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相棒ツッパリ

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第19話

◆エピソード19「相棒」◆ (監督:加藤弘之 脚本:金子香緒里)
 「わたくしの体から、お嬢様のいー香りがします」
 マッハに感じる変態性についてはちょくちょく触れてきましたが、とうとう公式が豪速球を放り投げてきて、どんな表情で見ればいいのか真剣に悩みます。
 「器用、憧れ、癒やし、勢いかぁ……俺には無理だなぁ」
 「なに言ってんだ! 充瑠は、やれば出来る男だぜ。すげぇ奇跡を、何度も起こしてきたじゃねぇか」
 知り合いの保育士に頼まれて幼稚園で絵を教える充瑠は、絵そのものに興味を示さない少年・たけしへの対応に困って仲間に相談し、いつものノリで魔進達が相棒の長所を挙げていくのが後半への布石になっているのが、終わってみると鮮やか。
 ……それはそれとして、根本的に充瑠、人に絵を教えるのに向いていない気はしてならないのですが、その辺りは曖昧に濁す事で、結果的に第8話へのフォローになったようなならないような。
 恐らく第1話以来となる学生服姿で悩める充瑠だが、妙におどけたステップを踏むスモッグジョーキーが街に出現。露骨に不自然な動きをするジョーキーに戸惑うキラメイジンは、罠にはまって謎の光線を浴び……
 「おおぃ、充瑠、もしやこれって!」
 「俺たちと、魔進のみんなの魂が……」
 「「「「「「「「「「入れ替わってるー?!」」」」」」」」」」
 これまでも、人格や性別など、色々な入れ替わりネタがありましたが、人間と相棒の魔進、5人と5体の総入れ替えは、シリーズ史上最大の規模でしょうか。
 ヨドンヘイムに戻ったガルザ?は軽快にスキップしながら邪面師と手を打ち合わせたところを、いつになく真剣な声音のクランチュラ?に怒られ、ついでに敵幹部まで入れ替える大サービスで、今回最大のポイントは、このシーンにサブタイトル「相棒」がかかっている事ですね!!(力説)
 「ジョーキーを貸してやるとはいったが、この体はなんなんだ」
 もはやガルザ専用ヒロインと化しているクランチュラさんですが、いつものようにキングエクスプレス!→「そんなもの、この私には効かないぞ」→Cガルザあっさりと無効化→それを見て大ショックを受けるGクランチュラ、はちょっと見たかったです、ハイ。
 「ガルザ、知ってるか?」
 前回の今回だけに、中身クランチュラのガルザが、中身ガルザのクランチュラにこれをやるのが面白さ2割増しとなり、対象の魂を入れ替える住み替え邪面の能力が説明されて、ココナツベースは大混乱の真っ最中。
 魔石と化した充瑠たちは身動きが取れず、人間となった魔進たちは戸惑いながらもはしゃぎ回り、H小夜による医療事故の危機が高まる中、お絵描き教室に行く事になるF充瑠……薄々そんな予感がしていたのですが、ほぼほぼ、M良太郎(笑) (※『仮面ライダー電王』)
 画用紙をクレヨンでぐりぐりと塗り潰したF充瑠は、充瑠が手を焼くたけし少年が画用紙を引き裂くのを見ると、それに追随。
 「それがおまえのやり方か。おもしれぇ。いいぞ、たけし。芸術は、めっちゃビリビリだー! はははははは、はははははははは」
 高笑いしながら、細切れにした画用紙をばらまくF充瑠の姿に、目と口をまん丸にして、未知の生き物を見てしまった時の顔になるたけし少年(笑)
 「たけし、やるなおまえ。すげぇぞ」
 「僕が、凄い……?」
 「おう」
 だが、いっけん無茶苦茶なF充瑠の言葉と行動は、たけし少年の心を解きほぐし……というか、あまりにも非常識な存在をぶつけられた事で、自分のしている事が所詮は狭い世界でのちっぽけな反発に過ぎないと気付いて大人の階段を急加速して登ってしまったというか。
 姫様(今回はほっかむりをしているので、だるまさんが転んだ回はやはりイレギュラーというか、三つ編みを強調する都合だった模様)に運ばれてきてこの様子を目にした充瑠は、自然とちぎり絵を作り始める子供達の姿に、かつて自分がファイヤーに認められてやれる気がするようになった事を思い出し、ストレートな教育関係はただでさえ地雷になりやすい上に、前歴のある充瑠→「芸術はビリビリ」のF充瑠、で大変心配したのですが、物語の焦点を充瑠の“気付き”にスライドする事で、「誰かに誉められるって素敵な事だよね!」を押し出すのは、呑み込みやすい着地点になりました。
 「ファイヤー達はいつも、俺たちを誉めてくれるよね! だから俺たちキラメイジャーとして、輝けたんじゃない?」
 慣れない体で住み替え邪面&ガルザに苦戦する魔進キラメイジャーに対し、もどかしい思いからついついネガティブな駄目出しをしていた魔石メンバーだが、戻ってきた充瑠石の言葉に、これまでずっと、自然と相棒たちに支えられていた事に気付く。
 自分たちもそうであろう、と意識を変えたメンバーの激励に魔進キラメイジャーはパワー100倍となって戦闘員を蹴散らしていき、さすがに変態方面に振りすぎたと思ったのか、立ち直ったマッハ緑が、かなり格好いいアクション。
 「あたし、マッハのこと、大好きだよ! あたしと同じように、おもいっっきり突っ走るマッハが、大好き!」
 「?! ……大好き!」
 ……なんかこう、“誉めて伸ばす“というより、“乗せて転がす”、になっている気もしますが(笑)
 「声をかけたぐらいで、あれほどの力が」
 「仲間から認められるって事が、とんでもない力を生むんだ!」
 お友達の居なかった宝路兄さんの“変化”を取り上げてガルザと対比するのも目配りが利いて、今のところ比較的書きやすい(オーダーの少なそうな)エピソードを割り振られている感じはありますが、ダルマさん回に続いて、金子さんが良い仕事。
 ……危うく仕留められかけるガルザのハカイダーもとい弱体化が、ちょっと気になりますが。……まあ、邪メンタルは僻めば僻むほど強くなる闇のMパワーなので、きっとその内、黄金の鎧を着て「じゃめぇーーーん!!」とか奇声を発するようになるに違いありません。
 闇エナジーが溜まって住宅ローンダガメス(嫌な邪面獣だ……)が出現し、心を一つにした5体と5人は合体に成功するとキラメイダイナミック。邪面師はシルバーが葬り去って魂の住み替えは終了し、怪人を倒すと状態異常が回復するルールだが、邪面獣を別口で召喚可能なので入れ替えたまま巨大戦に突入可能なのは、今作の特性を活用。
 宝路のストーン化が描かれている事が、人←→石の入れ替えを呑み込みやすい前振りとして機能しつつ、自身は入れ替わりが発生しない宝路の存在が最後のバトルで有為に働く構成も綺麗に収まりました…………ドリルを握ったまま無言で立ち尽くす宝路とか生まれなくて良かった。
 折角の入れ替わりなのに早々と変身して戦闘中心になったのは物足りない面はありましたが、現状のリスク管理の面が大きいと思われ、そもそも今回自体が、なるべく変身をキープしても違和感なくドラマを展開する為のアイデアの面がありそうで、致し方ないところでありましょうか。
 なんだかんだリーダー感のあるファイヤー、を見せられたのは良かったな、と。
 充瑠のスマホには、子供達が完成させたちぎり絵の写真が届き、「お互いを輝かせるのが相棒……か。いいもんだな、相棒って」と宝路がまとめて、つづく。
 次回――遂にあの子が本編登場! 謎に包まれていた充瑠の学園生活が明かされる時、そこにラブコメが生まれる、のか? 小夜さんの私服がいい感じ。