『ウルトラマンG』感想・第8話
◆第8話「姿なき復讐-昆虫の叫び-(bitter harvest)」◆
当初の全6話予定から話数が伸びたそうで、今回からシーズン2扱いという事なのか邦題のパターンが変更となりましたが、原題が大変格好いい(「苦い収穫」、といったところでしょうか)。
大干ばつだ!
昆虫の異常発生だ!
農薬の濫用が悪いんだ!
と、直球の環境破壊テーマからスタートし、見所は、巨大イナゴを鷲掴みにするジーン。
そして、カードゲームで遊んでいる男どもに向かって、投げた!
前半戦は、〔人間による環境破壊 → ゴーデス細胞の影響 → 怪獣出現〕といった形で、間に挟んだゴーデスの存在を怪獣誕生を加速させる触媒としていた今作ですが、ゴーデス退場により(その到来が状況を進めた、と解釈してもいいかもですが)、〔環境破壊 → 怪獣〕がストレートに結びつけられ、『G』世界は割と“愚かな人類”に厳しい。
シリーズ過去作が環境テーマとどのような距離感だったのかはわからず(現在見ている『80』は、環境テーマの取り込みは少なめ)、舞台が日本からオーストラリアに変わっているのでそのまま対比できるものではありませんが、限られた話数の中で環境テーマへのフォーカスが強い(今のところほぼメインテーマといって良い)のは今作の特徴となっており、ノリとしてはいっそ――
「今、地球は、その星に住む一部の人間達によって汚され続けている。光は陰り、大地は砕かれ、そして海は死んだ。これらは全て自分の利益だけを求める、人間達の仕業であった。そして、その人間の醜い欲望から、モンスター一族が生まれ出た」
――『正義のシンボル コンドールマン』で、どこのどこのどこの誰から頼まれた!
「大地が助けを求めてる」
……との事です。
「どうしろと?」
「手を打て。敵が潜んでいる」
「どこにだ?」
「奴の方から、やって来るさ」
久方ぶりな気がするグレートさんからの脳内通信には、立ち位置を改めて描く意図もありそうですが、飛行中に突然話しかけられると、
「気味が悪い」
「彼の独り言は災いの前兆よ」
ただでさえ低い同僚からの視線の温度がますます下がるので勘弁して下さい!
ユーマは謎の墜落事件の調査に向かい、調査現場に近付いてきた住民にいきなり銃を向けるのが凄くユーマですが、不審な農場主は農場主で猟銃ぶっ放してくるので、オーストラリアの治安が《レスキューポリス》。
劇中でハッキリ説明されないのですが、後ろ暗い所があるらしい農場主の言行から想像すると、産業廃棄物(現在は違法となった古い農薬?)の不法投棄をしているらしく、それを餌に育った巨大昆虫怪獣が農場を襲撃!
空中でセスナを襲うシーンの合成はちょっと微妙な感じでしたが(全体的に縮尺が合っていなくてスケール感が不安定)、農場に頭突きするシーンは大迫力で、荒野のど真ん中で卵を守るように座り込んでいるシーンも印象的。
ユーマは地元住民の強力で昆虫怪獣の巣へと辿り着き、前回あれこれ言っていた気がするのですが、怪獣を発見した途端にばかすか撃ちまくるのが、大変ユーマです。
Hey、虫野郎、頭が大きすぎて足下がお留守だぜ、と華麗に足払いを決めるグレートだったが、転ぶ間際の怪獣の反撃を受けてひっくり返され、逆にクローと毒液攻撃を受ける事に。なんとか体勢を立て直すと、光線エネルギーを腕に纏ったウルトラ手刀で怪獣のクローを切断し、卵を爆破。卵を守ろうとする怪獣に向け、チャーリーが開発した毒素の中和剤が振り掛けられ、泡に埋もれた巨大昆虫にグレートがトドメを刺して、事態はひとまず収束を迎えるのであった……。
人間の業の被害者でもある、という事で昆虫怪獣の死に様は一抹の哀切が漂う形で描かれたのはテーマに沿っていて効果を発揮し、途中でフェードアウトした農場主は、毒薬を満載したトラックに乗って逃亡していたので、怪獣に襲われるシーンがカットされたりしたのでありましょうか。
シーン切り替わる度に、行どころかページ単位で話が飛びがちなのは相変わらずですが、ヒロイン力を発揮するジーン、本部で農薬の分析に集中するチャーリー、などキャラクターの役割分担が明確にあったのは、見やすかった要素。その上で(その上だからこそ)、遂に隊長が戦闘機で出撃、も格好良くなりましたし。
……それはそれとして、
「ぼくは色男だが戦士じゃない」
とか言い出すチャーリーは、ゴーデス細胞に汚染されている可能性が浮上しましたが、それに対する隊長の
「頭を冷やせ」
が、多分、本来の意図と違った意味で面白かったです(笑)