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ウルトラマン80』感想・第42話

◆第42話「さすが! 観音さまは強かった!」◆ (監督:東條昭平 脚本:石堂淑朗
 ナレーション「この人相の悪い二人連れは、いったい何をしに、この静かな、大谷石の里に姿を現したのだろうか」
 (間髪入れず)
 ナレーション「説明しよう!」
 ……なんか、とうとうナレーションさんまでキャラが変わっているような(笑)
 そして、
 ナレーション「俗に言われる安政の大地震がこれだ!」
 でアバンタイトルが終了し、凄い勢いで独自の道を切り拓いていきます。
 人相の悪い二人連れの目的は、江戸時代の泥棒が隠した千両箱。巡り巡ってそれが埋まっているのは、どうやら巨大な観音像の足下らしい、とあたりをつけた2人組は不信心にも観音像の足下を地下から掘り返す一方、観音像へのお参りを欠かさない少年の夢枕に観音様が立ち、不審を感じる少年の姿が、やたらサスペンスフルに描写されて、怪獣の気配だけはAパートから漂わせておく演出。
 大谷採石場跡で磁場の異常を感知したUGMから調査に向かった矢的とチーフは、この少年と知り合って少年の家に投宿する事になり、ロケ地でもある採石場に始まって、大谷石を取り上げ、名物料理が紹介され、一応、観光タイアップ回なのか……?(次回からこんな感じで、「ご当地グルメユニバース」に移動したらどうしよう……)。
 その夜、涙を流す観音様を夢に見た猛と少年は観音像の元へ向かうが、時既に遅く、人相の悪い二人連れが使ったダイナマイトにより巨大観音像が大地に倒れると、その足下に封印されていた怪獣が甦ってしまう!
 少年周りは妙にサスペンスを煽る演出をされていたものの、ここで日常パートから怪獣バトルの緊張感に切り替わるのかと思いきや、目覚めたばかりの怪獣は大谷石に蹴躓くと自打球によりダメージ。
 むしろコミカル成分が濃度を増して“不穏な気配の積み重ね”と完全なすれ違いが発生し、『80』名物《本編班と特撮班の意思疎通が微妙に取れていない気がする》が炸裂。
 UGMからはキャップと下っ端ーズが出撃すると、どういうわけか久々の実戦飛行をからかわれたキャップが直後に操縦ミスで墜落しかけるギャグが入って、基本中の基本設定すら忘却の海に投げ捨てる勢いで歴史が改竄されていきます(キャップが歴戦の古強者でないと、そもそも矢的との出会いが起こらないので……)。
 …………もしかすると、既に本物のキャップとチーフは別の星に連れ去られていて、今地球に居るのはUGMの内部崩壊を目論む敵性宇宙人の擬態なのでは。
 チーフと矢的は、怪獣と戦闘機の戦いを見上げる人々を避難誘導するわけでもなく一緒になって棒立ちで見つめ、戦闘機が火炎放射を仕掛けると「熱いのは大歓迎」とナレーションさんが説明を入れ、話のトーンも演出のタッチも全く安定しないまま、何処へ行くのか遠い星から来た男。
 UGMの劣勢を見た矢的は物陰で80に変身し、強烈なドロップキックを浴びせると、本日は足下を狙った攻撃から馬乗りになって散々に殴りつけるが、群衆の中の老人(大谷の里の古老ポジション)がひたすら、近代兵器でも80でもなく「魔物を退治できるのは、神か仏のお力だけじゃ」と観音様の登場をあおり、気がつくと80大苦戦。
 出現した怪獣のいつにも増した脅威が強調された上でなら、まだ納得が行く流れなのですが、出現直後にギャグ・ギャラリー付き・破壊活動に繰り出すわけでもない、と強敵アピールが全く無い為、怪獣というより“特定の封印が必要”な怪異扱いで、しかし、泥棒が千両箱を隠したくだりは語られても、観音様が怪獣を封印している伝承などは一切語られていない為、物語のピントが宇宙の海で行方不明(どこにあるのかといえば、「大谷」ではあるのですが……)。
 人々の声を受けた80は地面に倒れた観音像へと必死に手を伸ばし、おーっと、掟破りの観音像で後頭部をフルスイングだーーー!! となるのかと思ってドキドキしましたが、倒れた観音像を立ち上がらせると不思議な光が放たれて、沈静化した怪獣は再び地下に封印され、さすが!  観音さまは強かった!
 観音像を封印として安置した80は飛び去っていき、貴重な情報提供役となった気がする少年は、UGMの大サービスにより憧れのアイドルと対面し、観光タイアップ×アイドル出演が謎の悪魔合体
 夢が叶った少年は間近で見るアイドルにやに下がり、「明日から貴様のあだ名は「たれ目くん」だ!」と今回大暴れのナレーションさんが朗らかなのかなんだかわからないオチをつけて、大困惑を撒き散らしながら、つづく。
 次回――の予告は本編視聴後のお楽しみ(?)として、Aパートにおける布石どころか本編の基本設定までもが怪獣出現後に高速で解体されていった末にサブタイトルに収束し、少年が憧れのアイドルに会いたいだけが残って拾われる、“凄い”といえば、“凄い”エピソードでした。