『高速戦隊ターボレンジャー』感想・第42話
◆第42話「コワイ誕生日!」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
見所は、野球場の外野グラウンドに俯せで転がっているレッドターボ。
そして、外野スタンドに仰向けに転がっているデビルボーマ。
筆舌に尽くしがたい味わいのあるシーンでした。
ストレートなデザインのデビルボーマが大復活し、妖精シーロンをさらうべく分身小悪魔を放っていた頃、大妖精17ではシーロンの誕生パーティが行われており、妖精グラスをつけっぱなしでパーティに参加している博士、不審者すぎます(笑)
アイドルなのでずっと2万と9歳を主張するシーロンが、大要塞17に侵入したデビル小悪魔にさらわれてしまい、デビルボーマの目的は、妖精のオーラを吸収し、不死身の存在となる事!
「博士、オーラを吸い取られた妖精はどうなるんですか?」
「勿論――死ぬ」
毎度デリカシーの足りない博士は重々しく断言し、シーロン救出の為に出撃する5人だが、デビルボーマの元に連れ去られたシーロンは妖精オーラ吸収の為に生きながら丸呑みにされ、小妖精の躍り食いが、鮮烈の映像。
「みんな……助けて……みんな……」
デビルボーマの体内で七転八倒するシーロンの弱々しい声をキャッチして洞穴に乗り込む高速戦隊は、デビルボーマをビクトリーしたら腹の中の妖精も死ぬぞと脅されて、このパターンはちょっと使いすぎな印象です。
ヤミマルらも含めた集団バトルに突入し、勢いでズルテンまで混ざっているのに赤ウーラーの姿が見えないのですが、残り話数で、出番はあるのか赤ウーラー……。
シーロンの吸収による強化まで時間を稼ごうとするデビルボーマは、暴魔コウモリをタクシー代わりに召喚して逃走を図り、それに食らい付いた赤だが溶解ガスを受けて墜落してしまう。力はシーロンの声を必死に辿る内に東京ドームシティに辿り着くと、ビルの屋上にデビルボーマを発見。
シーロン消化まで残り20分……ビルを駆け上がるレッドターボはキリカの妨害を切り抜けてデビルボーマへと剣を振るい、基本はタイムリミットサスペンスなのですが、一般暴魔獣の足にされる暴魔コウモリ、何故か屋上で待ち受けるデビルボーマ、一向に合流できない仲間4人、と個々の事象への説明(ないし納得度を上げる為の描写)が脱落しすぎていて、どうにも展開が雑。
また、デビルボーマの胃袋の中で苦しむシーロンの姿は見ていて楽しくはない、随時挟まれる博士は「頼むぞレッド」ばかり、死にもの狂いの赤の苦闘が描かれるほど仲間達がどこで何をしているのか気になる、と、総じてサスペンスが盛り上がるというよりは、同じ描写の繰り返しが物語の劇的な進行を妨げてしまっており、長石監督回としては残念な出来。
(シーロン……もう一度……もう一度、君の笑顔が見たい)
シーロン消化まで残り5分、シーロンの誕生日にプレゼントとしてあげたトルマリンの特性を思い出した力は、赤に変身するとターボ電磁波を放射しながらデビルボーマを剣で貫き、それにトルマリンが反応して大爆発。
トルマリンが激しく放出した静電気により、デビルボーマの腹に開いた穴からシーロンは脱出し、不死身になり損ねたデビルボーマには赤の飛び蹴りから二刀流のGTクラッシュでビクトリー!
今回はヤミマルが巨大化し、ラガーファイター発進、デビルボーマの斬撃を受け止めて殴り飛ばしてからキックオフの変則パターンで、よろけたデビルボーマにスクリューラガーキックが炸裂し、ターボレンジャーは妖精の天敵を始末するのであった。
夜の東京ドームを背景に、挿入歌に乗せてシーロンは舞い踊り、5人のシーロン愛を確認して、つづく。
終盤戦を前にシーロンを取り上げた事そのものは良かったのですが、撮影の手間もあってか、便利なアドバイザー扱いになっていたシーロンと5人の関係掘り下げが長い間これといってなく、それらを一気にカバーするほどの劇的な積み上げにもならず、そのくせ5人がシーロン大好きを力強くアピールするので(それ自体への違和感は無いにせよ)、今ひとつ冴えない出来に。
力回としてもこれといって面白くならず(敢えていえば、不死身ボーマ回と繋がっているとはいえますが)、キャラクター同士の化学反応が上手く引き出せなかったエピソードといった感。
次回――一歩間違えると、これまでの諸々の描写との整合性が取れなくなりそうで不安ですが、果たして、自爆装置はどうなる?!