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宇宇羅の呼び声

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第11-12話

◆第11話「爆発!ウーラー街道!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「今の国道44号線が、昔のウーラー街道なんだ」
 今作この辺りの、「二万年前の戦い」「妖精達の実在」という背景が、ファンタジーから段々、伝奇アクションに寄ってきているのは、割と好きなところです(笑)
 暴魔博士レーダの主導により、ウーラー一族最強の勇者にして族長、ウーラーボーマが大復活。テーマ曲?をバックに20人あまりのウーラーを一挙投入する大盤振る舞いで、比較的凝った装備・色違い上位種の存在・技を習得、と、シリーズ従来とは一風変わった存在感を出している戦闘員ポジションにスポットを当ててきたのは、面白いアイデア
 族長ウーラーにより、地中に封印されていたウーラーが次々と目覚めていく中、力は病弱な母親が子供の為に作ったお弁当の配達を請け負ういくら何でも強引な展開で、預かった弁当を懐に収めていた(笑)
 ……炎力、学校で女子から「スポーツも出来てイケメンで優しいけど、デリカシーが小学生男子レベル」と思われていそうな男。
 残り4人は太宰邸で博士の情報分析を手伝う描写が差し挟まれ、少年の乗ったバンを追う力だが、バンを襲うウーラー軍団と激突し、崖を転がり落ちてきたウーラー団子の直撃を受け、割と思い切り吹き飛ぶ事に。
 結構な角度で飛んでいるので人形かと思いきや、受け身取って斜面を転がり落ちているように見えるので、スタントでしょうか。
 「我らは、死をも恐れぬ勇気と、ラゴーン様への忠誠心で、この世を地獄と化すのだ」
 姫暴魔から嘲りを受けたウーラーボーマは、一族の勇気と忠誠心を示すべく、ウーラー人柱の儀を決行。
 人柱となったウーラーが次々と地中に潜行すると、地殻に捨て身の特攻をかけることで大規模な地震を引き起こす人海戦術により、人々は地割れに呑み込まれ、高層ビルが次々に吹き飛び、劇中トップクラスの規模の破壊活動を成功させる戦闘員!
 ……破壊規模が大きくなりすぎて正直もう、子供達を乗せた車の無事とか、お弁当の行方とかどうでもよくなりつつありますが(笑)
 地震による落石で洞穴に閉じ込められてしまった力と少年は、お弁当パワーで石をどかして洞穴からの脱出に成功し、ウーラー人柱作戦妨害の為、揃い踏みするターボレンジャー
 レッドターボは、後にゴーレッド(『救急戦隊ゴーゴーV』)に継承される死んだフリ戦法でウーラーボーマの土手っ腹に長ドスを突き立てると、二刀流の必殺剣で大ダメージを与え、トドメはプラズマシュート!
 今作ここまで、映像や演出の勢い的には個人攻撃で倒せてしまいそうな流れでも、締めはプラズマシュートにこだわっていますが、今回から爆発のエフェクトが大幅強化。
 今回もテーマ曲に乗せてチャージアップしたターボロボは、パンチを当てるも空中からの反撃を受けるが、剣と銃の同時持ちからアクセルを踏み込むと、すれ違いざまに胴体を薙ぎ払い反転直後のターボカノンでトドメを刺し、巨大戦では逆に特定必殺技にこだわらず、一本調子になる事を避けようという意識と工夫が見て取れます。
 力たちは母子のにこやかな再会を見届け、
 ナレーション「ウーラー街道に、平和が甦った」
 で、つづく……かと思いきや、
 ナレーション「――だが、ウーラー一族は、族長ウーラーボーマに、いつの日か、ターボレンジャーに復讐する事を、誓うのであった」
 東映特撮名物・勝手にお墓! に祈りを捧げるウーラー一族の姿という、予想外の一ひねりで最後までウーラー一族にスポットが当てられて、つづく。
 横糸に織り込んだ「母子愛」が強引すぎて美しい絵にはなりきりませんでしたが、目の付け所の面白さとアクション面の充実で、なかなかの秀逸回でした。某有尾人一族の親衛隊のように序盤で雑に退場するかと思いきや、行動隊長も未だ健在ですし、今後も今までにないアクセントになってくれる事を期待したいです。

◆第12話「星になった暴魔獣」◆ (監督:新井清 脚本:藤井邦夫)
 「ターボレンジャー、偉大なる聖獣ラキア様を葬った罪は、地球より重い」
 かっ飛び暴魔ズルテンは、聖獣ラキアに与し、ラゴーンを裏切った罪により地獄牢に封印されていたアラクレボーマを甦らせると、ラキアがラゴーン配下のターボレンジャーによって殺された、と偽りを吹き込み、共倒れを計画する。
 かつての戦いでラキアに敗れるも命を救われ、「てめぇの命、俺に預けな!」と勧誘を受けた荒くれボーマはそれ以来ラキアに心酔しており、いい人×モヒカン×マスク…………何か既視感があると思ったら、ハブラム! 牢忍ハブラム!!(『世界忍者戦ジライヤ』に登場する見た目マッドマックスだけど話のわかる世界忍者)
 「黙れレーダ! たとえ私の命を狙った者でも、ターボレンジャーを倒す為に利用するなら、それで良いのだ。それよりも今までの失敗を恥じるがよい」
 荒くれボーマを独断で復活させた事についてズルテンを責めるレーダだが逆に大帝様からお仕置きビームを受け、暴魔百族幹部陣は今のところ、隙あらば厭味を飛ばしたり出し抜こうと画策したりと、一応レーダが格上めいてはいるものの、協調性は低めの描写が続きます。
 青白い光で下から照らされる大帝様は、造形の出来の良さもあってかなりの迫力があり、無機質系ではない生物的な要素を押し出したデザインから、ストレートな怖さが巧く引き出されているのは、良いところ。
 「俺は……俺はおまえを信じる。おまえが偉大なラキアの為に流した涙を」
 荒くれボーマの過去をシーロンから聞いたターボレンジャーは、ズルテンの卑劣な妨害を受けながらも荒くれボーマの説得を試み、体当たりでぶつかってくる力の姿に、かつてのラキアの言葉を思い出す荒くれ。
 「レッドターボ、おまえこそラキア様の生まれ変わり!」
 暴魔城の吐き出す毒ガスからレッドターボにかばわれた荒くれは感激のあまり無茶苦茶を言い出し…………まあ、尊敬するオヤジの為に鉄砲玉を買って出るも標的をハジくのに失敗、服役を終えて娑婆に戻ったら既にオヤジは死んでいた……ともなれば代替行為に走るのもわからないでもないですが、もはや「心ある怪人と理解し合う話」というよりも「時代遅れのヒットマンを看取る話」になっていて、視聴者目線で共感しにくいどころか、劇中のターボレンジャーさえ置いていかれ気味に見えるのが、困ったところ(笑)
 暴魔城の爆撃で粉々に吹き飛んだ荒くれは、ズルテンのラッパにより理性を失った怪物として巨大化。やむなくターボロボを繰り出した高速戦隊は、殴り飛ばす事でその身を操っていた邪念を追い払う事に成功。
 「アラクレボーマ、もう地球におまえの居る場所は無い。ラキアの側に行くがいい」
 「レッドターボ……」
 弱り果てた荒くれを抱え上げるターボロボですが、爽やかな処刑宣告にしか聞こえません(笑) ……まあ、荒くれにとってはこれが救いなので、哀しい暴魔に遙かな眠りを捧げるターボレンジャーのスタイル、といえますが。
 「アラクレボーマ、ラキアと一緒に俺たちを見守っていてくれ」
 荒くれを抱えて宇宙へと飛び出したターボロボは、荒くれを宇宙へ投擲し、正義と優しさに目覚めた暴魔獣は、今風に言うところの推しと一体化して、永遠の星になるのであった……。
 1クール目の締めに聖獣ラキアに再びスポットを当てて、物語内の存在感を維持した目配りは良かったと思うのですが、荒くれボーマがラキアへ向ける愛が重すぎて、ターボーレンジャーサイドの意識をそれと同一化するのは無理が出てしまい(力に「偉大な」と言わせてはいますが、むしろ同一化されても困るレベル)、狙った的を粉々に砕いて、3軒離れた家の壁に突き刺さったみたいな感じに。
 また、回想シーンに登場するラキアの、四つん這いで人が入っている感があまりあまりすぎて、対比となるラゴーン様が造形的に出来が良いだけに、映像面での説得力を大きく欠く事になってしまったのも、苦しかったところです。
 徹頭徹尾、「時代に取り残されたヒットマンの話」として見ると、それはそれでなのですが……次回――来るか偽装結婚式シリーズ。