東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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流星光・オーバー!

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第25-26話

◆第25話「戦う子犬」◆ (監督:新井清 脚本:曽田博久)
 土手で男達に騎馬戦のトレーニングを行っていたはるな軍曹は怪我した子犬を助けるが、人間を犬に変える力を持った犬神ボーマが、その子犬と接触。はるなに恩返しをしたい、という子犬の純粋な気持ちを利用する事を思いつき、迫る恐怖のはるな犬計画!
 「どんな犬になるか、早く見たいものだな」
 配下の不甲斐なさに意気消沈しているのか、大帝様も、だいぶ満足のハードルが下がってきましたね……。
 犬神ボーマにより、子犬から変身した少年がはるなに接触し、便利モニターの都合で暴魔百族がはるなをストーキングしているみたいになっている一方、太宰邸に集う男達もまた、はるなをストーキングしているみたいになっていた。
 両陣営が女子高生をカメラで追いかけ回すという軽くない事故が発生する中、シーロンが妖精パワーで少年の気配の不自然さに気付き、太宰博士の指示ではるなの元へ向かう男衆だが、ジンバと犬神ボーマの強襲を受ける事に。
 「ジンバ! いったい何を企んでいるんだ!」
 「俺の考えている事は常に一つ。貴様等を地獄へ送り込む事だ!」
 活躍に恵まれないながら、言い回しも立ち回りも格好いい事は格好いいのですが……今や赤の正ライバルの座にはヤミマルがついてしまった為、これといったポジションも無いのが困ったところ。
 男衆がまとめて吹き飛ばされていた頃、少年と浜辺できゃっきゃうふふしていたはるな軍曹は犬神ボーマの罠にはまり、檻に閉じ込められてしまう。
 「はるなを犬にしてやるのだ」
 抵抗する少年は犬神ボーマによって子犬の姿に戻され、はるなに迫る犬化の危機。ボーマによって蹴り飛ばされた子犬は、必死にはるなを探す男たちの元に辿り着き、全員ロマンの欠片も無かったらどうしようかと思いましたが、力と大地が、犬が何かを訴えかけてきている気がする! と思えるタイプで本当に良かった!(洋平と俊介が、意外やクール)
 子犬の案内でアジトへ乗り込み、軍曹の解放に成功した5人は、揃ってターボレンジャー
 センターに入っての「みんな! 行くわよ!」が今となっては、はまり過ぎです(笑)
 絶好調の桃はバトン攻撃でウーラー隊長を蹴散らすも犬神ボーマの攻撃に苦しめられるが、突撃してくるボーマに咄嗟に「おすわり!」と命令すると、本能が服従を命じてボーマの動きが止まったところにVターボバズーカでビクトリー!
 強敵描写だった犬神ボーマの撃破手段としては若干のそれでいいのか感がありましたが(一応、伏線はある)、今となってはボーマさえ忠実に従わせる桃軍曹が、みょうなはまり方を(笑)
 ちなみに予告の映像から、犬に変身する力を持った暴魔獣がはるなに接触するもほだされる……みたいな展開を予想していたのですがそんな事はなく、暴魔百族から新たな離反者が出なくてホッとしました。
 久々にテーマ曲でターボロボがチャージアップし、勇気にターボ! 怒りにターボ!(割と好き)
 ターボロボはダッシュ一番、相撲の心でけたぐりを決めるもチェーン攻撃に転ばされるが、情け無用の銃撃から回転パンチ、そして高速剣バッテン斬り。
 浜辺で子犬を愛でる5人の姿でつづき、若干のマッチポンプではあるものの結果として命の恩人となった野良子犬は、はるなの家で飼う事になったのだろうぐらいの脳内補完はしても良さそうな感じでしょうか(そうしないと、ラストシーンがだいぶ無責任になってしまうので)。
 まあ、裕福な独身貴族である太宰博士に、情操教育を兼ねて引き取って貰っても良いような気はしますが、その場合、「そしてこれがターボドッグ。君達の新たな力だ」されてしまう可能性が20%ほどあるので各員は警戒を怠らないように。
 次回――あいつは懲りない流れ星。

◆第26話「力!絶体絶命」◆ (監督:東條昭平 脚本:井上敏樹
 「力! 好きだぁー! 力! 愛しているんだ! 力ぃー!!」
 力は校内放送で流星から愛の告白を受け、愛と勇気は言葉、感じられれば力……じゃなかった、公開デートの申し込みをされ、文武両道で爽やかなイケメンで元野球部のエースである俺のイメージをどうしてくれるのぉ?! と、怒りのエクソダス(唐突に脳内で『オーバーマン・キングゲイナー』が踊り始めただけなので、この数行は、あまり気にしないで下さい)。
 「流星、今日こそ決着をつけてやる!」
 「貴様を倒した後、貴様の血をグラスに注いで乾杯してやるぜ」
 力の殺意がバイク回の事を完全に忘れ去っている勢いで、学園生活へのダメージが相当大きかった模様です。
 「ヤミマルとレッドターボ、どちらが倒れても、我らにとっては、好都合」
 力と流星は生身バトルに突入し、その戦いをモニターする暴魔百族は、とことん駄目な感じになっていた。
 大地たち4人が物陰から見守る中、夏休み中に山ごもりで身につけたヤミマルの分身剣に追い詰められた赤は、妖精パワーでカウンターを放つも相討ちが精一杯。手傷を負ったヤミマルは赤を仕留め切れずに撤退するも、力は命に関わる重傷を負ってしまう。
 勝利の為ならプライドは喜んでドブに捨てる路線に入りつつある大帝様はこの気を逃さずジンバに出撃を命じ、再び市街地を転がる団子。
 「あれは……フジミボーマの卵!」
 力を治療中の太宰博士とアイコンタクトをかわした大地が出撃の音頭を取ってサブリーダーっぽいところを見せ、4人のターボレンジャーはジンバ&不死身ボーマと激突。プレートアーマーを圧縮したような不死身ボーマは左右非対称な姿も歪さを強調した面白いデザインで、怪人デザインのアベレージの高さは、今作の光るところ。
 奮戦むなしく4人はドングリのような卵の中に閉じ込められてしまい、それを知った力はなんとか皆の元に向かおうと立ち上がる。
 「力! 今動いたら、命の保証はしないぞ!」
 以前の「大地、あと30秒だけ変身できる。30秒間だけ、なんとしても頑張ってくれ。頑張るんだ」の時もでしたが、太宰博士は一応心配はしているようだけど、本人の自主性を尊重する名目で微妙に“止めてない”傾向が目立ち、ダメな運動部の指導者みたいな(笑) まあこれは今日見るとダメに見えるものの、放映当時なら「美談」のロジックであったと思われ、高速戦隊は果てしなく体育会系。
 未成年戦士を見守る立場としては「人間味が薄い」というよりも、「人間としての箍が外れている」感が物凄い太宰博士ですが、これを見ると後の『BFカブト』の小山内博士に必要だったのは「薄っぺらい父性もどき」ではなく「人間味を期待させない狂気」だったのだな、と(笑)
 青春のパワーを信じるんだ!!
 内部で不死身ボーマ化の進むターボレンジャー卵が運搬された洞穴へ乗り込んでいく力だが、卵を割れるのは不死身ボーマの持つ鎌の刃のみ。鎌の奪取に失敗した力は一時撤退し、出血多量で朦朧とし始めた脳裏を駆け巡り出す走馬灯……
 「いや死なん! みんなを助けるまでは、俺は決して死ぬもんか!」
 前々作の主人公なら死中に活ありメディテーションでここからゴッドハンドを放つところであり、前作だと小屋ごと暴魔獣に吹き飛ばされそうですが、小屋の中にあった石油缶に気付いた力は、追跡してきた不死身ボーマに頭からそれを浴びせると青春の火だるまショット。倒れたボーマから鎌を奪おうとするも「俺は、不死身だぁぁ!!」と逆襲を受けてしまい、再び逃走を余儀なくされる。
 流血表現がかなり痛々しい中、満身創痍の力の前に前に現れたのは、一度はこっそり力を助けた流星光。
 「どうせ死ぬなら、せめて俺の手にかかって死ぬがいい!」
 俺に経験値を寄越せとトドメの一撃をかっさらいに来た流星のスピンキックを受けて力は川に落下するが、仲間を助ける為に執念で這い上がると、地上ではヤミマルとジンバ&ボーマが激突中。
 「馬鹿な! 貴様生きていたのか?!」
 「……俺こそ、不死身だ!」
 は、格好良くはまり、レッドターボを巡って加熱する経験値争い。
 ヤミマルから不死身ボーマの弱点が口の中にあると教えられた赤は、捨て身の死んだフリ戦法(15話ぶり2回目)により、勝利の快哉を叫んで大口開けた不死身ボーマに射撃を叩き込んで鎌を奪い、9割ほど不死身ボーマ化していた4人をなんとか救出。深傷を負いながらもその後を懸命に追いかけた不死身ボーマが洞窟に飛び込むと、怒りのターボレンジャーが勢揃いで、ちょっと可哀想な勢い(笑)
 5人揃ったターボレンジャーの高速コンビネーションGTアタックが炸裂し、Vターボバズーカでレディ・スパーク・ゴー!
 「「「「「ビクトリー!!」」」」」
 巨大戦では不死身ボーマの装甲の前にターボパンチもカノンも跳ね返されるが、弱点の口の中を狙ったカウンターからターボクラッシュで大勝利。
 「勘違いするなよ、炎力、いや、貴様等5人は、この俺が倒さなければならんのだ。それまでは、せいぜい命を大切にしろ」
 アドバイスについて自己弁護する流星は口笛を吹きながら去って行き、常時登場ではない事でへたれ化の進行は適度に抑えているものの、「ターボレンジャーを狙う背景」すなわち「キャラクターの核となる情念」が描かれていないので、2万年間レベル上げマニアのバトルジャンキー以上の存在にならないのがヤミマルの苦しい部分で、第三勢力に徹するなど今のところ盗賊騎士キロスの二の舞になる事は避けているだけに、もう一つ跳ねきれないのが惜しまれます。
 次回――今度こそ出るか新たな離反者?!