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狼、駆ける

牙狼GARO>』感想・第13-14話

◆第13話「約束」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:田口恵)
 魔導輪ザルバの語りによる総集編という事で、脚本は設定担当の田口恵さん。キャラクター中心にこれまでの物語を振り返りつつ、部分部分で設定の補足が加わり、黄金騎士ガロは魔戒騎士の最高位の称号、と判明。……どうやら冴島家そのものが魔戒騎士のエリート家系のようで、鋼牙の魔戒騎士へのこだわりと育ちは、その事の影響もある模様。
 「例えるならこいつは、まるでダイヤモンドだ。何事にも傷つかない強い意思と体を持ち、その瞳と志には一点の曇りもない。……だが、残念ながらそのダイヤモンドは、暗闇に置いてあるんだ」
 ザルバの鋼牙評は実に格好良く、また如何にも、長い付き合いの指輪らしい視点でもあって秀逸。
 鋼牙の項でゴンザにも触れられる一方、カオルの項に入り込んできて、こいつは知らない、と言われる龍崎先生(笑)
 これまでの劇中ではカオルに割とざっくりした対応だった指輪ですが、内心では、鋼牙に人間味を与えてくれる存在かもしれない、と期待を寄せている事が明かされ、実に、親心。
 エロ・グロ・バイオレンスを看板に並べている今作ですが、ただ刺激の刃を振り回すだけではなく、折に触れキャラクターに愛嬌や奥行きを付け、しっかりと足腰を鍛えている作劇が実に手堅く、作品として好感の持てるところです。
 魔獣ホラー、番犬所、そして零に触れ(同族?の首飾りについてちょっとコメントが聞きたかったのですが、残念ながらそれは無し(笑))、第9話で用いられた格好いい挿入歌に合わせて編集されたバトルシーンが流れ、これらのお喋りは実は戦闘の真っ最中でした、と、どういうわけか空を飛ぶ列車車輌の上で複数のホラーをガロが調伏し、《おうぉー おおおおおー おおおーおー おーおーおーーー!》。
 短いながら今回オリジナルのシーンで、TVシリーズでもこんな映像が出来るぞ! とやってくれたのは嬉しいサービスでした。
 「……戦いの最中に何をブツブツ言っていたんだ」
 「ん? 別になにも」
 「俺は不器用じゃないし、冷徹でもないぞ」
 ……鋼牙はホント、脳内自分のキャラ設定が面白すぎますね……!
 「なんだ。しっかり、聞いていたんじゃないか」
 ザルバが画面のこちら側に向けてウィンクを飛ばし、闇の中に溶けてゆく鋼牙の白いコートの背中で、つづく。
 バトルシーンを中心に、今作の魅力を巧くまとめ&ザルバに愛嬌を付けた総集編でしたが、VS零回のお邪魔ホラーを覗くと、ドクターホラーだけ未登場。役者さんの薬物問題があって、総集編からはカットされたりしたのでしょうか?(他の事情かもしれませんが、配信時間も40秒短い)。
 次回――今夜は俺とお前でダブル馬。

◆第14話「悪夢」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:小林雄次梶研吾
 ゆけ 風のごとくー
 と、2クール目に入り主題歌変更。
 1クール目の映像に、新規カット(主にガロ)が組み合わされ、サビの「ゆけ 風のごとくー」のところで奥から馬が走ってくるのが大変格好いい。そして、VFXのクレジットのところで、ガロがホラーの首を掲げて討ち取ったりーしているのは、実に今作らしい(笑)
 爽やかな白シャツ時代の零――本名・銀牙の過去が描かれ、義父にして魔戒騎士の師匠・道寺と、共に育った幼なじみ・静香を殺害したのは、ガロの称号を持つ家系に連なる、ホラー喰いの魔戒騎士?
 「ガロ……」
 「銀牙?」
 「その名は捨てる。俺は仇を討つ。全てを無くした。護るべき人も。呼んで欲しい名も。これからは――」
 零が抱える復讐心と、その名の由来が明らかにされるくだりは非常に格好良く、特に「呼んで欲しい名も」はグッときました。
 そして時は流れ……道化たセクハラ男の仮面を被り、鋼牙との仲直りを求めてねぐらを訪れたカオルを突き放した零の元に届く、“黒の指令書”。時同じくして、それは鋼牙の元にも届けられ、番犬所に集った相容れぬ二人は、500年に一度の災い――地脈に沿って生まれる巨大なゲートから、100体のホラーが現れる事を告げられる。
 「二人の力を、合わせるのです」
 「はぁ?」
 「断る!」
 大変いいリアクションをいただきました。
 「拒絶は許されません」
 だが上官命令は絶対だ、と二人は共闘の証(という名の人質)として指輪と首飾りを交換する事を命じられ、魔戒騎士ギルドのやり口がえげつないけど面白い(笑)
 男同士で四六時中身につけているアクセサリーの交換という、酷すぎる嫌がらせを受けながらも鋼牙と零は地脈へと向かい、そうとは知らない屋敷のカオルは、キャンパスに、金と銀の狼が並び立つ姿を描く……。
 不本意ながらも並んで鎧を装着、馬にまたがった二人の魔戒騎士は、ゲートをくぐって魔界へと突入する前に馬上でお互いに牽制を仕掛け、君ら、既に、人質交換の事を、忘れてないか(笑)
 そして劇中初、灰色の荒野が延々と広がる魔界へと突入するが、大地を埋め尽くす、100体どころの騒ぎではないホラーの大軍を目にする事に。
 「はめられたな」
 「なに?」
 「間抜けにも、二人揃って罠にかかったんだ」
 2クール目の開幕としてもやりすぎではという勢いで馬上の騎士はホラーの大群へと突っ込んでいき、次々とこれを撃破。ホラーを召喚している巨大な石柱のエレメントの存在に気付くと、馬上で青と緑の炎を纏い、怯むことなくホラーの中に駆け込んでいくシーンは、随所にCGを駆使した今作らしさの溢れる格好良さ。
 二人の騎士は、すれ違いざまの一閃で巨大エレメントを崩壊させ、無数のホラーは消滅。そのまま同時に人間界へと帰還すると、どっちが沢山ホラーを倒して先に人間界に戻ってこれるでショー! の賭けは無効となり、資本家許すまじ、と怒りの労使交渉へ突撃。
 「どういう事なんだおまえら?!」
 「ちゃんとした説明が聞きたいな!」
 人類は、共通の敵を前にすると心と心が通じ合えるのです!
 「地脈のズレが、大きすぎたのかもしれません」
 「でも、あなたがた二人のお陰で、ゲートは完全に封印されました」
 「心から感謝しています」
 番犬ガードマンがその力の一端を見せて零を軽々と押さえ込み、割と直情径行の男子二人は海千山千の三神官にあしらわれ、謎を残しつつ、ガロとゼロ、一時の共闘は幕を下ろすのであった……。
 果たして、番犬所の真意は? ホラー喰いの魔戒騎士の正体は? そして零の殺意の行き着く先は? カオルの返り血問題に続き、鋼牙と零の因縁の敵(話の流れからは同一人物かと思われますが……)が物語のもう一つの軸として形を取り、更に深い闇の中へと、つづく。
 ED曲・映像も新しくなり、回想の静香に白いワンピース概念で対抗するカオルですが、本編では夜の街に飛び出したのに鋼牙と出会えない割と酷い扱いで、全て、方向音痴が悪いのだ!