『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第20話
◆エピソード20「あぶないペア」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下亜友美)
学園生活、あった。
19話ぶりに充瑠の高校生活が描かれ、エピソード0で充瑠が絵を描いた同級生・柿原瑞希と、エピソード1でビルに取り残されたカップルが再登場。
そして、補習に関する先生の説明を完全無視で似顔絵に夢中な上、チェンジャーに呼び出されるや一瞬の躊躇もなく補習をぶっちぎる充瑠、凄まじい問題児だった。
……いざという時には、CARATが何とかしてくれます! この世を動かすのは、財力と権力です! 持ってて良かった大富豪のお友達!
「まさか、あいつにも裏の顔があったりして。……つけてみるか」
そんな充瑠に興味を持った、表の顔は優等生の柿原さんだが、接着剤邪面の特殊能力によりキラメイレッドと手と手がくっついて剥がれなくなってしまい、ワンダーアベック!
……やはり、昭和の男は過剰反応だった。
面割れに関しては、基本的に問題にはしていないが同級生にバレるのは気まずい、という形で描かれ、どちらかというとココナッツベース内部の方が機密性が高そうですが、いざという時には財力と権力でなんとかなります! 前回の今回で、ちやほやされる事への慣れを見せつけてくるメンバーは口からでまかせで必死の誤魔化しを試みるが、昭和の男の闖入で敢えなくミッションフェイルド。
「なんじゃ? キャラがさっきと全然違うのう」
「顔を見て、お礼を言いたかったんじゃないの?」
「石! うるさい! 熱田にいい顔したって意味ないじゃん!」
「あらあら正直な子」
かくして接着剤邪面を倒すまで強制手繋ぎ状態によるドタバタコメディに青い春を交えて、自己評価の低い冴えない高校生が如何にしてヒーローになったのか、「誰かに認められる」事をきっかけに、キラキラに「変われる」姿を、同級生視点から描いて充瑠のヒーロー性を掘り下げていったのですが……内容云々というよりも、演出面でのテンポがやたらに悪くて、どうにも入り込みにくいエピソードでした。
スケジュールの調整や撮影上の制限など、制作状況の厳しさは色々と想像されますが、そのひずみがいよいよ誤魔化しきれなくなってきたというか(或いは、敢えてここで一度、溜めたものを吐き出したか)、特に戦闘シーンにおける描写をちょっとずつ間延びさせる――多かれ少なかれ話の都合が出る部分はありますが、初戦の柿原さん闖入時に始まって、戦闘中のコマンド入力待ちみたいな状態があまりに目立つ――事で、合計1,2分ぐらい稼いだような作り。
冷蔵庫にはまる桃とか、変則片手変身とか、赤の名乗りにパートナー爆誕とか、楽しく見せようとする工夫は随所に散りばめるも、ある意味で、シリーズの積み重ねてきた進化とは逆方向を要求される厄介な状況であったのかなと。
本来は生身で芝居させたそうなところで、スーツにイメージ映像を被せざるを得ないなど、脚本・演出の両面で今後も模索が続きそうですが、改めて頭の下がる思いです。
「柿原さん、一緒に戦ってもらっていいかな。君の事は、絶対守るから」
その中で、しれっと豪速球を投げる充瑠とか、柿原さんが自身のネガだと思っていた部分が、充瑠にとってはパワフルで格好いい長所であったとか、エピソード0の一件をプラスに転じて拾ってくれたのは良かったですが、この調子で進化を続けていくと充瑠は全くなんの自覚もないまま出会った人に片っ端から実質告白とかしそうで危ないので、時雨のアニキと一緒に一ヶ月ほど女帝ブートキャンプに 監禁 軟禁して、洗脳もとい矯正もとい自己啓発させた方が良いのではないでしょうか。
「熱田は、なんで戦おうとするの? 普通の高校生なのに」
「……キラメイジャーに、選んでもらったから!」
一方で、根っこの部分は受動的というか、戦う動機と充瑠の掘り下げとしてはまだ弱く感じ、充瑠に関しては今後の展開の問題でまだ書きにくい部分があるのではと穿って見てはしまいます。
接着剤邪面は、粗大ゴミで圧殺という、史上希に見る最期を遂げ(怪人の倒し方のセオリーをとことん崩していきたい模様)、接着剤怪獣は、接着合体大回転でスマッシュ。
柿原さんは猫かぶりをやめ、充瑠はキラキラを認められ、なんとなくワンダー甘酸っぱい空気が漂って、宝路お兄さんが教室の床をガンガンと叩きながら、つづく。
次回――えーと……お母様も割と武闘派だったんですか。回想シーンだと巻き添えになった被害者みたいな描かれ方でしたが、むしろ宝路より殺意が高そうなのですが。