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迷走の九州編

地球戦隊ファイブマン』感想・第25-26話

◆第25話「友情の桜島」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 「見よ、銀河闘士ライオギン。あれが桜島だ」
 ……本当に、桜島大噴火作戦だった。
 ライオン闘士が咆哮すると桜島に次々と隕石が降り注ぎ、飛行機で鹿児島へ調査に向かう星川兄妹、窓の外を飛んでいく青年を目撃(笑)
 星川兄妹は、謎の青年が降り立ったグリーンピア指宿へと向かい、観覧車の上に立ち、軽々と跳ね回る青年を追う内に作戦行動中のビリオンを発見するが、ライオン闘士の一撃で、まとめて海落ち。
 更に、次元を引き裂いての隕石落としというワルド怪人ばりのとんでもない攻撃に追い詰められるが、そこに謎の青年が飛び込んでくるとまさかの隕石キャッチを見せ、5人は青年を連れて一時撤収する。
 「愚か者め。またもやファイブマンに気付かれおって。こうなったらからにはこの私自ら隕石を落としてやろう」
 メドー様が身も蓋もないことを言い出し、桜島の大噴火まであと10時間――
 星川兄妹を助けた謎の青年・ジーグは銀河サーカスの団員であり、
 「時給700円で、てめえらに愛想笑いの切り売りが出来っかてんだよ!」
 ……じゃなかった、
 「サーカスを見る奴なんて、もうどこの星にも居やしないじゃないか! サーカスの時代は、サーカスの時代は……もう終わっちまったんだ!」
 とサーカス団を離れてゾーンに転職したライオギンを連れ戻す為に、地球まで飛んできたのだった。
 ゾーンによって荒れ果てた銀河でも、生き残った子供たちにサーカスを通して笑顔を届けようとするジーグと意気投合する兄妹だが、桜島が鳴動。長崎鼻でライオンと激突するファイブマンは、銀河サーカス殺人技の一つ・超次元シーソー殺法に大苦戦し、今週も飛び出すファイブくん人形。
 このままファイブマンが倒れ、桜島が有史以来最大の噴火を起こすかと思われたその時、ピエロの化粧をしたジーグが決死の説得を試み、ライオンの胸に甦る華やかな銀河サーカスの思い出。
 「あの時の笑顔、笑い声……銀河に取り戻そうよ。それが出来るのは僕たちだけなんだよ」
 「ジーグ……」
 かつての心を取り戻したライオンに不意打ちをあっさりと受け止められたビリオン(どう見てもライオギンの方が強い)は、ゴルリン21号を召喚すると、強制融合処置。
 「フフ、巨大化すればパワーも増すぞ! 桜島大噴火まであと一歩! トドメの隕石を落とせぇ!」
 剣を振り上げてのこういった台詞回しは似合い、悪の剣士としてはそれなりに格好いいのですが、どうして無様イメージが強いのか。
 ファイブマンスターファイブでライオンの口を封じるが、メドー様が参戦して隕石の雨は止まず、迫る地球最大の危機。そこにファイブロボにピエロの衣装を着せたアーサーが駆け付けるとジーグに操縦を任せ、再びの説得。
 ファイブくん人形による、TVの前のみんなも応援しよう、的な一幕が入り……70年代作品などでまま見られる、劇中の子供達から急に声援を送られるなど“子供たちのヒーロー”である事が強調される系のテコ入れを、より直接的に行っている感じ。
 ファイブロボの奇抜な使用法など、なんとか新しい面白さを、というスタッフの苦慮が見えますが、急な方向転換に困惑が先行します。
 ジーグが説得に成功するとライオンがゴルリンから排出され、残った21号はスターファイブが射殺。振り続くメドー様の隕石だが、ライオンが虹のバリアでそれを防ぎ……能力が桁違いすぎて唖然。
 銀河闘士というよりはもはや、「サーカスの力が、充ち満ちてくるぞー!」ですが、ジーグとライオギンは生身で飛翔すると地球を去って行き……たぶん、ウル○ラ一族、でつづく。

◆第26話「九州だョン」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 指宿市に自ら操縦するヘリコプターで降り立つガロア艦長! は、幹部陣とバツラー兵に癇癪をぶつけるが、突如としてバツラー兵の態度が豹変。
 「ガロア、よう来たな。待ってたぜ」
 「な、なんだ?」
 なんとその日は、銀帝軍の福利厚生として定められた20年に一度のさかさまデイであり、銀帝軍における全ての地位が逆転、すなわちガロア艦長が軍団最下級となり、バツラー兵が軍団最上位の権利を得るのであった。
 「何事も全てバツラー兵に従え」
 ごくごく平然と説明するメドー様……この人、ちょっと思いつきで作ったな。
 テニスに興じる星川兄妹の様子を、使い捨ての兵隊として前線に送り込まれたガロア艦長が物陰からじっと窺い、それをニヤニヤと見つめるその他の幹部たちにも、結構ストレスが溜まっている事が窺えます(笑)
 「ファイブマンの黄金像を、メドー様に捧げてみせよう!」
 ガロアは地球人の姿に大変身すると、銀河闘士コガネギンの金粉入り料理を兄妹に食べさせる作戦を立案し……予告時点では、キャラ崩壊系のギャグでもっと白けるかと思ったのですが、ガロア元艦長が凄く真面目に下っ端の自分を演じていて、変な面白さが(笑)
 ……まあこの後、鼻にティッシュを詰めたガロアが、リヤカーに乗せたコガネギンをえっちらおっちら運ぶ羽目にまで行くと、さすがにやり過ぎ感ですが。
 作戦失敗してビリオンにまで蹴りを入れられたガロア三等兵は単独でファイブマンに戦いを挑む羽目になるとコンビネーションアタックで大地に転がり、本格的に不憫枠。
 ガロアはスライディング懇願でコガネギンに助けを求め、ファイブマンを狙う一撃必殺の金粉ミイラ攻撃。
 海に潜ってファイブマンがこれを回避すると、観光タイアップ回の事情により、黄金エネルギーの枯渇したコガネギンを連れたガロアはゴールドパークを目指す事となり、兜を被ったまま自動車に乗り込む為に、必殺・車斬りで屋根を切り飛ばす、捨て身のセルフパロディ
 ゴールドパークへ先回りしようとしていた星川兄妹と激しいデッドヒートを繰り広げていきなりのカーアクションに突入し、かたや屋根無し、かたやドア無しで激走する、あまりのエキサイトぶりに再び発生する変な面白さ(笑)
 なんでもオッケー免許証を所有する銀河のスーパーマルチドライバーだったガロア艦長は皆川亮二作画になると星川兄妹を競り落とすが、すっごい故障で足止めを食っている内に星川兄妹は自転車に乗ってゴールドパークへと辿り着き、コミカル成分の増量と、タイアップ回名物・強引な名所巡りとが渾然一体となって九州の地にえもいわれぬ味わいのカオスを生み出します。
 基本、腰砕け系のギャグと、ガロアの間の抜けたリアクションで笑わせようとするので、笑えるかと言われると難しいところですが、長石監督による全編ここまでストレートなコメディ演出は珍しい印象で(後には『超光戦士シャンゼリオン』などありますが)、ゴールデンパークを舞台に加速するドタバタ喜劇の末に、バツラー兵の策謀により、ガロアもろとも爆殺されそうになるファイブマン
 ……人望が、無い。
 「ファイブマンは不死身だ!」
 だが5人はなんとか脱出に成功し、幹部揃って雑兵扱いのこんな展開で久方ぶりにオールスター主題歌バトル。艦長も復活して――「不死身でござる」は恐らく、『忠臣蔵』が元ネタ(「天野屋利兵衛は男でござる」)――ゴルリン22号を召喚するが、巨大コガネギンはスターファイブの二丁拳銃の露と消え、超次元ソードが格好良かった事もあって、どうにもスターファイブは冴えない印象。
 後に禍根を残しまくってゾーンのさかさまデイは終わりを告げ、投げやりなサブタイトルは何かアクロバットな接続がされるのかと思ったら、本当に投げやりのまま終わって、ファイブマンは南国鹿児島を去って行くのであった……。