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海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・第10話

◆第10話「トランプ勝負」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)

 ――「ジャックのJ、エースのA、キングのK、クイーンのQ、ジャッカー、ジャッカー電撃隊

 海賊たちはゴーカイガレオンでカードゲーム中……自信たっぷりな表情で最初にワンペアを出すマベ……マベ……もしかしてブタとワンペア以外、出した事がないのでは、マベ……。
 「それにしてもジョーってカード強いね~」
 「普通だ。それに、ルカが本気出せば俺も勝てない」
 「本気、ってどういう意味ですか?」
 「……さぁねぇ」
 ルカがあからさまに誤魔化したその時、ザンギャック艦隊の大攻勢が行われ…… 前作『ゴセイジャー』で冬の劇場版(『vsシンケン』)を任された下山さんが参戦。
 冒頭からCGで派手な巨大戦が描かれ、艦隊の中に特別破壊部隊の戦艦を見つける青。特別破壊戦艦は超威力のギガロリウム砲を搭載しており、そのエネルギー源であるギガロリウム自体が星を消滅させかなねい爆発力を持つ事から、戦艦を落とさずにギガロリウムを奪い取る為、ジョーとルカが戦艦に潜入する事に。
 劇場版との撮影の兼ね合いでこのコンビになった模様ですが、内部情報を知るジョーと、盗賊ルカという事で納得の組み合わせ。
 ボウケン青黄となってアタック!するのはおいしく、首尾良く潜り込んだ二人はルカの用意した雑な変装セットでゴーミンに紛れる事に……が脚本ベースのアイデアかはわかりませんが、傾向的には下山脚本回らしいノリではあり、こういうアイデアをナンセンス寄りの笑いとして受け止められるかどうかで下山脚本への評価が変動しそうですが、個人的にはなかなか、下山さんへの信頼度が上がらないポイントであります。
 成り行きで艦内賭博に付き合わされる事になりイカサマで連勝を重ねるルカだが、あまりに勝ちすぎてギャラリーを集めた末に破壊戦艦を指揮するヒトデ隊長に見咎められてしまう事に。
 「本当の勝負師というものを見せてやろう」
 「……わかった。ならあたしじゃなくジョーが戦う」
 「俺?!」
 暴力の代わりにカード勝負を持ちかけられたルカはジョーを指名するが、俺ルールでゲームを進めるヒトデ隊長の前に大ピンチ。だが土壇場でロイヤルストレートフラッシュが飛び出してジョーが勝利を収め、結局暴力で解決……になろうとしたところで、マベ達もバケツ姿で参戦。
 実は最初から全て、ルカとジョーが囮になって艦内の注目を集めている内に(手段は臨機応変という事だったのでしょう)、マーベラス達がギガロリウムを回収する手筈だったのだ、と種明かしがされて、ここからは派手に暴力の時間だ!
 5人並んで戦闘開始、のところで青黄と緑桃の武器交換が発動すると、真ん中のキャプテンの余ってるだろ感が激しいですが、今作主題歌でのバトルとなり、どうしてもこちらの印象が薄くなりかねないという点はやはり、レジェンド回の選曲において少し考えるところがあったのかな、とは思われます。
 ヒトデ隊長の繰り出す百人一首じゃなかったトランプ手裏剣に対して、ゴーカイジャーは、J・A・K・Q、ジャッカー! ビッグワンを担当した黄が音頭を取っての海賊版ビッグボンバーが炸裂し、本来の変身者のインパクトが強すぎる事もあってか、スカート仕様のビッグワンは、違和感強め(笑)
 巨大化したヒトデ隊長に対し、テーマ挿入歌に合わせての巨大戦となり、ゴーカイオーにギガロリウムを投げつけられたザンギャック艦隊は大損害を出し、ヒトデ隊長はライオンゴーカイオーにて瞬殺。
 再びカードゲームに興じてマベが圧倒的弱さを見せつける中、ヒトデ隊長との勝負でジョーが引いたロイヤルストレートフラッシュはルカのイカサマによるものだった事が明かされて、つづく。
 東映特撮的には、浦沢-大和屋ラインであり、後に『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のメインライターを務める下山さん、荒川-香村、と来て下山さんだと、個人的にどうしてもバイアスがかかってしまうのはありますが、細かいニュアンスで奥行きをつけていくよりも、わかりやすくインパクトのあるアイデアを中心にして、全体的にキャラの感情の起伏が激しくなる印象。
 勿論それが年間の振れ幅として良い形に出る場合もありますし、下山さん自身はそれが戦隊において“求められている役割”として捉えている節はなんとなく窺えるのですが、個人的にはもう少し丹念なアプローチの方が好みではあり。
 ただ、レジェンド回はレジェンド回の難しさがある一方である程度やる事を固められるのに対して、レジェンド回とレジェンド回の“繋ぎ”にせずに『ゴーカイ』固有の面白さを出す必要のある非レジェンド回には非レジェンド回の難しさがあり、エピソード単位での構造的な破綻はなく、長丁場の作品に必要な緩急と見れば、及第点とはいえる出来。
 次回――殿下降臨! 姫! 更にはジョーの過去まで?! と盛り沢山。