東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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そろそろ読書スイッチが切れそうな中……

初・知念実希人

 《天久鷹央の推理カルテ》(短編集)&《事件カルテ》(長編)シリーズ(知念実希人)を、短編集5冊目、長編4冊目まで読了(共に続刊中)。
 天性の才能と天性の欠落を抱えた超人的頭脳を持つ診断医・天久鷹央を探偵役、その部下にしてお人好しの内科医(元外科医)・小鳥遊優を助手兼語り手とする医療ミステリシリーズで、なかなか面白かったです。
 傍若無人な探偵役とそれに振り回される助手パターンの場合、(特に探偵役が女性の場合まま)関係がSM的になりすぎるとあまり好きではないのですが、そういう部分はゼロではないものの、探偵が自らの欠点に自覚的であり、助手との関係性においてもそれが共通の前提となっているのは、読みやすかったところ。
 キャラクター小説としての筆致は軽やかで、ぐいぐいと読ませる文章は巧み。
 一方、ミステリとしては読者に隠されている要素が多いので、本格推理、というよりは、ミステリの文法を取り込んだ医療ドラマ、といった感が強い(特に短編)ですが、それが良い意味で“物語”として綺麗にまとまっており、総じて読後感がいいのも良かったです。
 ここまで読んだ中では、「探偵/ヒーロー」の抱える「怪物性」に切り込む、長編3作目『甦る殺人者』が一番お気に入り。
 他の作品も、ぼちぼち読んでみたいです。