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勇者が行く?

海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・第42話

◆第42話「宇宙最強の男」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久

 ――「貴方はバトルフィーバー隊の頭脳だ。頭脳が剣を振り回してはいけないと思います」

 冒頭から大乱戦で始まり、広場にわざとらしく積まれた段ボールの山に脚立ダイブを敢行した緑、起き上がったと思ったらすっぽりはまった段ボールを身につけたまま戦うのが、実に面目躍如。
 「おいハカセ! いつまでたっても、戦い方が愉快なままだな」
 「愉快って!」
 「今欲しいのは、愉快より豪快なんだけど」
 巨大戦は豪獣神が担当している間に、ゴーカイジャーはリンブラックとリングリーン込みでビースト・オンし、前座ーーーーーズ!!(涙)
 続けてファイブマンでスーパーファイブボールを放ち、親衛隊を豪快に撃破。
 「チョイチョイチョイチョーイ! なんなのさー! 海賊どもの、あの余裕は!」
 「奴らの力は本物です。我々は、負ける筈のない戦いに、ことごとく敗れてきました」
 明るいダゴン(冥府神)、みたいなデザインと性格の皇帝側近ダイランドーは自ら海賊退治に出向こうとするが、ダマラスにチャンスを、とインサーンが進言し、それが認められる事に。
 「ダマラス、ユーに出来るのかいな?」
 「……誰に向かって言ってる」
 これまでの、殿下相手の慇懃な物言いとは違う雰囲気を身に纏ったダマラスは、手鎖を筋力で粉砕すると気合で牢屋を吹き飛ばす衝撃的なパワーを見せ……後で経理部から怒られます。
 そしてダマラスは、真面目に始末書を書き、お詫びの菓子折を持っていきそう。
 「赤き海賊団の生き残り、キャプテン・マーベラス。裏切り者、ジョー・ギブケン。ファミーユ星の王女、アイム・ド・ファミーユ。女盗賊、ルカ・ミルフィ。そして、この星で加わった、伊狩凱。……こいつはどうでもいいが。覚悟しておけ、海賊ども」
 改めて海賊たちの手配書を確認したダマラスが海賊狩りへと出陣した頃、ガレオンではその「どうでもいい」人物に関する重大な疑惑が浮上していた……ハカセことドンさんの正体は、かつて邪悪な竜を倒した勇者ドン・ドッゴイヤー?!
 「それが僕の……過去?」
 アイムが読んでいた雑誌『女星セブン』(大変らしい表紙デザイン(笑))の記事を知り、おもむろに昔の記憶が無いと言い出すハカセ、盛り上がる凱、疑わしげな視線を向けるマベとジョー。
 「「ホントかー??」」
 わざとらしく悩みだしたドンさんは接待を要求し、この時点でしらけきった表情になるマベジョーと、盛り上がる凱、キラキラした視線を向けるアイム、興味本位のルカ、との温度差が活き活きとして面白く、ジョーはとうとう、黙々と腕立て伏せを開始(笑)
 一方、地球に降り立ったダマラスはバスコ&サリーと接触し、ここまで劇中最強クラスだった完全バスコを圧倒する実力を見せつける。
 「この私に勝てると思っているのか?」
 「……わかりました。やりますよー。ダマラス様」
 舌打ちしながらもバスコはダマラスの海賊狩りに従う事となり、恐ろしい事に、第42話にして、荒川脚本回にバスコが登場するのは、なんと初。
 遡れば『電磁戦隊メガレンジャー』において、追加戦士メガシルバーのキャラ立てを脚本陣の3番手ポジションだった小林靖子が主に担当する、といった分業はありましたが、出ずっぱりで無いとはいえ主人公の宿敵ポジションを直接的にはメインライターが一切触れないまま40話台まで来て特に問題なく進行していたのは、見事な差配です。
 勇者の記憶は美食に繋がっている? と高級レストランで舌鼓を打つハカセ一行の席では、ルカの口からハカセとの出会いが語られ……要約すると、か弱い女性のフリをして船の修理依頼に来たルカに転がされてガレオンに向かったところ強面の男達により反社会的団体の一員として連れ去られる…………いわゆる、美人局、でした。
 ……いや、真面目な話としては、ルカが指名手配中の海賊一味だと気付いて下着丸出しで逃げる「臆病」さ、それでも依頼を受けると言ったからには約束を守って自らガレオンに向かう「勇気」と「誠実」さ、ゴミ屋敷と化していたガレオンのブリッジを見て思わず掃除と人間らしい食事を提供してしまう「人の好さ」と「主夫力」、そして故障箇所をあっさり直してみせる「技術力」、とハカセらしさがコミカルな回想に詰め込まれ、実にハカセは出会いの頃から、ハカセでありました。
 「気に入った。おまえ、俺たちの仲間になれ」
 「え?!」
 狼狽するハカセの口に、チキンを突っ込んで反論を封じるお尋ね者。
 「あんた名前なんて言うの?」
 「僕は、ドン・どっ」
 ハカセだな。おまえ博士みてぇだから、ハカセでいいだろ」
 「いいね。よろしくハカセ
 「頼むぞハカセ
 ひ・ど・い……。
 かくしてドンさんは便利屋として海賊戦隊に実質的に拉致監禁されて今に至り……そんな出会いを「素敵です」で処理してしまうアイムと、勇者疑惑に引き続き盛り上がる凱のキラキラした視線にはにかむが、平穏を引き裂いて、ダマラスが登場。
 「なんだこいつ……」
 軽い剣の一振りでビルを木っ葉微塵にしたダマラスの力に危険を感じて逃げ出した4人はマベジョーと合流し、第42話にして、初顔合わせ。
 「あれは! ダマラス!」
 前回に続き、ジョーの《知識:ザンギャック》はなにかと便利です(笑)
 「なにもんだ?」
 「宇宙最強と言われている、ザンギャックの軍師だ」
 これまで、ぽんこつ王子と忠実な重鎮、という殿下との関係性から、カー将軍(『科学戦隊ダイナマン』)のイメージがあったダマラスなのですが、「軍師だけと武勇最強」なので、むしろ鉄山将軍(『バトルフィーバーJ』)だったのか(笑)
 「全員揃ったようだな。ワルズ・ギル殿下の仇、討たせて貰う」
 「ボンボンの尻ぬぐいか。ご苦労なこった」
 「許さん」
 「絶対に油断するな。今までの奴らとは、根本的に違う」
 変身した6人に対し、ファイナルウェーブを一刀で跳ね返すと、儂はアリが畳をはう足音を聞く事ができる、と放たれたダマラス流・閃光剣が海賊戦隊をまとめて弾き飛ばし、体制を立て直そうと一時退却しようとする6人だが、その退路をバスコとサリーに断たれてしまう。
 最強の敵と最凶の敵に前後を挟まれ、戦力を分断されるゴーカイジャー
 「どうしよう……足が震えて」
 それでも身を挺して赤をかばう緑だが、ダマラス流・竜巻剣で大ダメージを受け、揃って変身解除。
 「ごめんね、マベちゃん」
 そして仲間達はバスコの凶刃に倒れ、消滅……?!
 「来るな! 来たら承知しないぞ!」
 「貴様などどうでもいい!」
 マベの前に立つハカセだが殴り倒され、怒れるダマラスは恨み重なるマーベラスの身柄を確保するとバスコと共に姿を消し、独り取り残されるハカセ……でつづく。
 「ジョー……ルカ……アイム……凱……マーベラス……嘘だろ……こんなの嘘だぁ!」
 長らく地味な役割だったダマラスが、実は物凄く強い、のは如何にもでありますが敵ながらスッキリとする大暴れ。そこにハカセが絡むのは意外な組み合わせでしたが、強敵、更なる強敵! と手綱を緩めない激動の展開は盛り上がり、次回、勇者は立てるのか?!