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ゆるりと『コスモス』

ウルトラマンコスモス』感想・第1話

◆第1話「光との再会」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:大西信介 特技監督:佐川和夫)
 ナレーション「その夜、人々は美しい不思議な光を見た」
 都市上空に浮かぶ、巨大な光の帯……幻想的な光景で穏やかに始まるのかと思いきや、その光は、粒子の一つ一つが生命反応を有しており、いわば、光のウィルスなのであった!
 ……あった! と劇中では盛り上がっているのですが、正直、掴みのハッタリとしてはややこしく(幾らテクノロジーが違うとはいっても、遠くの島からサーチしただけで光の粒子の一粒一粒の中のDNAを即座に確認した上で、それを初手でウィルス(悪いイメージ先行)に例えるのは、飲み込みにくく)、これなら、先にカタストロフを起こした後で、データの詳細な分析の結果、光の正体がわかった……みたいな形でも良かったような。
 まあ、ゴーデス細胞のようなものか……? と受け止めは出来たのですが、急速にエネルギー量を増大させた光のウィルスは、一帯を丸ごと吹き飛ばす巨大な災禍を引き起こし――
 ナレーション「チームアイズ、民間の総合科学研究機関・SRCの精鋭たちで構成された、救助活動から、怪獣の捕獲・保護、超常現象の調査に至るまで、幅広いフィールドで活躍する、エキスパートチームである」
 サー○ェス財団お抱えのサンダーバード(或いは何でも屋扱いの増したUGM)みたいな組織の存在と、怪獣保護区域のある世界が示され、怪獣に思い入れの強い心優しき青年・ムサシ(杉浦太陽さんが、実に若い……!)が登場。
 「こうして大人しいのを見てるとな、シールドで閉じ込めておくのが可哀想になるときもあるよ」
 「なんとか出来ないんですか? ……自由に」
 「怪獣は怪獣だ。無理な話さ」
 人間と野生動物の関係性の寓意として、ただ存在するだけで人類の生存圏と衝突する巨大怪獣との問題を描くのは、個人的に割と地雷になりがち(抜本的な問題を無視して、その場凌ぎの処置をハッピーエンドにされたりするのが苦手)なのですが、どうやら今作の主要なテーマになりそうで、不安半分期待半分。
 大破壊を引き起こしたウィルスの痕跡を追い、チームアイズの調査チームが保護区域を訪れた目の前で、ムサシに懐いている巨大怪鳥がウィルスに取り憑かれると、目つきが凶悪になり、口からビームを出し、シールドを突破。
 大地を割る怪鳥ビームは迫力でしたが、全体的に合成が3年前の『ガイア』より粗く見えるのと、円盤戦闘機のCGの、のっぺり感はちょっと気になるところ(CGに関しては、2001年だとこのぐらいという気はしますが)。
 「ウルトラマン……僕はリドリアスを救ってみせる。君と約束した、真の勇者になる為に」
 日本区域に飛来した怪獣は更に凶悪な姿に変貌するが、少年時代、巨大な青い巨人――ウルトラマンに出会っていたらしいムサシ(ウルトラマンの手の上に乗っての飛行シーンは、『ガイア』の名シーンを思い出します)は、決死の説得を試みる。
 ウルトラマンゆかりの品らしいペンダントを用いての説得が功を奏し、元の姿に戻った怪獣は自発的に保護区域に戻ろうとするが、防衛軍が攻撃を仕掛けてしまい、撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ、と再び凶悪化。
 双方の戦いを止めようとしたムサシ機が被弾したその時、地球に近付く巨大な生命反応。大気圏に突入した巨大な光球は、墜落途中だったムサシ機と直撃し――出現したのは、青いウルトラマン
 「あれは……」 「まさか!」 「嘘だろ……」
 ウルトラマン――コスモス」
 みんな知ってた。
 個人的な印象も含めて、近年の《ウルトラ》シリーズは、劇中世界において、ウルトラマン(怪獣)の存在が認識されていたのかいないのか、いたとすればどう位置づけられているのか、が極めて曖昧な上に話の都合で雑に乱れがちなのが、導入で引っかかりやすい要素になっているのですが、どうやら過去にウルトラマンが来訪した事があるらしい地球(ウルトラマンと怪獣の存在が認識されている事に明確な理由がある)と明示されたのは、面白い切り口。
 SRCと思想的対立があるのかな、と思われる防衛軍の戦闘機部隊が、コスモスを見た途端に攻撃を中止して引き上げていくのも、問答無用の説得力(笑)
 コスモスは回避と捌き中心の戦闘スタイルで怪獣を弱らせると、光線技を反射。ウルトラアイでウイルスの本体を探り当てると術式を開始し、癒やしの光でウイルスを切除し、オペ成功。
 まばゆい光を放つウルトラオペの際、腰だめに構えた左手は手の平を開いて上に向け、怪獣にかざした右手もまた手の平を開いているのは、右手を前にぐっと押し出していくのでやや印象は変わるものの、仏像の印相における施無畏与願印如来像に多く見られる形。有名なところでは、奈良の大仏)を思わせ、従来作以上に、神仏のイメージを纏っているように感じるところ。
 「あれが伝説の……巨人」
 「帰ってきた……ウルトラマンコスモスが」
 ウイルスを除去された怪獣は保護区域へと帰っていき、飛び去ったウルトラマンは、人知れずムサシの姿に。
 「……僕が……僕がウルトラマンに……なった……?」
 果たして、ムサシとコスモスの関係は? そして、怪獣を凶悪化する光のウィルスの正体とは? 第1話を見た限りでは、作風が好みに合うかなんとも……といった感じはありますが、折角の配信なので見ていければと思います。
 次回――宇宙を巡る調和と混沌、いきなりぶつかり合う理想と現実、時に拳を時には花を、いよいよピンチの時は……相手の目を狙うのよ?!

 余談:OPを見て最初に思った事が、あ、まだ、本格的に太る前の嶋大輔だであった事を全方位にお詫びします。