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新世界80

ウルトラマン80』感想・第36話

◆第36話「がんばれ!クワガタ越冬隊」◆ (監督:合月勇 脚本:石堂淑朗
 「やっぱり5年生にもなると、カブトムシよりクワガタの方がいいもんなー」
 クワガタの越冬を巡る小学生のやり取りを中心に展開し、途中で登場する『電話こども相談室』は、実在の番組とのコラボ案件でしょうか……?(『全国こども電話相談室』というラジオ番組は当時存在していたが、劇中では『電話こども相談室』と呼称されている)
 アンコウ回と同じ石堂脚本の方向性なのか、小学生コミュニティにフォーカスしつつUGM隊員のコミカル度が増しているのですが、コミカル=状況と立場にそぐわない間の抜けた言行・突拍子も無い命令と無責任なリアクションという最悪のパターンで、よりにもよってキャップが雑に崩されているのが、大変辛い……。
 また、急激な寒気団の到来で逆転現象が生じるかも…… → 去年も逆転現象があった → 80が虚像のビルを持ち上げようとする大失敗、が笑い話として語られて、去年から80が居た事にされているのですが、「チーフはそれについて知らない」時空のねじれが発生しており、やはりここは、ハラダとタジマの犠牲によって生まれた新世界Cなのでは……。
 これが、チーフも既知の出来事なら、2クール目~3クール目の間に何年か経っていてハラダとタジマの異動後に新人二人が加入した、と解釈できる範囲なのですが、チーフよりUGM加入の遅い若手隊員の方がチーフに説明している為、ちょっとしたコメディ要素が世界観にニードロップを決めていて困惑します(防衛隊時代の思い出を、さもUGMで体験したかのように語っている、とも取れますが、そもそも『80』世界に怪獣が甦ったのが、矢的のUGM参加前後なので…………1クール目と2クール目の間に数年経っている(その間に矢的が教師を辞めている)と考えればいいのか……?)。
 横暴な上級生に愛するクワガタを殺された少年の憎しみが土に埋めたクワガタを怪獣として甦らせ、前年の経験と前夜のドーム事件から、逆転現象による虚像に違いない、と決めてかかるUGMが大変お粗末な対応を見せ、今作世界においては「巨大クワガタの蜃気楼」よりも「本物の巨大クワガタ怪獣」の方が遙かに合理性が高いので、激しくとんちんかん。
 また、前夜のドーム事件においてはレーダーで確認してから突撃していたのに、今回は何も確認せずに突撃して大破する大失態で、部隊の練度が物語序盤に戻っているのですが、第34話前後で、新たな次元の扉が開いてしまったのでしょうか……。
 激務の続きで体が休暇を求めているのか、クワガタ怪獣の頭部のハサミの交差部分にピンポイントで突撃して撃墜された矢的は、80に変身。
 肩をすくめるなどユーモラスな仕草を交えながら肉弾戦を展開するもマウントからの連打を浴びると、クワガタ怪獣の生みの親ともいえる少年に助けを求める視線を向ける役者ぶりを見せ(カラータイマーも鳴っていないので明らかに芝居)、自らの憎悪が怪獣を生み出した事を認める少年。
 ここでUGM隊員が上級生に誠実な謝罪を促して少年もそれを受け入れ、80とUGMが介入する事で怪獣出現の根本を解決していくのは悪くない流れだったのですが、そこに至るまでの経緯(主にUGMの対応)が酷すぎたのが、とにかく残念でした。
 怨念のパワーを失ったクワガタは80逆襲の打点の高い飛び蹴りを受けて地底へと戻っていき、クワガタの墓を掘り返す少年たち。仲直りした少年たちへのサービスとして、矢的はウルトラ奇跡でこっそりクワガタを生き返らせ、皆で仲良くクワガタの越冬を目指すんだ、と大団円気分を出すのですが…………矢的先生はそういうノリで、人の命も甦らせたりしそうなのが、ちょっと怖い。
 次回――メタ発言を連発する予告で、バルタン星人登場。