東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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暴魔百族らしさとは

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第33話

◆第33話「奪え!洋平の顔」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 「あなたも浜くんのようになりたい?」
 武蔵野学園高校の学園祭にナンパにやってきた、チェックのジャケット+バンダナ+べっこうメガネのいまいち冴えない男。次々と女子に声をかけて回るも相手にされず、昔なじみらしい洋平のモテぶりにひがんで座り込んでいると、そこに声をかけてきたのは、月影小夜子。
 前回までは運命のビッグウェーブに踊らされている感が強かったキリカ/小夜子ですが、落ち込む男を見下ろし浮かべる怪しい微笑が非常に良いはまり具合で、パンフレットに顔を隠しながらの登場も効果的に。
 小夜子にそそのかされた男――クワタは洋平を誘き出し、ノッペラボーマの能力により、洋平とクワタの顔が交換されてしまう!
 「へへー、これからはな~、この俺がモテるんだよ。見てろよー。モテてモテてモテまくってやるからなーだ! ひゃっっほー!」
 洋平の顔にクワタの声、クワタの顔に洋平の声をアテた入れ替わりとなり、駆け付けた仲間達は困惑しながらも変身するが、黄と桃がのっぺらボーマの顔交換ハンドに捕まり、あわや性別転換、と思われましたが……
 「おのれー。強化ヘルメットには効かぬか!」
 このあっさりとした駄目具合が、大変、暴魔百族です(笑)
 キリカは月光剣、飛んできたヤミマルは流星剣を用い、ちょっと『聖戦の系譜』を感じつつ(発想としては珍しくないものですが、『ファイアーエムブレム聖戦の系譜~』というゲームに、「流星剣」と「月光剣」という攻撃スキルがあり、後でズルテンが「太陽剣」を使えば、三つ揃う事に(笑))、ここで使われる戦闘BGMが格好良く、前回-前々回と少々バタバタしましたが、今回一気に、悪の女幹部としてのキリカの格好良さがアップ
 「洋平! おまえと同じ苦しみを、人間どもみんなに味合わせてやるぜ!」
 人間社会の攪乱目的としては有効ではありますが、公認幹部になっての作戦第1弾としてはせせこましいような……
 「くだらん! なんてくだらん作戦だ!」
 赤い糸ラリアットの直撃を受け、頸椎骨折でリタイアが心配されていたズルテンが全視聴者に変わって即座にツッコむが、そこへキリカとヤミマルが帰還。
 今回の作戦はただのイケメンへの嫌がらせ……ではなく、すり替えられた顔はやがて完全なのっぺらぼうとなり、そうなった人間は暴魔百族の奴隷と化す二段構えの作戦である事が明かされる。
 「素晴らしい! 暴魔百族よりも、暴魔百族らしい作戦といえよう」
 大帝様は、この数ヶ月に色々ありすぎて、ハードルが下がっております。
 その頃、のっぺらぼうの真相を知らないクワタは洋平の顔でナンパを始めるが、のっぺらボーマの姿にへっぴり腰で逃げ出し、襲われる女生徒を救ったのは、クワタ顔の洋平。クワタが持っていた怪しげな軟膏にのっぺらボーマの能力を無効化する作用がある事が判明し、かなり強引なマジックアイテムの挿入ではある一方、暴魔百族の妖怪ぶりに加速がついて一定の納得は出来ます(笑)
 ……多分、クワタの先祖が落とし穴にはまった妖精を助けたりして教えて貰ったのです。
 かくして軟膏争奪戦が始まり、いきなり撃墜される暴魔コウモリ。
 それでこそ暴魔百族! と不安が怒濤の如く押し寄せますが、《スーパー戦隊名物》大事なアイテムパス合戦に突入し、前回の逆襲とばかり、あんたなんかこっちこそお断りよ! とヤミマルにステッキブーメランを炸裂させる桃。吹き飛んだ軟膏を全員が見失って右往左往する少々コミカルな一幕を挟んで、膏薬を確保した洋平がのっぺらボーマに直接軟膏を擦り込むと、術が解除されて元の顔に。
 「暴魔獣、よくも俺の顔を玩具にしてくれたな!」
 今回ちょっと謎なのは、クワタ顔の洋平はブルーターボに変身できない(しない)事なのですが、変身したら身も蓋もないとはいえ、顔認証システムだったのかターボブレス。
 セキュリティを乗り越えて変身した 怒りの青は容赦ない連続攻撃でのっぺらボーマの顔にへのへのもへじを刻み込むと、JマシンガンからVターボバズーカでレディ・スパーク・ゴー!
 巨大戦ではターボラガーがセットアップし、バトルボール(と今回から呼称)をキックオフするも暴魔獣にはたき返されるが、頭突き→飛び蹴り→パンチング、の応酬でボールを叩き込む事に成功すると、ビッグラガーガン、そしてスクリューラガーキックでビクトリー。
 必殺攻撃がキック、という戦隊ロボでも珍しいターボラガーですが、どうして、宿敵(ヤミマル)の得意技と被っているのか謎(笑)
 後々、ヤミマルの母親は妖精流武術の継承者であった事が明らかになる悲しい真実の前振りとかなのでしょうか!
 最後は、クワタ顔の洋平が活躍した事により、クワタが女子高生に囲まれて逆に洋平が駄目男の烙印を押されるのですが……クワタは洋平に申し訳なさそうな顔をするものの、完全に誤解でモテたままの退場で、それでいいのか……。……まあ洋平は洋平で、女子に囲まれてチヤホヤされるのは楽しいけど、小学生時代の年上の女性への恋をずっと引きずっている業の深いタイプなので、なんだかんだ、丈がいいのではないでしょうか(1年戻る)。
 EDは相変わらず旧幹部陣で、前作と比べるとこの辺りのマイナーチェンジが遅いのはちょっと不満。
 顔交換という形の人格チェンジ回でしたが、洋平とクワタの落差がそこまで面白くならず(いっけんお調子者だけど芯の熱い洋平像は序盤から一貫していますし)、これなら仲間同士だったり太宰博士を巻き込んだりした方が面白くなったのでは、とアイデアから芝居の広がりに関してはやや期待外れだった一方、小夜子モードでの悪い顔を見せる事により、キリカの人間への悪意がより鮮明になったのは、良かったです。
 ところで今回、鈴鳴回でほのめかされた洋平のモテっぷりが明確になって高速戦隊の二枚目ポジションを確定するのですが、コメディリリーフ兼任の剽軽者が実際にモテる二枚目ポジションなのは、シリーズ歴代でもかなり珍しいでしょうか。
 系譜としては、島/ダイナブルー → 勇馬/チェンジペガサス → ブン/ブルーフラッシュ → アキラ/ブルーマスク の、アイドル系ブルーといえそうですが、高校生戦隊なので差別化がしにくい事もあってか「少年(らしさ)」の要素が削ぎ落とされた上で、積極的に笑いを取りにいく性格が女の子受けがいい、というのは時代の流行が反映されていたのかもしれません。
 一方、これも高校生戦隊という要因もあったでしょうが、赤の方はレッドマスク→レッドファルコンと続いた、ちょっとキザ(&少し影のあるアウトロー風味)路線を離れて文武両道の正統派二枚目路線に回帰しており、キザ&アウトロー要素が次の次の『鳥人戦隊ジェットマン』で結城凱に回収されていくのも流れとしては面白いところです(次作『ファイブマン』未見なので、主要キャラ像がわかりませんが……このまま連続で配信されるのか、『デンジマン』に戻るのか……正直どちらも見たい)。
 次回――またも離反者?!