東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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高速『牙狼』プロジェクト

牙狼GARO>』感想・第1-2話

◆第1話「絵本」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:梶研吾小林雄次


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光ありところに、漆黒の闇ありき。
古の時代より、人類は闇を恐れた。
しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、
人類は希望の光を得たのだ。
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 シリーズ開始15周年記念無料配信〔GARO PROJECT/公式〕との事で、はじめての『牙狼GARO>』です。
 2005年というと、私生活がバタバタしていた&HDレコーダー導入前夜で、これまでの人生で二番目ぐらいに特撮から離れていた時期なので、作品(シリーズ)について知っている事は「京本政樹の出演で話題になっていた気がする」と「気がつくと随分大きなシリーズになっていた」と「金ピカの印象」ぐらい。
 その京本政樹は、ヨーロッパ風民家のやたらだだっぴろい部屋で椅子に足を組んでふんぞり返りながら登場して、凄いインパクトでした(笑)
 ヒロインの相談に乗っている様子からすると心理学者か何かと思われるのですが、なんか、机の上に、自著がこれ見よがしに置いてある?!
 画家を目指すヒロインは初めての個展を控えていたが、その画廊のオーナーは、怪しげな絵の中に潜んでいた怪物に乗っ取られており……昭和のいやらしい成金を演じさせたら日本一の峰岸徹さんが女好きの魔物に食われる女好きの画廊の主でゲスト出演し、絵の中から飛び出す半裸の女や、怪物が人体に入り込んでくる表現などは、既存ヒーロー作品との差別化を強く意識したと思われるアダルト&グロテスク(確か、深夜帯?の放送でしたか)。
 シャドー剣舞に打ち込んでいた謎の青年がその調査に乗り出し、送られてきた封書を緑の炎で燃やすと宙に指令の文字が浮かび上がるのは、格好いいギミック。
 純白のロングコートに漆黒のレザースーツ(アーマー風味)という、明らかにカタギじゃない見た目の青年は画廊を訪れ、率直に導入はスローテンポで引き込まれる要素が弱かったのですが、ここで異能の人が日常に介入してきたところでグッと面白くなってきました。
 ヒロインの格好は真夏! 画廊のオーナーは秋口! 青年は真冬!
 と、季節感が混沌としてくる中、青年はオーナーの正体を暴こうとするもトラップに阻まれて閉鎖空間で生身バトルに突入し、菊池秀行ワールドを感じさせる伝奇アクションを、TVシリーズで真っ向からやってくるのは成る程これは、盛り上がります。
 トラップをくぐり抜けた青年は再びオーナーと対峙し、突き飛ばされたヒロインを抱き止めた、と思ったらノータイムで無造作に突き倒した!(笑)
 オーナーの肉体が弾け飛ぶようにして、中からガーゴイルめいた黒い怪物が出現し、それは更に額縁ホラーへと変貌。対する青年は刀を振り上げて頭上の空間を切り裂くと、そこからこぼれる光に包まれて、狼顔の黄金の鎧の騎士へと姿を変える!
 (……そういえば、『ライオン丸G』ってありましたが、今作のヒットからの流れでしたっけか)
 毒液をものともしない狼の騎士は額縁ホラーを切り裂き、再びガーゴイル的な怪物に変貌するとこれを両断して調伏するが、柱の陰で立ちすくんでいたヒロインが、その返り血を浴びてしまう。
 「なぜ逃げなかった?」
 逃げられるようにしてから言って下さい!
 物語としては、ヒロインが我が身を守る事よりも床に落ちた絵を守る事を優先した為に……というニュアンスなのでしょうが、最初は素直に逃げようとしていただけに、ヒーローとしてケアが不足していると思います!
 「ホラーの返り血を浴びたものは斬る。それが掟だ」
 剣を突きつけて振り上げる黄金騎士だが、気絶した女を結局は斬らず、血の臭いで他のホラーを引き寄せる生き餌にしようと喋る指輪に提案。女を家まで送り届けると、皮肉を応酬する程度の人間味は見せ、「絵を気に入ったのは本当だ」と約束通りに絵を買っ……金を払わずに小脇に抱えて去って行くのであった。
 お巡りさんを呼ぶべきなのか、後でわざとらしく「そういえばあの時の代金を払うのを忘れていたな」と連絡してくる高等テクニックなのか悩ましいところです。
 ナレーション「思い出の絵本に描かれた黄金騎士が、私の目の前に現れた。しかしそれは、これから始まる新たな騎士伝説の、ほんの幕開けに過ぎなかった」
 ……劇中ではそうでもないのに、ナレーションだとヒロインの棒読みぶりが凶器に近いのですが、本編は同時録音だったりしたのでしょうか。
 果たして、黄金の狼騎士と、ヒロイン父が描いた(と思われる)絵本『黒い炎と黄金の風』には如何なる関係があるのか? 様々な謎を孕みつつ、伝説が今…………あ、あれ? もしかして、牙狼GARO>だけに、画廊<GARO>から始まったの?!

◆第2話「陰我」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:梶研吾小林雄次
 「くれぐれも、父親のような死に方をしないよう」
 「……あんたらに何がわかる」
 魔界騎士ギルドでコートの青年が狼の像に愛刀を突き刺すと短剣が生じ、謎めいた3人の少女たちがそれを回収。見た目通りとは思えない少女たちからヒロインと過去の件をチクリとやられて凄んでみせた青年は、ギルドからの帰り道にヒロインとバッタリ出会う事に。
 「丁度良かった。俺もおまえに用事があったんだ」
 懐から取り出したのは絵画代の札束……ではなく、謎の指輪(抜けない)。
 巷には投資詐欺の顧客を襲う鎖ホラーが出現し、人間の体が鎖化しながら分解されてホラーに吸い込まれていくのは、人体損壊のゴア表現を工夫で見せる面白い映像です。
 鎖ホラーを追うも逃亡を許した青年は、地面にばらまかれた万札を拾……わなかった。
 「夢を踏みにじった貴様の運命、俺が断ち切る」
 ヒロインを捕食の危機から救った青年は黄金騎士へと変身し……投資詐欺に引っかかるヒロインは、なかなか珍しいような。結婚詐欺師に引っかかったヒーローは、5年ほど前の戦隊に居ましたが。
 「残念だが、あの女にはホラーが取り憑いていた」
 「ホラー?」
 「人間を食らう魔獣だ。そいつらを狩るのが、俺の仕事だ」
 「でもなんでそんな怪物が居るの?」
 「太古の昔から、人間の邪心、愚かな心に付け込んで奴らは現れる」
 第2話で基本設定の説明、は定番ではあるのですが、聞いたら割と素直に教えてくれたコートの青年――冴島鋼牙は、ホラー詐欺師から取り返してきたヒロインの5万円は、純粋な夢の為だったから汚い心ではない、とフォローまで入れ、鉄仮面系のヒーローがなんやかやと理由を付けながらヒロインにほだされていきそうな流れは見えるものの、最後のやり取りを自然に見せようとするあまりか、ホラー相手に「彼女のお金は大事なお金だ!」と急に言い出すのはやや強引になってしまった印象。
 それはそれとして、生き餌の件については伏せたまま、「お守り代わりだ。大事にとっとっけ」と押しつけた指輪はどう考えても探知機代わりで、とりあえず、絵の代金、払ってやってくれ、鋼牙。
 ……この見せ方だと、毎度あれこれあっては、「金払えー」「またな」を終盤まで引っ張るのかもですが。
 3-4話の配信リミットが迫っているので駆け足の感想になりましたが、2005年当時の映像技術を活かし生身バトルをごりごり押して伝奇アクションを真っ正面からやるぞ! という切り口はなかなか面白く、引き続き見ていきたいと思います。
 ところで本編とは関係ない話ですが、EDにおけるスタッフクレジットのスクロールがやたら早くて難儀(早すぎて、一時停止しても文字がブレて判読しづらいレベル)。