『忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第１３－１４話
◆巻之十三「ヒゲと婚約指輪」◆ （監督：小中肇 脚本：前川淳）
ゲラッパゲラッパ♪ ヒゲヒゲ♪
ジャカンジャは「人類皆ヒゲラッパ作戦」を発動し、ナマズ忍者の宇宙忍法ヒゲラッパにより人々が次々とヒゲラッパ下忍へと洗脳されてしまう。
一方、仕事でケーキ屋の店番をしていた鷹介だが店長が婚約指輪を紛失してしまい、初対面の臨時バイトにいきなりシリアスな語りを始めたかと思ったら、やたらと諦めの早いケーキ屋の店長が、どもうノリにくいゲストキャラ。
……なお店長から見ると、店番を依頼した会社とは関係のない女（ヘルプで呼び出された七海）を連れ込んでいるように見えますね鷹介。
ジャカンジャの作戦名やヒゲを付けて無表情でステップを踏む人々、店長をいきなりコアラに例える鷹介など、どちらかといえばナンセンス寄りの面白さ狙いだったのではと思われるのですが、ジャカンジャ側の作戦のトーンと、鷹介サイドの微妙にシリアスなストーリーが全く噛み合わず、これなら鷹介サイドもドタバタ喜劇寄りで良かったような。
また、ナマズ忍者の活動に気付いて３人合流するも、介護の仕事をしていた吼太は鷹介＆七海の勢いと話の流れについていけない、というのも、吼太が真面目に仕事をしている姿が描かれているだけに、あまり面白く感じず。
指輪回収に燃える赤は変化の術でエアロスミス、そして青が乱舞斬りを決め……そういえば……黄だけ、乱舞斬り使えない……？
ヒゲラッパ作戦とか興味ないと言いつつ、なんだかんだ邪魔をしにくるゴウライジャーは盗んだアクスを振り回すが、旋風神の新カラクリボールが完成し、炸裂するガトリングレオ！ ナマズ忍者は無数の弾丸で肉片と化してカブト神は撤収し、婚約指輪の回収にも成功して大団円。
店長の恋の行方がオチまでたっぷり尺を使って描かれるのも正直困惑するのですが、何か、特別なキャスティングだったりしたのでしょうか……店長に肩入れして走り回る鷹介（＆七海）を気持ち良く見るには、まず店長に好感を持てないと難しいのですが、そこの構築が出来ないまま突っ走った上に、エピソードを構成する「敵の作戦」「鷹介が関わるトラブル」の二つの歯車が噛み合わないままギャップの面白さも生まれず、物足りない出来。
◆巻之十四「泣き虫とあめ玉」◆ （監督：小中肇 脚本：酒井直行）
見所は、爆発の中を駆け抜ける５歳児。
減点続きでだいぶ立場の悪くなってきたチューズー坊が切り札として招聘したのは、８７の星を腐らせてきた実績を持つタコ入道。その墨を吹き付けられた者はバックトゥ忍術を発動すると子供に戻ってしまい、鷹介がなんと五歳児に！
「俺は子供の頃から怖い物知らずなの！」
は勿論布石で、大変泣き虫な鷹介５歳を連れながら七海と吼太は追っ手をかわし、５歳児（設定よりはもう少し年長に見えますが）を抱っこしたり背負ったりしながらの芝居が、割と大変そう。
おぼろの情報により、タコ入道が奪い取った人々の経験エネルギーを集めている蛸壺に辿り着く七海と吼太は待ち受けていたタコチューコンビの前に苦戦するが、チビ鷹介が蛸壺に突撃して経験エネルギーを奪い返し、見事に復活。
直情径行の主人公が子供に戻ると……から、勇気を奮って行動する事で逆転に導く、という実にセオリー通りの展開ですが、そこに至る心情の動きが、だいたい「忍者だから」で処理されていくのは、大変『ハリケン』らしいスタイル（笑）
子供はみんな、忍者に憧れるものなのです！
復活して絶好調の赤は、変化の術で戦車になるとチューズー坊を吹き飛ばし、タコ入道は新必殺剣で切り刻み、トリプルガジェットで成敗バイ（個人的には割と好きなのですが、決め台詞として用意したとおぼしき割に劇中でほとんど使用されないのは、現場で不評だったりしたのでしょうか「成敗バイ」……）。
ハイペースでカラクリボールが投入され、膝ドリルを装着した旋風神は、蛸入道をニードリルクラッシュの餌食とし、新装備を膝に付けるのも、必殺技がそのまま突撃なのも、なかなかの思い切りの良さ。
「貴様が今回手助けは無用と言った筈」
「大口を叩くのなら、俺たちぐらいの力をつけてから言うのだな」
タコの最期を見届けたゴウライジャーはおもむろにカブト神を起動させると、腹心の死を嘆くチューズー坊からの抗議を一笑に付し、凄い悪役感（笑）
カブト神は自前のカラクリ魔剣を手にするとカラクリ剣玉を跳ね返し、その攻撃で二枚のシノビメダルを破壊すると満足して帰還。「毎回、轟雷神を出す縛り」があるのでしょうが、エピソードの中心から外れて「ジャカンジャの作戦を大してフォローしないが、最後に自分たちの強さだけアピールして帰っていく兄弟」が続くと、何したいんだこの人達……感がどうしても強まってしまい、そろそろちょっと厳しくなってきたところで、次回はスポット回？
