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Gはギガトン級のG

ウルトラマンG』感想・第6話

◆第6話「悪夢との決着(the showdown)」◆
 ユーマ隊長、衝撃の一言。
 「好戦的な軍人どもには任せられん」
 え……ど、どういう自己認識なのですか隊長……それとも、オーストラリアではユーマ程度は、弱腰の平和主義とみなされるのか。
 隊員は学者・研究者・技術者寄りの雰囲気なのに、戦闘機を乗り回して怪獣退治の最前線でミサイル撃ちまくってきたユーマの性質を明確にしようという意識だったのか、攻撃よりも「分析」を重視しようとするユーマに対して、本部に乗り込んできて「撃て、撃て、どんどん撃て!」と大騒ぎする将軍が出てきて対比されるのですが、ユーマが基本前のめりなのと、将軍の描写があまりにも雑なので、あまり面白く機能せず。
 当時のオーストラリア人スタッフからすると、このぐらいが記号的表現の範疇だったのかもですが。目を剥いてがなり立てて「攻撃だ!」「銃殺だ!」と大騒ぎする無能な軍人、の挿入はあまりに強引すぎました。
 ゴーデス細胞に感染したジーンは生死の境を彷徨い、ジャックにアドバイスを求められたグレートさんが、「精神力でなんとかなるかもしれないし、ならないかもしれない」となんか適当なコメントをつける一方、他者の恐怖を活力源とするゴーデスは地中で成長を続け、その影響によって生み出される巨大火山。
 ゴーデスへの対応が生ぬるい、とユーマの姿勢を批判する将軍がどこからともかくしゃしゃり出てきて指揮権を奪うが、隊長はユーマ憲章に基づいて基地機能を停止してこれに対抗し、組織の政治的側面が描かれるのですが、そもそもユーマの立ち位置が割とフリーダムなので、あまりリアリティを引き上げたり世界観を広げる事の面白さには繋がらずじまい。
 いっけん将軍の言う事を聞いて「俺はミサイルが撃ちたいです」と出撃していったチャーリーが実は時間稼ぎ、というのも最初から茶番めいてしまったというか、どうして指揮権奪ったところの要員をそのまま出撃させるの将軍……みたいな事になってしまいましたし。
 ジャックは、将軍の指示で生命時装置を外されそうになったジーンを救出して基地を逃亡し、ようやく投入された空軍がゴーデス山を爆撃するが、それはゴーデスの孵化を早めるばかりで、遂に出現するマグマゴーデスの、サブタイトル通りの悪夢的風貌は迫力満点。
 それを見たジャックはグレートへと変身し、横からのカットで、ゴーデスの芋虫のような長い下半身が見せつけられるのはインパクトがあり、ゴーデスのデザインは実に秀逸です。
 光線技を打ち合うもゴーデスの体内に吸い込まれたグレートは、これまで戦ってきた怪獣の幻影に苦しめられるが、その間にジャックがゴーデスの精神と接触
 「おまえは、どんな星へ行っても――食い尽くす事しか知らない」
 地球人の得意とする《挑発》スキルがクリティカルヒットし、怒りに我を忘れたゴーデスの隙を突いて勝機を見出した(幻覚攻撃が止まった?)グレートが、ゴーデスを内部から突き破って大爆破。
 この辺り『80』ばりにナレーションで全て片付けていくのですが、ゴーデス体内で巨大化したグレートが何事も無かったかのように垂直に飛び上がっていく姿は、変な面白さが生まれました。
 そしてジーンもなんか助かり、なんか勝ったよ!
 ……横暴な権力(軍部)に知略とチームワークでユーマが一杯食わせる成り行きを日豪どちらで入れたがったのかはわかりませんが、ユーマと軍のいざこざよりも、ジーンとゴーデスの精神世界での攻防や、知略とチームワークでゴーデスに立ち向かうユーマ、の方に尺を採って欲しかったというのが正直な内容。
 基本、ジャックに主導権を握らせると「撃ってはいけない」「退却しよう」ばかりになるので、話を転がすために物分かりの悪い乱暴な横槍が必要になってしまうのは、今作ここまでの難しいところだなと。