東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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タコ足以来のギリギリ感

仮面ライダードライブ』感想・第3-4話

◆第3話「だれが彼女の笑顔を奪ったのか」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
 前回、どこを走り回っているのだろう……? と思ってはいたのですが、特状課は警察署ではなく、運転免許試験場に間借りしている事が判明。
 霧子さんの服装や、食堂に居たやたらスカートの短い女性など、この国の警察は大丈夫なのか? 警視総監がロイ・マスタングなの?! と心配していたのですが、大丈夫じゃないのは運転免許試験場でした!
 美術館で発生した女子高生の行方不明事件と幽霊アトリエ騒ぎを結びつけた特状課は、浅矢という画家のアトリエを訪れるがロイミュードの強襲を受け、危機に陥った霧子を救う新たなシフトカー。
 続けてベルトさんもトライドロンで駆け付け、この辺りの車が仲間だ! は、シンプルに楽しい部分。
 露骨に画家っぽいデザインの絵の具ミュードは、物質を光の糸に変換、そしてまた物質に戻す能力を持ち、ロイミュードの強化形態は、ベルトさんによって進化体と呼称。
 「貴様が噂の新しい仮面ライダーか!」
 「新しい?!」
 ドライブはタイヤ交換で夢の一攫千金を目指すと体がスロットマシンになり……まさかの3段ズレ(笑)
 冷静に見るとかなり怖い状態から放った必殺技はしかし運任せで、外れの出目から出てきたのはコイン1枚(進ノ介の脂肪分……?)。その間に絵の具ミュードには逃走を許してしまい、いつも以上にカリカリする霧子に突っかかられた進ノ介は、グローバルフリーズの夜、霧子が人体をデータ化するロイミュードに襲われていた事をベルトさんから教えられる。
 「その時霧子を救ったのが、プロトドライブだった。そして、敵は彼を仮面ライダーと名付けた。ロイミュードにとって、それは宿敵の異名になったのだ」
 前回、怪人側から出てきた「仮面ライダー」の呼称ですが、今回も「どこからその名前が出てきたのか」については特に説明されず(ベルトさんも現状“全面的には信用できない語り手”でありますが)、まあ、特に個別の意味は無い固有名詞、でも良いは良いのですが、意味ありげに盛り込んだからには、ロイミュードからそう呼ばれました、以上の意味づけがあると嬉しいところではあります。
 「仮面ライダーか……同時に霧子のナイト様でもあるってわけか」
 第2話冒頭がある種のミスディレクションだった可能性は疑っていますが、現状、プロトドライブ候補の一番手であるベルトさんは、しれっと霧子をお姫様だっこしていた。
 プロトドライブは死亡したと告げるベルトさんは、現ドライブには敵のコアを破壊する能力があると言及し、ロイミュードはふよふよしたナンバーを破壊しない限りは、再生可能という事でしょうか。
 果たして、絵の具ミュードこそが半年前に霧子を襲ったナンバー010なのか? 過去の恐怖から被害者の救出を焦り、単独行動を取った霧子はナンバー084であった内弟子に襲われ、それを格好良く飛び蹴りで助けてヒーローポイントを稼ぐ進ノ介。
 ロイミュードが糸に分解した人間を絵の中に閉じ込めていた事に辿り着いたドライブは、コンクリタイヤでセメント弾を打ち出し、続けてモンスタータイヤーで身動きできない怪人を殴り倒して噛み殺し……今回は最初から“そういうもの”として見ているので受け止められていますが、このペースでのギミック投入は、当時ついていけなかったわけだと深く納得。
 内弟子ミュードを倒すドライブだったが、スケッチブックに描かれた白黒の被害者は元に戻ったものの、キャンパスに描かれたカラーの被害者は元に戻らず、光の糸にもカラーと白黒の能力差がある、のは面白い表現。
 もう一体のロイミュードが居る筈と気付くドライブが、その足を止める銃弾が突き刺さる。
 「仮面ライダー……か。俺の仲間を……殺ったな」
 「あの男……まさか」
 挑発的に派手なバイクにまたがった紫ジャケットの男――チェイスが風貌に比べるとだいぶ渋い声でブレイクアップすると、タイヤに囲まれながら異形の存在へと変身。
 恐らくバイクの車体を人型に再構成したいわば怪人バイク男かと思われますが、エンジン部分をモチーフにした左右非対称の頭部は包帯を巻いた骸骨を思わせ、原典『スカルマン』を彷彿とさせる“仮面ライダー”的な記号の取り込み方が、頭からリアウイング生やしているドライブとの対比も含めて、面白いデザイン。
 「俺は魔進チェイサー。ロイミュードの番人。同時に、死神だ」
 バイク要素の強調からも、どうやら“悪の仮面ライダー”の位置づけと思われる魔進チェイサーが登場し、とりあえず今のところ、顔の好み的にはチェイスなので、頑張ってほしいです(笑)
 ……次回サブタイトルから早くも、独自の美学系の香りがプンプンしますが!

◆第4話「誇り高き追跡者はなにを思うのか」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
 見所は、胸部から舌を伸ばす主人公として割とギリギリの攻撃。
 霧子と絵をかばいながらの戦いでチェイサーに苦戦するドライブは、ベルトさんとトライドロンの助けを借りて、ひとまず逃走。
 その光景にほくそ笑む絵の具ミュードは幹部会で吊し上げられ、来たるべき日に備えて進化体を一定数揃えなくてはならないが、それまでは人間社会に紛れて影の存在として行動する、ロイミュードの基本方針に言及。
 だが、ロイミュード全体の方針よりも自らの欲望を優先する絵の具改めペイントは、絵を隠して捜査を攪乱すると、行動を監視するドライブとチェイサーをぶつかり合わせている間に国外逃亡を図り、進化にともなってという事なのでしょうが、だいぶ人間らしい立ち回りを見せる。
 「俺は死神だがコアは壊さない。ロイミュードにやり直すチャンスを与える! ……だが、おまえはコアを破壊し仲間を減らす。真の死神はおまえだ、仮面ライダー!」
 ベルトさんいわく、プロトドライブを参考にしたシステムを用いたロイミュード仮面ライダーではないか、とされるチェイサーは、パッシブスキル《独自の美学》の持ち主ではないかと懸念されましたが、それはサボる口実ではなく役割への誇りであると明らかになり、3ポイント獲得です!
 一方、霧子は湾岸倉庫街でペイントミュードのアジトを見つけだし、もう少し先まで引っ張って大物キャラにするのかと思っていたのですが、割とあっさり、ペイント=ナンバー010であると判明。
 「半年前のあの日、私の顔から笑顔が消えた。本当に怖かった……今でも怖い。でも! だからこそ私は刑事に、ドライブの協力者になった! 同じような目に他の人達を遭わせたくない、あなたのような悪魔から、この手で守りたいから!」
 拳銃を構えるもペイントによって光の糸に変えられていく霧子だが、ベルトさんが用意していた新装備のハンドル剣(刀身が青白く光るのが格好いい)でチェイサーと戦闘中のドライブが、拡大する重加速現象を感知。
 復活したタクシーの助っ人を受けたドライブはトライドロンに乗り込むと追いすがるチェイサーのバイクを振り切って現象の中心地へと急ぎ、タイヤ増えーるで後方に妨害を撒き散らすのが、どちらかというと悪役っぽいです(笑)
 勝利の哄笑をあげるペイントだが、絵の保管場所を開くとそこはもぬけの殻で……実は霧子は敢えて正面突撃を行う事により敵に重加速現象を発生させるように仕向け、その反応を感知したドライブが人質でもある絵を先に回収したのだった!
 と、立ち上がり4話で、進ノ介と霧子がグローバスフリーズの日のトラウマから顔を上げ、互いを信頼するバディとしての第一歩目を踏み出すところまでを固め、これを警察官としての職業意識と繋げたのは、今作らしさとなって良かったです。
 「おまえは俺が裁く!」
 ……直後に、力強く私刑宣告が出ましたが(笑)
 超次元タイヤを装備したドライブは、上半身と下半身を分離させて戦えるようになり、ペイントミュードの触手攻撃をタイヤ付き上半身で回避するとそのまま触手の上を這い寄ってパンチを叩き込む映像は率直に気持ち悪いのですが、適応力高いな、進ノ介。
 打倒ルナドーパント、と主人公ライダーとして峠のヘアピンカーブのギリギリを攻めるドライブは、改めてハンドル剣を装備。ここで主題歌が流れ始めると二回目のルーレットで777を叩き出し、次元断層でズレた肉体から大量のコイン(前回冒頭で摂取したミルク飴のカロリー?)を放出すると剣にベガスを装着し、777フィニッシュ。
 主題歌の勢いでだいぶ誤魔化していますが、序盤の奇天烈具合は『鎧武』以上の感あり。
 『鎧武』、掴みのミカンインパクトとバナナインパクト以降は、戦闘そのものは案外と真っ当であり、感想で触れたように、紘汰が割と“正気”寄りの主人公でもあったのですが、先代の死亡に1ミリも動揺を見せず、境遇に共感したシフトカーに語りかけ、どんな突飛な能力にも即応する進ノ介は、実にヒーローらしい“狂気”に満ち溢れています(笑)
 ……ベルトさんのいう「超人」って、そういう事なの?!
 ところで私の中での三条さんというと、恋愛要素を入れるのが割と好きだが、惚れた腫れたのスイッチが唐突すぎてあまり巧くない、という位置づけなのですが、今作に関しては、とりあえずバディとしての進ノ介と霧子の関係性を丁寧に描いてくれたのは、将来の可能性も考えると好印象。
 半年前の経験から「仮面ライダー」への思い入れが強く、どういう理由か後継者として選抜された進ノ介に対し、一方的かつ過剰な期待を押しつけがちな霧子に対して、自身の正義感や警察官としての使命感から、人々を守って戦えるならとそれを受け止める進ノ介は格好良くなりましたし、翻って、霧子が勝手な女で嫌な印象が強くなるのも早々に回避できたのは良かったな、と。
 まあこの後、「突然、命がけで霧子を守り出すチェイス」とか、「突然、進ノ介との関係について過剰反応を見せ顔を真っ赤にする霧子」とか、発生する可能性も十二分に有り得るので、慎重に様子を窺っていきたいと思います。
 ペイントミュードが撃破されて絵に囚われていた女性たちは解放され、新たな仮面ライダーへの警戒を強めるロイミュードでは、チェイスを差し置いて、大食ミュードがドライブへの刺客に名乗りを挙げる。
 「何故こう無秩序で、無遠慮で、問題の者ばかりが力に覚醒するのかな?!」
 ブレンさん、大変面白かったので、10ポイント進呈します!
 一方、特状課では女先生こと、りんながシフトカーをむんずと鷲掴みにし、早くも身内に漂う不穏な気配で、つづく。