東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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スケジュール調整ミス

 諸事情につき今回はざくっと気味で。

仮面ライダー鎧武』感想・第33-34話

◆第33話「ビートライダーズ大集結!」◆ (監督:石田秀範 脚本:虚淵玄海法紀光
 なんだか凄く間の抜けたユグドラシル上層部会議に乱入したプロフェッサーは、お偉方が主導権争いにかまけて“禁断の果実”に興味が無い事を確認すると、プロジェクトアークの内容を全世界に公開する事でユグドラシル崩壊の号砲を鳴らし、全世界に走る激震。
 改めて、日本支部の呉島主任の重みが浮かび上がる一件ですが、一時期とはいえプロフェッサーを御していた上、道を違えた末に裏切りにこそ遭うも、プロフェッサー暴走の最後のストッパーとなっていた兄さん、どれだけ貴重な人材だったんだ……。
 ひとまずチーム鎧武のアジトに集った紘汰たちは、自衛隊などによる外部からの救援がアテに出来ない事と、沢芽市は再開発の際に、いざという時に封鎖しやすい地形にされていた事を知る。
 「許せない……!」
 「許せなきゃ――どうする」
 は凄く、紘汰と戒斗という感じで良かったです。
 「他人をアテにしたい奴は勝手にしろ。自分で動きたい奴だけ、ついてこい」
 コートの裾を翻し、格好良く外に出て行こうする戒斗だが耀子に止められ、耀子は全員に通信機を配布。何故か舞の音頭で手分けして街の様子を探りながら逃げ遅れた人々を探す事になり……意図的にやっている部分も含めて『鎧武』の特徴なのですが、物語のスケール感を上げた時に、その場の人員ではどうにもならない状況――例えば、相当数の人が逃げ遅れている事が容易に想像可能なので、見つけたとして何をどうするつもりなのか――が発生し、なんのビジョンも無いままとにかく行動、という事になりがち。
 勿論、手をこまねいて何もしないのはヒーロー的でもないですし、出来る限りの生存者とコンタクトを取りたい心情そのものは不自然ではなく、そもそも今作がそういった、どうにもならない状況にぶつかりながら藻掻く者たち、というのが一つのテーマではあるのですが、解決に向けて多少の糸口が見えないと、「物語」としては状況そのものがストレスになってしまう事に。
 で、今回と次回がかなりわかりやすい見せ方だったのでようやく腑に落ち、思えば「ヘルヘイムの森」自体が“そういうもの”であったのですが、今作の基盤の一つは「ディザスタームービー」であったのかと納得すると同時に、自分がディザスタームービーの類いが苦手な事に思い至るのでありました――つまるところ、今作に私が感じがちなストレスの要因の一つが、今作のディザスタームービー構造にあるのだろうな、と。
 「おまえが管理し、私が遊ぶ」
 緑ロードがミッチに人間文明の扱いについて取引を持ちかけていた頃、アジトに残ってオペレーターを務めながら弱音をポツリと洩らす舞になんか優しく声をかける戒斗さん、どうしたの、お腹でも痛いの?!
 舞は舞で妙に戒斗を持ち上げ、互いになんか不思議なフィルターかかっているけど、大丈夫なの?!
 そしてその状況で紘汰が戻ってくると、アジトを離れてパフェ屋へ行ってしまっていいの?!
 紘汰は紘汰で、冒頭で姉ちゃんを心配して探していたの、忘れてるの?!
 紘汰の味覚に異変があるような描写が盛り込まれ、奇妙なインベスを目撃した耀子からの連絡で紘汰は合流。
 「なあ、なんであんたはユグドラシルを裏切ったんだ?」
 これは、裏切ったというより、切り捨てられた、という状況では……
 「裏切ったんじゃないわ。あっちに見捨てられて、こっちも見限ったってだけ」
 と思ったら、耀子がそのままの言葉を返して変な面白さが(笑)
 「あたしは力を求める人が好きなの。どこまで行けるか、見届けたくなる」
 ナチュラルに自分を高みに置く耀子のフェチズムが明かされ、そこに出てきた、突然雑に喋るクジャクインベス……は、オーバーロード扱いなのでしょうか? なんか急に喋る怪人が出てきて、気取った構えで光る剣を振り回し、これまでのインベスと芸風が誓いすぎて困惑している内に、今週もぼてくりまわされるピーチさん。
 勝ち鬨クジャクとミッチメロンに挟まれ、割と最近、「あんたに何があったのか知らないが、俺だってここで倒れるわけにはいかない」ので戦意喪失するまで殴り続けようとしていた気がする割に今回は「やめてくれ」と防戦一方な鎧武だが、そこにドリアンが割って入り「こいつは偽物よ」と乙女センサーで断言するも、メロンアローの直撃を受けてリングアウト
 「ならおまえは何者だ?! ……くぅぅ、ううう!!」
 考え事するメモリ(640KB)が限界に達した鎧武はフルーツバスケットし、偽物ならもういいでしょ、とオレンジ薙刀をMメロンに一閃するとDJ火縄銃をぶっ放し、慌てたMメロンはクジャクを盾にして逃走。
 「なんでだ……なんであの人ばかり強くなる! ……でも……どんな力を得たところで、紘汰さんは紘汰さんのままだ。付け入る隙はある。…………最後に笑うのは僕だ。……ふふふふ……ふふふふふふふっ……」
 ミッチとの対比としては“真っ正直さが人を惹き付けるから”とでもしたいところですが、強くなった理由は“超次元ネットアイドルの愉しい玩具認定されたから”なので、真実を知らない方がミッチはむしろ幸せかもしれない……。

◆第34話「王の力と王妃復活」◆ (監督:諸田敏 脚本:虚淵玄鋼屋ジン
 状況が緊迫度を増す中でコミカルな要素も入れたい意識はわかるのですが、毎度毎度のピエールのクドい描写はさすがに辟易で、『オーズ』中盤ぐらい以降の、諸田監督のこの路線は、個人的には残念。
 チーム鎧武のアジトに顔を出したミッチは知恵の実を餌に耀子を抱き込もうとするが、「王になりたいのではなく王を生み出したい」のだと頭から切り捨てられると激しく動揺し、自分がシドを相手に言ったのとほぼ同じ発言を他人がすると驚天動地といったリアクションなのは、幾ら何でも底が浅すぎなのでは。
 ミッチが基本的に、精一杯背伸びして事態をコントロールできるつもりでいる底の浅い策士なのは意図的ではあるのでしょうが、ある意味で、仇役になっている現状では、物足りなさが目立ちってしまいます。
 「馬鹿ね。君の居場所なんて、とっくの昔に無くなってるわ」
 緑ロードは人類の技術を用いての王妃復活を校長先生に持ちかけると、全世界に宣戦布告。その結果、沢芽市ごと侵略者を撃退しようと世界各国から多数の戦略ミサイルが飛来するが、緑ロードの口車に敢えて乗った王が姿を見せると、時間停止斬りでミサイルを一掃。
 「私はただただ、愛する者の目覚めを望む。それ以外はどうでもよい事だ」
 王妃の前には神の力さえガラクタに過ぎない校長、全てを失い流されるままに人間世界へ帰還した貴虎、そして、迫り来る脅威を前に足掻き続けるビートライダーズ……果たして、沢芽市の、そして世界の未来は?!
 「やっぱり僕の判断は正しかった……居場所なんていらない! 世界が終わった後に僕の手で……理想の場所を造ればいいんだ」
 禁断の果実のもたらす力を目の当たりにしたミッチは床に転がって壊れたレコードのような笑い声を上げ、王妃復活装置のエネルギー源として人間狩りを行うインベスに連れ去られてしまう紘汰姉……でつづく。
 割と突然ヒロイン力を発揮する紘汰姉ですが、こうなってみると、『キカイダー』コラボ回でエピソードヒロインを務めた事が効果を発揮しており、何が幸いするかわからないものであります。
 スケールが大きくなりすぎて、完全に個々のインベス戦とかどうでもよくなっているのは大胆と言えば大胆な作劇ですが、封鎖され閑散とした都市と逃げ遅れた人々、そして迫り来るカタストロフ、とやればやるほどボロが出やすくなる(&この緊張感の持続が難しい)、実写TVシリーズとは大変相性の良くなさそうな状況設定になっており、どうやってあと1クールあまり保たせるのか……次回――サブタイトルが珍しく格好いい。