『牙狼<GARO>』感想・第10話
◆第10話「人形」◆ (監督:金田龍 脚本:梶研吾/小林雄次)
人のあけすけな本心を引き出し狂気に陥らせるホラー道化師により、一般市民が集団で殺し合いに至る冒頭がかなり強烈。
人間に(なんらかの要因で)不和を引き起こす能力、そのものは特撮ヒーロー物の定番といえますが、敢えて定番のアイデアを持ち込む事により、『牙狼』においてはここまで表現しますと打ち出してきたようにも見え、その流れで、ホラーの能力に囚われたヒロインが
「さっさと金よこしなさいよ、金ーーーっ!!」
と叫びながら、バイト先のセクハラ上司(前回の反動か、一般人の変態を引き寄せてしまいました)に馬乗りになって首を締め上げるのは、なかなかボウケンしてきます。
父の絵本について鋼牙に心当たりを聞くカオルだが答は得られず、鉄面王子が駄目ならと指輪にも聞いてみるが、揃って無言を貫かれる。
「……どうやらあの子の父親は、おまえの父親に救われた事があるらしい」
「……ああ」
「運命とは、皮肉なものだな」
一方、鋼牙への嫌がらせとして東のギルドに顔を出す零だが、先日の私闘の件は、どさくさ紛れに無かった事にはされていなかった。
「罰として、二人にトイレ掃除一ヶ月を命じます」
……じゃなかった、
「罰として、二人の命を一日ずつ剥奪します」
なにやら不穏な罰が下され、おまえのせいで怒られたぞ、と緊張感を高める両者だが新たなホラー討伐の命が下される事に。
2話に一回ぐらいコスプレ担当になりつつあるカオルは遊園地のバイトでピンクのドレスを身に纏い、そこに現れた零はホラー道化師の能力を受けるがさすがに無効化。抜いた刃で道化師の人形を切り裂き、真意はさておき形としてはカオルを守って二刀を構える形になっている姿が非常に格好良く、魔戒騎士としての零の格好良さも見せてくれるのが手堅いところ。
ホラー道化師の謎のガード能力にやや苦戦する零だが、なんとか蹴りを叩き込むと苦悶した道化師の頭部が膨れあがったピエロへと変貌し、巨大なピエロホラーが出現。
「俺の目的は黄金騎士の抹殺」とカオルに告げた零はピエロに弾き飛ばされ、真打ち登場の鉄面王子様、カオルを助けてお姫様抱っこ再び……からの、いつの間にか投げ捨てた!
「こいつの言う通り、人間は偽りだらけの醜い存在らしいな」
「しかし、俺は躊躇わない! 護りし者として!」
ゼロとガロが両サイドからピエロホラーを切り刻み、間を飛び交っていたカオルのぬいぐるみも、無事にキャッチして《おうぉー おおおおおー おおおーおー おーおーおーーー!》。
完全にわざとでしょうが、ピンクのドレスのカオルを挟んで、白と黒の王子様が睨み合う構図がニヤニヤさせてくれます(笑)
後日、ぬいぐるみを相手に鋼牙にお礼を言う練習をするカオルだが……結局上手く言えず仕舞い? そんな二人を見つめる謎の道化師、そして、出版される筈が結局はされなかったカオル父の絵本、その原稿はどこに消えたのか? なぜカオルはその本を読んだ記憶があるのか?
ホラーの能力を、出だしのショックシーンのみならず、護るべき人間の価値とは何か? の問いに繋げて謎めいた魔戒騎士という存在の掘り下げに用いてきた流れは綺麗で、あちらこちらに不穏の種が撒き散らされながら、つづく。
次回――楽○カードマン! ……Youtube配信を視聴中に川平慈英が出てくると、200%広告だと思ってしまうわけですが、普通に、次回のゲストでした。