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ギンテイジャー・メモリアル

地球戦隊ファイブマン』感想・補遺

 構成分析などの資料として、銀帝軍ゾーン幹部陣の、作戦指揮回数をまとめてみました。
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●ギンテイブラック/ガロア
〔15・21・26・29・33・44〕:6回
 ギンテイブラックはうちゅうのスーパードライバー。うちゅうせんかんからタクシーまで、どんなマシンものりこなすぞ!
 前半の総司令ポジションなので、自ら作戦指揮を執る回数は必然的に少なくなりましたが、満を持してのデスマッチ → 個別撃破作戦 → 九州 → マグマベース総攻撃 → メンコ → ビッグガロア、と浮き沈みが激しい(笑)
 因縁の宿敵をやれていたのは実質第15話までで、その後、夏休みとお笑い時空に飲み込まれ、シュバリェ登場後は格上のシュバリェとの内部抗争にシフトした末に……メンコ。……いや、メンコ、割と強くはあったのですが……全体的に、相応の実力者が自らの間抜け属性に足を引っ張られた感じでしょうか。
 マックスマグマを引き出した第29話のマグマベース総攻撃や、掃除係に身を費やして約10話、臥薪嘗胆の末に繰り出したビッグガロアンによるスーパーファイブロボの撃破など、ここぞというところではそれなりの戦果を上げているのですが、起死回生の一撃を放った後に、物語がラスト4話で畳みに入ってしまったのは、ガロアにとっては不幸だったな、と。
 最終的には、星川両親の生存により親の仇の立場を失い、バルガイヤーの正体判明により艦長の座も失う事になりましたが、ガロアが「過去」に囚われ続けて最期を迎えたのに対し、星川兄妹は「過去」から解放されて「未来」へ進んだ、という対比はエピローグを上手くアシストしてくれたと思います。
 「子供だけでどこまで飛べるやら」は、物語の開幕として、実に名台詞でした。

●ギンテイブルー/ビリオン
〔3・8・12・(22)・25・39・40〕:6(7)回
 ギンテイブルーはけんのたつじん。おさけとたたかいがだいすきで、じぶんのことをかっこいいとおもっているよ!
 イメージ通り指揮回数の少なかったビリオンは、そもそも行動隊長タイプではない&なまじ実力者にしてしまったが為に、単純に、作戦指揮をさせにくかった感。どちらかといえば、現行『ゼンカイジャー』におけるハカイザーやステイシーザーのような、エピソードの作戦とは別枠のお邪魔キャラでこそ光るタイプだったとは思われ、色々な点で使い切れないキャラに終わってしまって残念。
 第22話は、ゾーンと別勢力のクイーンキラーがファイブマンと戦うのですが、クイーンキラーと旧知でラストにゴルリンを召喚する役回りだったので、参考記録扱いで。
 それを抜くと、1クール目はまだともかく、2クール目の終わりにギリギリ、そこからまた3クール目の終わりにギリギリ、と完全に不憫枠で……酒か、酒が悪いのか……!

●ギンテイイエロー&パープル/ドルドラ&ザザ
〔4・6・9・10・14・17・24・27・31・37・41〕:11回
 ギンテイイエローはへんそうのめいじんでとってもあたまがよいんだ! いろいろなメカをつくってみんなをたすけるぞ!
 ピアノがうまいパープルはイエローとなかよし。すばやいみのこなしでたたかうぞ!
 二人一組というのもありますが、シュバリェ登場後も含め、最初から最後まで満遍なく活躍。基本、博士枠なので策を凝らすのに向いているのに加え、前線に出る事に躊躇しない性格(出るとザザも戦える)、女性敵幹部コスプレ枠もこなせる、と縦横無尽。また、シュバリエと立場やキャラが被らないので、シュバリェ登場後も作戦の色づけを変えるのに使いやすい、とおいしい立場でありました。
 惜しむらくは、最終盤にもう1話ぐらい余裕があれば、ザザとレミのマッチアップによる決着も見たかったところですが。……まあ、ドルドラと融合して実質的な合身銀河闘士になってしまうのも、人格のある銀河闘士を掛け合わせて新たな銀河闘士を作り出してしまう非道な行為の片棒を担いできた末路として、ふさわしいものではありましたが。

●ギンテイレッド/ドンゴロス
〔5・7・11・13・16・18・23・36・43〕:9回
 ギンテイレッドはけいさんがとくい! おかねのやりくりをしながら、ゆうこうなさくせんをたてるんだ!
 銀河商人という事でコスト削減を旨とする事から、戦力の現地調達など悪の組織としての格を落としかねない作戦や、コメディリリーフ的な立ち位置を活かしてユーモア要素のあるエピソードを主に担当。
 キャラ的にしっくりと来て、使い勝手ではドルドラと並ぶ存在として前半はかなり検討しましたが、シュバリエ登場後は、顔出しの役者さんを優先する都合でか、前面に出る機会が激減。これは仕方のないところがありますが、序盤の予告ナレーションを担当した事もあって、作品通した存在感は強めとなりました(笑)
 ……何故、ドンゴロスが、予告担当だったのか……(アーサーで良かったのではないかという疑問)。

●ギンテイシルバー/シュバリェ
〔28・30・32・34・35・38・42・45〕:8回
 うたのじょうずなギンテイシルバーは、ガロアたちのせんぱいだ。かしゅになろうといんたいしたけど、ギンテイジャーのピンチをしってかけつけた、たよれるなかまだぞ!
 追加戦士枠のお約束として初登場後しばらくは作品を主導し、2回に1回はシュバリェのターン。第33話でガロアが更迭された直後の作戦が「人間カン詰」なのもインパクト抜群で(サメジゴクギンの性癖もインパクト抜群で)、『ファイブマン』後半戦を象徴する、宿敵・強奪!
 艦長の立場になると部下にも作戦を任せないといけないのが辛いところですが、就任後の作戦としてはやはり「偽兄弟先生」が白眉(笑)
 明らかに、策士策に溺れて明後日の方向へ迷っているのですが、彩り豊かなゾーン幹部陣の特性をこれ以上無く活かしてくれた、素晴らしい作戦でした。
 偽ファイブマン作戦に勝手にお墓作戦と、最後の最後までファイブマンを壊滅の危機に追い込み続け、既存幹部陣があれこれ割を食いましたが、有能なまま後半戦を駆け抜けたのは、お見事。

●メドー長官
 みんなだいすきメドーさま。きびしくもあたたかくギンテイジャーをみまもってきたけど、ほんとうはおとこのひとだったんだ。

●バルガイヤー総司令
 ギンテイジャーをつくったひと。だいすきなメドーになりきっていたよ!
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 80年代後半の《スーパー戦隊》は、敵幹部(行動隊長)の頭数を持て余す問題がしばしば見られるのですが今作も例外ではなく、デザインは面白かった各キャラを使い切れた、とは言いがたい形に。
 『ライブマン』では敵幹部の頭数を絞って敵味方を強烈な因縁で結びつける劇作が行われて有効に機能していたのですが、これも途中から幹部追加、後続作品にそのまま継承もされず、デフォルトでメンバーが5人の戦隊では、敵幹部の頭数をある程度揃えないと、強大な悪の組織に見えづらい、といった問題があったのかもしれません。
 『ターボ』では頭数を持て余す→幹部一新→新幹部は因縁の宿敵、といった形で『ライブマン』の作劇を応用しているのですが、肝心の「新幹部は因縁の宿敵」のところが上手く込み込めず、悪側の抱えるテーゼがヒーロー側とあまりにかけ離れていた失敗もありましたが、改めて、「俺たちの青春は終わった! これは、これはおまえへの訣別のボールだ!」は、早すぎたよな、と……!(笑)
 今作では、〔大首領・司令官・行動隊長3+1・テコ入れ幹部+トドメに影の大首領〕と実に大盤振る舞いで、テコ入れ幹部の登場後も人事異動こそあったものの、最終話寸前まで幹部リタイアが無し。更に、ギンガマンや医療(科学?)チームの継続登場など、銀帝軍ゾーンの強大さを示す意識は強かったと思われますが、途中の路線変更もあって、999個の星を滅ぼしてきた強大な悪、としての凄みを押し出しきれなかったのは、惜しまれるところです。
 その分、“ゾーンの脅威と恐怖”を一身に象徴して宿敵強奪に羽ばたいたシュバリェのインパクトと存在感が大きくなったので、プラスに出た部分もありますが。
 最終的に、頭数持て余し問題を抱えながらもラスト3話の幹部退場ラッシュは、両親の問題や真のラスボスの登場も含めて綺麗にまとめ、悪の組織の崩壊については、上手くまとまった作品でした。