東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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突然短くなるタイトル

ウルトラマン80』感想・第39話

◆第39話「ボクは怪獣だ~い」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:平野靖司)
 少年少女の草野球の最中、グラウンドに落下した小型の空飛ぶ円盤。それは脆くも砂のように崩れ去るが後には小さな球体が残り、子供たちの醜い奪い合いの末、テツオ少年がそれを呑み込んでしまう。
 急速な眠気に襲われた少年が目を覚ますと、ブースカカネゴンを掛け合わせたような奇妙な怪獣の姿になってしまって一騒動、のほのぼのコミカル展開。
 怪獣化した少年は、超能力を操り、高い運動能力を発揮し、頭脳も大学生以上。みそっかすな自分にコンプレックスを抱いていたテツオ少年は、たとえ奇怪な姿形になろうとも、怪獣である自分の能力に心を奪われる。
 「ボクやだよ! ボクこのままがいいよ~。だって、ボクここのままの方が、なんでも出来ちゃうんだもん」
 からいきなり、おまえの教育が間違っていたんだ、と父が母をなじりはじめるのが、凄く80年というか『80』というか(笑)
 母は母で、毎晩飲んで帰ってきやがってこの兵六玉、と息子の前で父にやり返し、検査の為に連れてきたUGMから意気揚々と出て行くテツオ怪獣を野放しでどうなる事かと思われましたが、一時は持て囃してくれた友達からも冷たく扱われ、その姿ゆえに方々で悲鳴をあげられ、どこにも居場所が無い事を思い知った少年の前に現れた矢的は「努力せずになんでも出来るようになるのは果たしていい事なのか?」と問いかけ……や、矢的先生が、マトモだ。
 「なんでも、出来るようになった代わりに、友達を失っちゃ、つまんないだろう?」
 苦節3クール、ここまで大変長かったですが、生徒達の年齢を思春期ダイレクトにしてしまった事でその抱える「(家庭の)問題」の難度を引き上げてしまい結果として矢的先生の手に負えなくなってしまった序盤の問題点を解決する為には「矢的先生を小学校の教師にすれば良かった」という解が導き出され、その場合“学園ドラマ”にはならなかったかもしれませんが、良くも悪くも収まるところに収まった感。
 基本的に、劣等感から“大きすぎる力”に手を伸ばしてしまった人間の暴走と孤立、を描いているのですが、それを小学生スケールに落とし込むに際して、欲望の趣くままに力を振るう行為を「食欲が抑えられない」で表現したのが軟着陸への導線として上手く、自分を見捨てたと思った両親が、商店街の人などに謝っている光景を見たテツオ少年は、力よりも、繋がりを選ぶ。
 悔い改めた少年を確認した矢的は物陰で変身するとミクロ化して少年怪獣の体内に飛び込み、80の活躍シーンもばっちり確保。少年を怪獣化していた宇宙植物の種子を撃破すると少年は無事に元に戻り、30話台の『80』スタイルにきっちり合わせた上でまとまりの良い、平野さんの技量の確かさを感じる一本でした。
 ラスト、どういうわけか城野隊員と一緒に少年野球を見学しに来た矢的は、宇宙植物の種子は宇宙人からのプレゼントだったのかも……とロマンチックなポーズを見せて残念ポイントを稼ぎ……体内で戦っていた種子、物凄く邪悪な感じで、どちらかというと侵略寄生植物感満載でしたよね!(相手に悪意がなくとも、浅はかに力を求めると大変な事に成りかねない、というエピソードの主旨から、善悪の判定を濁したのでしょうが)
 結論:安易に外来植物を受け入れるの、良くない。