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青春アクセル踏みすぎ

超獣戦隊ライブマン』感想・第31-32話

◆第31話「ママ!寄生怪物の叫び」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 OPが5人バージョンとなり、クーガー生きてたーーーー!!(多分)
 メンバー紹介が駆け足気味に圧縮され、ドライブシーンを切り詰めにくかったのか(協賛の関係?)、一人で砂浜をダッシュする勇介(笑)
 鉄也のボクサーはなんとなくそんな雰囲気というかしっくり来ますが、純一は意外やラガーマンであり、今回の描写を見ても、気が弱いというよりも、鉄也に頭が上がらないといった模様。
 「ギガボルトが敗れたのは残念だった。だが成果はあった! そこで、これまでのお前達の成績を発表する」
 大教授ビアス様必殺の《それらしい事を重々しく断言して視聴者も生徒もそんな気がしてくる》が炸裂し、常にマイペースでボディを磨き続けるガッシュは、天才達の採点係であった事が判明する。
 「今後ともあの数字を伸ばす為に、大いに励んでもらいたい」
 最下位のブッチーを、そもそも俺たち出番が途中からだし、と慰めるギルドス……考えてみれば大事な短剣を盗まれても尾村がそれをどう使うか見守っていたり、実は、意外といい人なのでは。
 すっかりコンビ扱いのギルドスとブッチーは、宇宙の生命科学の力を見せてやる、と宇宙生命体からベガヅノーを作り出し、その不意打ちを受けた純一は、体内に未知の宇宙生物を植え付けられてしまう。
 「丈夫な赤ちゃんを産んで下さいだす。いひひひひひ」
 異星の生命体に寄生された純一は妊婦のように膨れた腹に脅え、改めて新人二人(と視聴者)にボルトの恐ろしさを見せつける狙いがあったのでしょうが、職場が大変ハードです。
 「ギルドス、プラス172点。ブッチー、プラス158点」
 ボルトでは営業成績が壁に貼り出されるようになり、採点の雑さは気になりますが、5人になったライブマンに対して、ギガボルトを失ったボルトにも変化が付けられるのは、良いアクセントになりました。
 ライブマン印の救急車で病院に運ばれる純一は、体内の赤ん坊から「コロサナイデ」という声を聞き、更にはブッチーとギルドスが妨害。
 「手術などして殺されてたまるものか! 我がベビーが生まれるのも時間の問題」
 「誰がおまえの赤ん坊なんて、生むもんかーーー!!」
 ……正直今回は、どうしてこれを通してしまったのだろうというか、純一の演技や反応が迫真ゆえに、劇中のキーワードから極めてデリケートな問題が想起されざるをえず、状況設定にしても台詞のやり取りにしても、演出・脚本ともに際どくやりすぎた感があって、この辺りから、戦隊の1エピソードとしては楽しみにくくなってしまいました。
 逃げ出した純一が受ける「世間の目」「階段からの転落」が示唆するものも露骨ですし、今作の“生命”への真摯さが、寓意としては過激になりすぎた気がします(もしかすると、「受験戦争」同様に、当時の時事的な要素があったのかもですが)。
 「俺は、俺はあいつを抱きしめてやりたいんです。でないと、俺は一生後悔しそうなんです!」
 パニックを乗り越え、体内の生命と向き合う決意をするも、生み出されたベガベビーの姿に一度は顔を背ける純一だが、それを反省。人の優しさを持って生まれたベガベビーが失敗作として始末される寸前に駆け付けるが、頭脳獣の攻撃を受けたベガベビーは、純一の背で息絶えてしまう。
 「どうしておまえ達は命を弄ぶんだ! ゆるさねぇ!!」
 予告から想像していたドタバタコメディどころか、ここまで屈指の重い内容から『ライブマン』のテーマへと接続され、主題歌バトルに突入。サイカッター(ブーメラン)とバイソンロッドが初披露され、そういえば特にイベントの無かったバイモーションバスターは5人で構えて継続使用。
 注目のロボットは、今回はサイファイヤーとバイソンライナーに5人で分乗してボクサーディメンションし、「完成! ライブボクサー!」したらいつの間にか中央に赤が陣取っているのですが、「もー、すぐに先輩風ふかすんだから!」。
 ボクサーはジャンプからの連続パンチ、そして必殺Wパンチで大勝利。純一達は、ベガベビーの墓を建て、生まれて間もなく散っていった命に祈るのであった。
 「お母さんが子供を守ろうという気持ち。これこそ、ライブマンが地球を守ろうという原点なんだよな」
 だがボルトは謎の計画の為に恐ろしい実験を続けており、ギガ計画は序の口に過ぎないのだ! と引き続きその脅威が煽られて、つづく。

◆第32話「ケンプ、血とバラの謎」◆ (監督:東條昭平 脚本:藤井邦夫)
 「ケンプ……いや、剣史! マイさんがおまえにとってどういう人だと思う?!」
 ドクターケンプこと月形剣史には、病気の母親を励ましたいという投書を目にした事から、バイオ技術によって作り上げた“枯れないバラ”を少女にプレゼントした過去があった。そして現在、美獣ケンプ強化計画の為にベータZOマイナス型の血液を求めるケンプは、遂にその持ち主の女性を発見するが、それはくしくも、かつてバラをプレゼントした少女――マイだったのである……。
 〔美獣強化計画の為にはケンプ自身と同じ型の血液が必要 → しかしケンプは100万人に1人の希少な血液型 → 頭脳獣を使って血液を精製しよう → 同じ血液型の人間を発見! → 実は過去に当人から輸血を受けていた〕
 という、「血」をキーワードに過去と現在の人間関係を結びつける話の組み立てそのものは面白かったのですが、その流れに紛れて「勇介と月形には割と打ち解けた調子で一緒に実験していた過去があった」「どさくさに紛れて「剣史」呼びを始めるアカデミア組」は捏造度合いがあまりに強く、また、過去と現在を行き来する関係でわかりやすさを意識したのか、これこれこういう事情で……の説明がやや冗長になってしまい、エピソードとしては物足りない出来。
 「……あの頃はまだ真の天才に目覚めていなかったからな。ふ、馬鹿な事をしたと思ってるよ」
 「馬鹿野郎!」
 思わぬ過去との邂逅に動揺を隠しきれずに虚勢を張るケンプを勇介は殴り飛ばし、勇介とケンプに直接の因縁があるに越した事はありませんし、互いに血を流しながらの生身での殴り合いは迫力もあって良かったのですが、2クール目の内にやっておいてほしい内容ではありました。
 藤井脚本では以前に、マゼンダが捨てきれずにいた人間性を描いた傑作回がありましたが、それとの差別化も含めて、ケンプはもう少し、過去に見せた善行や人間味とは訣別していても良かったかな、とも。
 ヅノーベースに戻ったケンプは、アシュラには虚仮にされ、マゼンダからは同情めいた眼差しを向けられ、再び地上へ。子供達を人質にマイの血を奪い取ろうとするが、その前にライブマンが立ちはだかる。
 「ケンプ! 貴様天才といいながら、幼い子供やマイさんの血が無ければ美獣ケンプを強化出来ないのか!」
 「……だまれ。黙れ! 黙れー!」
 ED曲でバトルとなり、美獣ケンプを退けた赤はゴアヅノーにファルコンブレイク、そしてバイモーションバスター。
 今回はライブロボが出撃して気がつくと5人が乗り込んでおり、強化再生された新生超獣剣による、新必殺二段斬りでフィニッシュ。さすがに毎回のスーパーライブロボは出せないようですが、出しすぎると格の下がるところはありますし、ボルト全体の戦力が底上げされたわけではないので従来戦力で太刀打ち可能な事に違和感はなく、そんな中でマイナーチェンジ的ながら武装と必殺技の強化を描いてくれたのは、嬉しかったです。
 「勇介! 俺は血などは使わずに必ず美獣を強化し、おまえを、叩きのめす!」
 敗れたケンプは、かつての同輩の言葉にチャレンジスピリットをメラメラと燃やし……なんか、ちょっといい話になったぞ(笑)
 予告からてっきり井上敏樹かと思ったら藤井先生でしたが、「藤井先生にしてはマイルドに着地」と「後の井上敏樹だったらもっと酷い地獄絵図になっていそう」という感想が同時に思い浮かび、この二人の交点を、脳内で勝手に感じるエピソードでした。
 次回――鉄也はやはり、根は気のいいヤンキー路線でいくのか。