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館長はベース

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第11-12話

◆巻之十一「夢喰いと再出発」◆ (監督:橋本一 脚本:宮下隼一)
 ゴウライジャーに完敗し意識不明のハリケンジャー、ジャカンジャの悪夢忍法に囚われた子供達を助ける為に、同意なく夢の中に送り込まれる(笑)
 ヒーローだから頑張れ、みたいな勢いなのですが、意識不明でうなされ続けて三日目のメンバーへの扱いが、鬼。
 そこで3人は“理想の夢”に取り込まれ……鷹介は、チャイナドレス派。
 七海は歌で宇宙を救い(「ヤック・デカルチャー!」)、吼太は子供達と楽しくお遊戯……している内に突然、夢の世界である事に気付き、ここで吼太だけが敵の忍術を打ち破れた理由が特に描かれない為に、その後の説得も悪夢の克服シーンも全くノれず。
 夢の中に逃げずに現実と立ち向かわなくてはいけない、というテーマを、愛犬の死を悲しむ少女と、ゴウライジャーの恐怖に脅えるハリケンジャーを重ねて描く筋は悪くなかったと思うのですが、なぜ吼太は戦えたのか? という理由付けとその劇的な描写が存在しないので、それによるスイッチの切り替えと、その後の展開の説得力、の全てが連鎖的に消滅してしまいました。
 バク忍者に立ち向かうイエローの姿に鷹介と七海が目を覚まし、「夢の中とはいえ、ごめん!」としっかり謝罪をして仲直りする『ハリケン』スタイルが貫かれているのは今作の気持ちの良い部分ですし、バク忍者のデザインは秀逸だったのですが(ジャカンジャは基本、顔が“二つ”ある路線?)、物語として肝心の部分がすぽっと欠落している為に、中盤以降を全く面白く見る事が出来なかったのが残念でした。
 3人はゴウライジャーへの恐怖と悪夢をさくっと手裏剣で打ち破り、バク忍者の夢の世界から脱出すると、巨大戦ではカラクリ剣玉で成敗バイ。心と体の傷も癒え、地球を守るために再び立ち上がるのであった、でつづく。
 初見の監督でしたが、ウェンディーヌや霞兄弟の撮り方が、やたらとセクシー路線。顔のアップの多用が、個人的には苦手なタッチ。

◆巻之十二「テッコツと父娘」◆ (監督:橋本一 脚本:荒川稔久
 活動再開したハリケンジャーは金属と同化する能力を持つメタル忍者を夜陰に追い詰め、格好いい夜戦からスタート。
 車と同化して逃亡するメタル忍者をカイトですれ違いざまに切り払うと、ひっくり返った車が派手に大炎上し、セミ忍者を追いかける際にも使っていましたが、じわじわとカイトの劇中使用が増えているのは作品の特色になって嬉しいところです。
 ハリケンジャーはメタル忍者をトリプルガジェットで消し飛ばして成敗バイし、大勝利のねぎらいの場を設けようとするおぼろだが、監視を怠るべきでないと館長がこれに反対。口やかましく細かい駄目出しの多い館長に日頃からイライラの募っていたおぼろは、こんな事もあろうかと用意していたカラクリハムスターボールに館長を詰め込み、とうとう、発・射。
 誰よりもストレスの溜まっていたおぼろは3人を連れて街に繰り出すとゲーセンで大暴れし、従来シリーズでいうところの「長官と博士」ポジションを分業すると同時に、「父と娘」でもある館長とおぼろの関係を掘り下げ。前回に続いてゴウライジャー祭からの一休みといった内容で、万能博士キャラだったおぼろの悩みや人間味の部分にスポットを当ててくれたのは、今後の為にも良かったところ。
 発射された館長は宇宙へ、じゃなかった飛び込んだ先のマンションで親に愛されていないと悩む少女を諭し、おぼろは鷹介の偶然見た日記から館長の親心を知り、他人の日記を見るのはまあともかく、口うるさくてあれこれ面倒くさいたまにヒマワリの種に辛子を仕込みたくなる事もある館長だけど娘に誤解されたままなのは納得いかない、と二人の間を取り持とうとするのは、鷹介のいいところが出ました。
 二組の親子の修復が描かれる中、実は無数の細胞に分裂して高層ビル群に取り憑いていたメタル忍者が活動を再開し、このままでは細胞の融合により、超巨大メタル忍者が誕生してしまう!
 その危機を止めようとする旋風神だが轟雷神の邪魔が入り、激突する両者の背後で成長していく巨大メタル忍者と、巨大戦の周囲でスライドしていく高層ビルやマンションは大変面白い映像。
 轟雷神に苦戦する旋風神は奥の手として煙幕を放つと、気配を読んで繰り出された轟雷神の必殺攻撃のタイミングで分離。ライオンとイルカが正面から轟雷神に突撃している間にタカが巨大メタルに突っ込んでいく捨て身の囮戦法でメタル忍者を焼却する事で勝負に負けて試合に勝ち、下手すると七海と吼太があっさり殉職するところでしたが、忍者にとって命令は絶対なのだ!
 ゴウライ側の格を下げず、奇策によって“本来の目的”を果たす事で、ハリケンジャーにとっての優先順位を履き違えない事がより大きな勝利に繋がるのは、良いバランスでした。
 融合しようとするマンションに取り残されていた少女&ハムスターは、フルアーマーおぼろにより炎の中から救出され、割と、思い切り、燃やしかけていたぞ鷹介(笑)
 「これでも、特忍課の487期生や! あんたらの大先輩や!」
 特忍課が他の課と同時にスタートしていたかはわかりませんが、仮にそうだった場合、507期生の鷹介たちの20上となり……まあ、そんなものか。推定40前後のおぼろさんを「年頃の娘」と表現するところに、館長の愛を一番感じました(笑)
 二組の親子がめでたく仲直りし、早くビジュアル系に戻りたーい、という館長の魂の叫びが流されて、つづく。