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ウルトラファイト’80

ウルトラマン80』感想・第44話

◆第44話「激ファイト! 80vsウルトラセブン」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:吉田耕助)
 少年サッカーの会場に乱入する暴走族、というだいぶ困惑する冒頭から、逃げ惑う女性を思い切り轢く更に困惑する展開から、サッカーボールを蹴り込んで暴走族の一人がバイクで転げると報復の為に思い切り少年を轢く動揺する展開から、「トドメを刺してやる」と轢き殺しにいくとんでもない展開から、何故か劇中これまで一度も乗った事のないバイクにUGMの制服姿でまたがった矢的が止めに入る意味不明の展開で、暴走族は悪びれる事なく逃げ出し、物凄く気分の悪いままOPに突入し、どうしてそうなりましたか。
 少年は意識不明の重体となり……『ウルトラマン』第20話「恐怖のルート87」を意識的に下敷きにしたのか、世相を取り込んだら偶然似たのかはわかりませんが、社会派のスタンスが強めだったり各話のバラエティ性が高いシリーズにしても、幾ら何でもやり過ぎ。
 元より明確に人死には出る世界観ではありますが、怪獣でも宇宙人でもなく地球人の無法者集団の乱暴狼藉は単純に感じが悪いだけですし(「スリラー」でもなければ「サスペンス」でもない)、幾ら前回からまたユニバースを移動したにしても、ここ数話の雰囲気とトーンがかけ離れすぎて、ついていきにくい事この上ない展開。
 重体の少年が大好きなウルトラセブンのソフビ人形を握りしめていたメタ要素から『ウルトラセブン』本編の映像が入り、首が飛び、首が飛び、胴体が千切れるゴア表現が連発(笑)
 久々に見ると、溢れ出る体液の表現があったり、切り口が生々しくてちょっと驚きます。
 暴走族を徹底的に捜査したいと申し出た矢的に、冷たい反応を返すとみせてキャップは「特別に休暇を与え」、ダンディーな対応ですが場合によっては「休暇中の隊員が勝手にやった事」として処理される予定です。
 (僕は地球を第二の故郷だと思っている。地球人以上の能力は、地球人として暮らしていくためには不必要なんだ。ユリアン、もし君が本気で地球に住む気なら、地球人と同じ暮らしをする事だ。地球人と一緒に、走り、笑い、泣く。それで始めてわかりあえるんだ)
 どうやら隊員見習い、みたいな形でUGMに所属する事になったらしい涼子が気軽にウルトラテレパシーを用いるのを矢的はたしなめ、涼子/ユリアンと対比する形で、矢的/80の、地球(人)への想いと地球人として生きる上でのモットーが明らかになったのは、遅すぎましたが大変良かった点。
 犯人グループはあっさりと面が割れ、その弟や矢的が謝罪を要求するのですが、完全に殺人未遂なので何やらちぐはぐであり、人間の犯罪に基づく少年姉の重苦しい慟哭を繰り返し見せつけられるのも辛い。
 またも暴走族に逃げられてしまう矢的だが、危篤に陥った少年の憎悪が大事なセブン人形に乗り移ると、主題歌に乗せて実体化した生き霊セブンが暴走族へと襲いかかり、メンバーの一人を鷲掴みから思い切り地面に叩きつけ……基本設定でセブンが身長40メートルとの事なので、腕の高さからとはいえ振りかぶって加速をつけてアスファルトの地面に直撃して……まあ、死んだ。
 生き霊セブンは逃げる暴走族を追いかけながら市街地に大破壊を巻き起こし、困惑しながらもUGMは出動。生き霊側に然るべき理由があって、悪人に因果の報いを与えようとしている構図なのですが、そのとばっちりで破壊されいてく日常の規模が大きすぎて、セブンと80のバトル以外の事はどうでもいい感が物語全体から吹き出します。
 「敵の正体が何者でも、これ以上暴れさすわけにはいかん!」
 緊急事態だからOKという事なのか、涼子はテレパシーでセブンが生き霊である事を確認し、矢的は80に変身。遠くの星から来た親戚のそっくりさんのキックのフォームから生き霊セブンの正体に気付いた80は、涼子にその確認を頼んで確証を得ると、復讐の為にセブンを暴れさせる事でセブンを大好きな他の子供たちの心を傷付けるのは良くない、と説得に成功。
 生き霊セブンは80に撃破され、暴走族はUGMに泣いて謝り、少年は無事に助かってサッカーに復帰。暴走族主犯の弟でありサッカーのライバルであった少年と固く握手を交わすのですが、その少年の兄は死亡したか廃人になったか刑務所に入ったかの3択なので、全然ほがらかにサッカーしている空気ではないような。
 試合を観戦する矢的は、少年姉に鼻の下を伸ばして涼子にテレパシーでツッコまれ……今作歴代3人目、ウルトラ族の真ヒロイン登場という事で、ちょっとジェラシーを入れて可愛げとポジションを強調する意図だったのでしょうが、なにぶん前回の「猛危ない!」「……エミ!」の直後なので(涼子の立場の変化を考えると、半年~1年ぐらい経っているのかもですが……)、矢的先生が久々に最低になってしまって、本当にそれで良かったのか。
 次回――不屈のバルタンガッツ!