東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

「あんたのお宝、いただくぜ!!」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・合体SP&第20話

◆映画公開記念合体SP『仮面ライダーセイバー』特別章「界賊来たりて、交わる世界。」◆
(監督:諸田敏 脚本:毛利亘宏 監修:香村純子)
 『セイバー』は第2話で脱落した為、普段のノリが全くわからず実際の破壊力は如何とも想像しがたいのですが、「着地成功オリヒメ」の瞬間の、
 よその作品で好き勝手しやがってぇぇぇぇ!!
 感に、わけもなく申し訳ない気持ちで一杯になります。
 まあ、ある意味ではこれ――異世界の法則による他世界の侵食――こそがワルド怪人の本質といえるので、かつてなく納得度の高いコラボ侵略が発生したりもしていますが(笑)
 『セイバー』世界の制圧を目指すトジテンドから派遣されたオリヒメワルドが、短冊に「恋人たちが喧嘩をしますように」と書くと、周囲のカップル達がその通りに喧嘩を始め……周り全部カップルだらけのところで、男二人で肩を寄せ合って星空を見上げていたのか君達。
 ひとまず敵とみなして変身するセイバー組だが、金色のよほほいが乱入の末に短冊の能力により逃げられてしまい……背高いな、セイバー組。
 そういえば『ゼンカイジャー』が着ぐるみメンバーなので、久しくこういう、長身の二枚目密度の濃い空間を見ていなかったのだなと思い至りつつ、短冊の力で変身アイテムを失ったセイバー組が、ゾックスと協力せざるをえなくなる流れはスムーズ。
 短冊の力に翻弄される一同だが、二度の戦いによりワルド能力の特性に気付き、ワンダーライドブックを「お宝」と認識している主人公たちにはそれが願い事の発動で“失われたように見える”が、あくまで強力な心理的錯誤に過ぎないので、それを「お宝」だと思っていない編集者には普通に見えるのは、編集者が行動を共にしている事に意味が出て良かったです。
 難を言えば、「織姫ワルドの能力特性への気付き」と「編集者には普通に見える」の連動性が弱かった事で、口に出しているといえば出していますが、織姫ワルドが短冊に書いた願いを把握しているのがやや不自然な事も考えると、キャラクターそれぞれの「お宝」観の違いから真実に気付く方が、ゼンカイ編への振りとしても美しかったかな、と。
 強化フォームのセイバー勢とツーカイザーが揃って織姫ワルドを撃破するが、最後にゾックスが余計な事をした為に、『セイバー』世界の剣士兄妹が界賊船にくっついてきたまま、ゼンカイ編へと、つづく。
 ……ところで本筋とは全く関係ない話なのですが、『セイバー』組のファッション、
 〔主人公:秋・編集者:春・友達青&黄:冬〕
 で画面上のまとまりが皆無なのは、通常運行なのでしょうか。

◆第20カイ!「剣士と界賊、兄の誓い。」◆ (監督:諸田敏 脚本:毛利亘宏 監修:香村純子)
 七夕が気に入ったあまり、二回目の七夕をやろうと盛り上がってカラフルを飾り付けていたマジーヌが、突如として消失。マジーヌを探す介人とジュランは、ゾックスを追う剣士兄妹がお馴染みの商店街の真ん中で段平を振り回しているところに遭遇するが、アース-45では、警察を呼ぶほどの事もない日常の一部であった。
 「ならば、おまえ達も粛正する」
 ゾックスの「仲間みたいなもの」と名乗った介人たちにも斬り掛かる兄剣士だが、背後でニヤニヤ笑うゾックスにコミカルな音楽を加え、殺伐としたすれ違いが、あっという間に『ゼンカイ』らしいドタバタ劇として処理されいくのは、さすがベテランの味。
 「ゾックス! この人になんかした?!」
 「お宝をいただいただーけ」
 「だけっておまえ?!」
 頭に血の上る兄剣士だがその時、突然、アーケードの屋根をぶち破ってヒコボシワルドが落下してくると、「織姫みーっけ」と妹剣士や街の人々を次々とさらった末に逃走。
 ひとまず兄剣士をカラフルに招いて判明した彦星ワルドの能力……ではなく性癖は、ポニーテールフェチであり、ツーカイザー対策として界賊の家族(フリント)をさらう筈が、理想の織姫を求める熱情に負けて当初の目的を見失っていた彦星ワルドは、イジルデにどやされて再出撃。
 一方、敵の性癖を見破った介人たちは兄剣士を巻き込んでポニーテールの乙女にそれぞれ扮装しており、戦隊の伝統芸(?)の一つながら『ゴーカイジャー』では触れられなかった「女装」要素を回収し、トジテンドではきっとサトシが、ヘソ出しチアガール介人への対抗意識を燃やしているに違いありません。
 「俺らこう見えて信じてんだわ、マジーヌの事」
 ジュランに続いて介人が、憤懣やるかたない兄剣士@桃色チャイナドレス(……今気付いたけどピンク代行?)を諭し、実際の役者さんの心境は窺いしれませんが、介人は介人なので、「照れる」とか「恥ずかしがる」どころか「自分が女装をしている」という感覚が無さそうで、ナチュラルすぎて怖い(笑)
 フリントの無事を確認したゾックスは新開発のギアを受け取り、女装組はまんまと罠にはまった彦星ワルドを、二遊間を抜けるライナー性の当たりでクリーンヒット。
 地上に降り立ったゾックスは、シスコンに免じて盗んだ本を兄剣士に返却し、この下りは正直、時間が来たので……といった具合になりましたが、キャラクターの共通要素を用いて話を転がす歯車にはしてみたものの、他作品からのゲストキャラという事で、掘り下げすぎないように意識してお茶を濁した感もあり。
 兄剣士は満を持して海産物パワーで変身し、デュランダルだけど武器がトライデントは、ツッコんでいいところなのでしょうか……。ゼンカイ勢はゾックスから受け取った合体SPギアで仮面ライダーの力を発動すると戦闘員を相手取り、一騎打ちでデュランダルと互角のパワーを見せる彦星ワルドだが、その背に不意に銃弾が突き刺さる。
 「あなた、私たちを舐めてたわね」
 戦闘員を蹴散らし、さらわれた人々を解放して駆け付けたマジーヌ&妹剣士が高い所に立って怪人を見下ろすのが格好良く決まり(何となく感じる『ビーファイター』風味)、妹剣士の煙化能力が終始やたら強いのですが、『セイバー』でも強キャラなのでしょうか。
 変身した二人の戦士は魔法パワーと昆虫パワーで彦星ワルドに大ダメージを与え、トドメを刺そうとする兄妹剣士だが、そこに高らかに響く、よほほい よほほい よほほいほーい。
 ゾックスは怪獣ギアを召喚すると、予告で見たのにすっかり忘れかけていたスーパーチェンジツーカイし、恍惚の表情からアップテンポの激しいダンスを決めて、一週間かけて、きっちりと振り付けを考えました!
 超ツーカイにレボリューションした金は、でっぱりの大きい肩&胸アーマー+マントがスーパールパンレッドを思わせるシルエットで、その胸アーマーに思い切り刻み込まれた恐竜顔のモチーフはVレックス(V繋がり?)。
 「なぜ踊る?」
 「海賊のパワーアップ――スーパーツーカイザー!」
 強化に海賊要素の欠片も見えないスーパー金ですが……考えてみると滝沢、ブイコマンダーを不法に拾得していたような記憶が無いでも無いので……本来は他人のもの繋がり?
 高速移動で彦星ワルドを圧倒したスーパー金は、デュランダルとトドメ争いの末に二人揃ってシスコンのパワーを炸裂させ、彦星ワルドはどきゅーん!
 今回は巨大戦があって短冊書き換えで大勝利し、普段からそうではあるのですが、ぬぬぬマジーヌは余りにもフリーダムすぎて、特に巨大戦だと、ざっくり感が増してしまいます。
 兄妹剣士は界賊が責任を持って送り返す事になり、劇場版への引きっぽい映像で、つづく。
 合体スペシャルという変則の都合はありますが、香村さん以外の脚本1番手が毛利さんは、さすがに予想外。もはやコラボ仕事人といって過言ではない毛利さんですが、作品Aと作品Bの間を繋ぐ要素を見出して、AB合体スペシャルをひねり出す手腕は相変わらずお見事で、パイロット版しか知らない『セイバー』部分も含めて、楽しく見る事ができました。
 実際のところ、『セイバー』組がどのぐらい壊されてしまったのか(『セイバー』ファンから見て納得できるのか)はわかりませんが、後編の剣士兄妹に関しては、生真面目な人達が『ゼンカイ』ロジックに飲み込まれ苦労する話、として実に『ゼンカイ』していたな、と(笑)
 『ゼンカイ』単独の都合を考えると、マジーヌとフリントがさらわれて協力する話こそ見たかった感はありますが、怪談回が物足りない出来だったマジーヌに、ひとまずヒーローらしい格好良さを見せられたのは良かったところ。またそれを、ジュランらの視点から補強できたのは、分割展開もスムーズにまとまりました(ゲストにスポットを当てる必要上、マジーヌ回、という作りにはなっていませんが、これは仕方ないところで)。
 次回――つ、遂に、禁断の巨大化?!