東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

にんぷー にんぷー にんぷーかん

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第27-28話

◆巻之二十七「串焼きと無重力」◆ (監督:諸田敏 脚本:酒井直行)
 鷹介が本日の派遣先として仕事に向かった焼き鳥屋の店主はなんと、忍風館を中退するも黒子ロボを殴り飛ばして記憶を保持したままの、元学友。ニンジャを続けているどころかハリケンジャーになっている事を誤魔化す鷹介だが、ジャカンジャの出現により、七海と吼太ともども、ハリケンジャーへの変身を目撃されてしまう。
 重力忍者に苦戦するハリケンジャーを助けに現れたシュリケンジャーは、格好つけるもさくっとやられると、物凄い自家発電で怒りの封印を解き、単純な戦闘力に関しては、歴代追加戦士でも最弱クラスなのでは(大リーグボール養成ギブスを外した状態が真の強さ扱いなのかもですが、正直、江戸っ子モードの強さがいまひとつ伝わってこず)。
 鷹介たちのこれまでの戦いを知らず落ちこぼれ時代の印象しかない学友は、無理にハリケンジャーなどせずに定職に就きなさいと3人にまとめて説教し、ここで「事情も知らずに外野が好き勝手……」だと印象が悪くなってしまうのですが、学生時代の失敗の数々を回想しつつ、学友が真剣に3人を心配している事を描くと同時に、出産間近の妻に頭が上がらない姿で愛嬌を与えたのは、話が巧く転がりました。
 「あの人達が居れば、鷹介一人居なくなったって、地球は大丈夫だ。やっぱ鷹介は、焼き鳥屋だ」
 再び現れた重力忍者との戦いに今度はゴウライジャーが参戦し、なんとか鷹介を足抜けさせようと気を揉む学友だが、いつのまにやら全員に忍法重力シールが貼り付けられており、重力無秩序で大混乱。
 「おまえが死ぬの、見たくねぇんだよぉ!!」
 ハリケンレッドの大ピンチに飛び出した学友が、かつての忍者への憧れから、同じ落第生の鷹介が出来るのなら自分にも出来るのではと暴走しているのではなく、ひたすら鷹介を心配するからこそ決死で宇宙忍者に立ち向かっていくのが気持ちが良く、通して、ゲストキャラに悪印象を持たせない為の目配りが効いていたのが、大変良かったところ。
 友の姿に奮起した赤は、かつて二人で底なし沼にはまった思い出の超忍法・飛雲雀を成功させて大逆転すると、最後はビクトリーガジェットから、みんな揃って成・敗バイ!
 「やったぜ! みんな、すげぇよ!!」
 忍風館、黒子ロボ、ビクトリーガジェット……と、今回は今作の基本ギミックを振り返る意図もあったようで、シュリケンジャーの活躍を一休みして、久しぶりの気がする風雷合体。初の歩行を見せた豪雷旋風神は重力忍法を受けて僅かに浮き上がるも、そこから容赦なく飛び道具を叩き込み、ほんとグレートタイタン系……。
 「俺はもう、大人しく焼き鳥屋に戻る。……頑張れよ」
 鷹介たちに串焼きをおごって激励した学友は店に黒子ロボを呼んでおり、ここで自ら記憶消去フラッシュを浴びるしんみりしたオチになるのかと思いきや、肩組んで校歌を大合唱したまま終わってその辺りは濁されるのですが、新しい家族の為に中退して店を構えた学友を理解して、「それだって偉いよ! 頑張れよ!!」と鷹介がエールを返し、道中幾つかの地雷を回避して、ヒーローになった者となれなかった者が互いの道を尊重する、最後まで目配りの良い秀逸回でした。

◆巻之二十八「ハリアーと逆襲」◆ (監督:諸田敏 脚本:宮下隼一)
 かつて七海を殉職寸前まで追い込んだメガタガメのマーク2が出現し、楽勝だったでしょ、と死にかけた当の本人の記憶が改変されているのですが、鷹介謹製シノビチョコ(恐怖心が消えたりする秘伝の薬効成分入り)の深刻な後遺症でしょうか……。
 色が変わっただけのマイナーチェンジめ、と高をくくるハリケンジャーだが、なんとタガメがハリーアップ!
 「いったい、何を考えておるんじゃ」
 「ふふん、果たして、ただの真似かな?」
 悪い宇宙人顔になったタガメハリアーは、旋風ハリアーと取っ組み合って互角以上の戦いを演じ、天空神が助太刀に参戦するも、ざっくり踏みつけに。そして、旋風神と違ってタガメハリアーモードは時間制限なし!
 「勝負は見えた。貴様等の負けだ!」
 地球忍者の技術も貪欲に取り込み、着実に傀儡を強化していくサーガインの前に、遂に旋風神から叩き落とされて完敗を喫したハリケンジャーは一時撤退。
 「すまん……遅かったようだな」
 「兄者……いったいどこに居た?」
 「別に。チェンジャーを外していて、気がつかなかっただけだ」
 「最近一人で出歩く事が多いぞ。いったいなにを隠してる?!  彼女が出来たなら正直に 言ってくれ!」
 「別に何も隠してなどいない!」
 一鍬からのコールに応答しなかった兄者は問いかけを乱暴に否定し、とことん駄目なルートへ駄目なルートへと直進していきます(笑)
 いったい、兄者の好みはどんな女子なのか? ドキドキしながら兄者を尾行する一鍬だが、兄者が山奥で密会していたのは、一鍬も知る羅門先生(演:藤敏也。未見なのでわかりませんでしたが、元ファイブレッドとの事)。
 「兄者……どうして黙っていたんだ!水くさいにもほどがあるぞ!」
 「すまん」
 兄者は羅門のオーラパワーを打ち込まれる事によって卵の孵化を遅らせており、遂に素直に謝る兄者。
 「一甲、一鍬、チベットへゆけ」
 羅門が下忍軍団を蹴散らす見せ場の後、その姿を借りたシュリケンジャーが霞兄弟へ助言を贈り、東映特撮においてチベットといえば、東南アジアの暗黒街の伝説の黒幕にして、バラモン密教を操る、謎の怪僧ブラック・タイガーがやってきた土地にして、人類基板史の始まりであるボードストーンの発見された場所ですが、果たして兄者は、そこでどんなオーラパワーを身につけてしまうのか?!
 だが、ハリケンジャーの窮地を見過ごせず、自分が戦うべき場所はここにある、と高飛びを拒否した兄者は、一鍬と共にゴウライ神を召喚し、またもタガメ2号に苦しめられていた旋風神に助太刀。
 残り少ない命の使い道としてハリケンジャーの甘さを鍛え直すべく心を鬼にして憎まれ役を演じるみたいな事を言っていた気がするのに「待たせたなハリケンジャー!」とか言ってしまう兄者は、自分で作った設定を忘れていませんか(笑)
 合体しようとするWロボだが、タガメハリアーのスピードによりシノビボールが奪われ想定外の大ピンチ、と思ったところに天空神が現れると新たな武装・スパイダーキャッチでタガメをひっくり返してボールを強奪し、今作も追加武装の見せ方にはなかなか苦労している感。
 タガメ2号は挿入歌バトルで大爆殺されるが、マンマルバの念波により、宇宙サソリの孵化を遅らせる事が不可能になってしまう。
 「これが、俺の宿命なのだ」
 迫り来る己が運命を受け入れる兄者に残された時間は、次の満月まで……だがマンマルバもまた、自身に迫る不吉な気配を感じていた……でつづく。
 兄者の宇宙サソリ問題は個人的な好みからは外れてどうも盛り上がれず(延々と状態異常を引きずって実力を発揮できない、みたいな状況設定があまり好きではない)、早めに解決してほしいというのが正直。