガラムマサラを使いたい」みたいなズレを微妙に感じる部分)……お互いに少し歩み寄りつつ、立場的には弟の言い分が通った代わりに、俺の無茶の尻ぬぐいは任せた! みたいな形に。
 大二は博士から上級契約(フェイズ2)の解除方法を聞いており、仮面ライダーのフィギュアにポーズをつけながら「ライダー・キックだ!」という直球のメタ要素に物凄く困惑するのですが、メタを入れるならせめて、劇中においてどういう位置づけなのかを先に明示しておいてほしいところ(例えば、“仮面ライダーが実在する世界”なのか、“博士が劇中劇としての『仮面ライダー』シリーズのファンで、趣味全開でリバイスをデザインしたのか”では、意味が全然違ってくるわけで……)。
 やたらCGの安っぽい(特に車)チェイスシーンは要らなかった気がするのですが、リバイはレックスハンコキックでデビル成分を除去すると、解放された彩夏をお姫様抱っこでキャッチして、フィニッシュ。
 彩夏はフェニックス矯正施設に収容され、一輝は正式にフェニックスと契約を結び、大丈夫、エリア○8に送られない?! そして何故か、兄弟で撮った記念写真から一輝の姿がかき消えると、それを目にしたバイスは何やら合点してほくそ笑むのだった……と最後に不穏な伏線が一つ置かれて、つづく。