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轟雷者見参

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第7-8話

◆巻之七「雷とニンジャ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:宮下隼一)
 空間と空間を繋ぎ合わせる忍法を操る、次元ブタ忍者が街に出現。無事に二年生に進級した鷹介たちは久々登場の気がするウインガーで街へとひとっ飛び(忍者といえば凧だよね、という『仮面の忍者赤影』のオマージュおよび現代風アレンジだったのかと思われ、EDでは非常に推されているのですが、いかんせん、本編に盛り込むのは難度高めだったでしょうか)。
 ブタ忍者が繰り出す次元蓋の中に飛び込んだ3人は、いっけん普通の街並みの中で自転車に乗った小学生の集団に切りつけられ、映画館では銀幕の中から攻撃を受け、挙げ句の果てに戦車の砲撃を受ける大変伝統的な東映異世界というか小林義明オマージュというかに苦しめられるが、そんな奇天烈な空間移動を楽しむ余裕を見せると、ブタ忍者の動きを見切って反撃に転じる成長を見せつける。
 一方、予言を馬鹿にされて自ら外に飛び出したまん丸(七本槍に名を連ねている割に、今回完全にマスコットポジション)は、二色の雷が閃く時に現れる二つの影を見出し、宇宙忍者要塞ム・カデア・クーへと連れ帰る。
 「ゴウライジャー、とでも言っておこうか」
 「どうだ、我らを雇わぬか」
 ジャカンジャに売り込みを図る新たな二人の地球忍者だが、報酬に“アレ”を求めた事から交渉は決裂。ジャカンジャからはブタ忍者が再び出撃し、「作戦の第二段階」と称する事や、突然やたらと強くなっている事から、恐らくは「初戦で油断させて次で本気出す」作戦だったのかと思われるのですが、そこに一切言及が無い為、何が「第二段階」だったのかわからないままハリケンジャーの逆転劇となってしまったのは残念(ブタ側の作戦が示されないと、まんまと油断したが平時の訓練をバネにその逆境を乗り越えるハリケンジャーの姿が劇的にならないので)。
 「セイ!」
 「「「バイバイ!!」」」
 スクラム攻撃と一緒に練習していた勝利の決めポーズで爆発に背を向けるハリケンジャーだが、初お披露目の真っ最中に卑劣な不意打ちを受け、爆炎の中から姿を見せたのは、謎の忍者2人組ゴウライジャー!
 「ロスタイムぎりぎりの大逆転……というところだな」
 「しかし、残念だが、延長線だ」
 前作『ガオ』でも巨大ロボがサッカー絡みの必殺攻撃を行っていたので、2002日韓ワールドカップを意識したサッカー台詞でしょうか。
 疾風流の因縁の競争相手である迅雷(いかずち)流・伝説の覇者を名乗ったゴウライジャーはハリケンジャーに襲いかかり、圧倒的な力量を見せつけると迅雷丸を振り上げるが、そのタイミングでブタが巨大化。旋風神で巨大ブタを葬ったハリケンジャーの呼びかけに対し、変身を解除したゴウライジャーは昆虫ジャケットを力強く見せつけ、じゃなかった、その素顔を見せると3人を鼻で笑い、カブト担当・霞一甲(いっこう)とクワガタ担当・霞一鍬(いっしゅう)の兄弟は、果たしてどんな嵐を巻き起こすのか?!
 正直、素顔よりも、大写しになった背中のカブトムシマークとクワガタマーク(やたら出来がいい)の方が印象に残ってしまったのですが、昆虫アピールの熱いそのジャケットが、いずれ大変暑そうで気になります(基本的に今作、変身前も後もピチピチ路線であり)。
 第1話から存在が示されてはいましたが、疾風流のアニマル忍者に対して迅雷流のインセクト忍者がいよいよ本格登場。
 宮下さんと昆虫というと、『重甲ビーファイター』『ビーファイターカブト』(1995-1996)を思い出すところですが、そのニンジャスーツには、昆虫魂が注入されていないか、ドキドキします(※『ビーファイター』世界において「昆虫」とは繁殖・特攻・自決を合言葉とする宇宙最強の戦闘種族であり、ビーファイターの戦闘スーツにはそんな昆虫たちの生命エネルギーが宿っているのだ!)。
 イメージカラーは赤と青ながら、トータルで明るい色調のハリケンジャーに対し、下半身真っ黒で差別化し、渋めの格好いいデザインですが、感想書き的には、簡易呼称にちょっと困っております(笑) ……一文字に収めようと思ったら、朱と紺か。
 数と色的にはテントライジャー(黄)とかも居そうですが、実在したら末の妹が担当になりそうであり、その場合、甲鍬は間違いなく熱烈なシスコン風評被害)。

◆巻之八「疾風と迅雷」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:宮下隼一)
 500年前の御前対抗戦に敗北して以来、その名の継承を封印された筈の暗黒の忍び・ゴウライジャー。それを知った鷹介たちは、ゴウライジャーが突っかかってくるのは流派のライバル意識に違いない、と疾風流も迅雷流もなく共にジャカンジャと戦う希望を抱いて説得へ。
 だが笑顔とガッツポーズで「一緒にジャカンジャを倒そう!」と持ちかけるも鼻で笑われ、大変、芸風が合わなそうです。
 地球の水を涸れさせようとするカエル忍者が現れ、立ち向かうハリケンジャーだが思わぬ多彩な忍術に苦戦。それを見下ろしていた霞兄弟は満を持して戦場に降り立つとシノビチェンジを行い、昆虫型のチェンジャーでゴウライジャーへと変身。
 迅雷流らしく、暗闇を稲妻が駆け巡るエフェクトが格好良く、闇の中に立つ、暗黒の忍び――
 「深紅の稲妻――角忍カブトライジャー!」
 「蒼天の霹靂――牙忍・クワガライジャー
 「影に向かいて影を斬り」「光に向かいて光を斬る」
 「「電光石火・ゴウライジャー見参!」」
 というわけで自己申告により、簡易呼称は紅と蒼で。
 カエルに殴りかかったゴウライジャーは、棒・円・十字と形態を切り替える迅雷丸、ホーンブレイカーとスタッグブレイカー(こちら完全に『ビーファイター』のクワガタ緑の個人武器)のゴウライガジェット、そして二つのガジェットを組み合わせた砲撃形態による連結兄弟キャノンを矢継ぎ早に見せつけると、「サンダー!」にてカエルを爆殺。
 シノビマシンの出撃シーンにたっぷり尺を採った旋風神はオタマジャクシ爆弾攻撃に大苦戦するが、おぼろが机の上の剣玉を見てひらめキング。山羊ハンマーと亀ハンマーを合体させてカラクリ剣玉を作り出すと、忍法世界一周で巨大カエル忍者を成敗バイ。
 これにて街には水が戻り、海を見つめて背中を向けるポーズで待ち構えていた霞兄弟に笑顔でアプローチする鷹介たちだが……
 「俺達には仲間も流派もない」
 「地球の運命にも、俺達はなんの興味もない」
 カエルを倒したのは、地球から水が無くなればアレが生まれないからであり、アレを手に入れる為にはジャカンジャであろうとハリケンジャーであろうと斬る、と名乗りに続いて『魔界転生』宣言。
 「わかんねぇよ……仲間も地球もないなんて、俺には全然わかんねぇよ!」
 はからずも、“アレ”というジャカンジャの目的を知る事になる疾風流だが、ゴウライジャーの持つ情報に価値を認めたムカデ様は兄弟をムカデ城へと招き、それに応えて姿を消すゴウライジャー、でつづく。
 ここまで仲良し同期トリオを中心に展開していたハリケンジャーに、全く芸風の違うゴウライ兄弟が参戦する大波乱で、3人戦隊+2と思いきや、色は被っているしプレシャスの為なら強いもん勝ちだもんねぇの轟轟スタイルだし、と今見ても驚きのゴウライジャー(赤+黒のタイムファイヤーなど考えると、これもまた追加戦士の過渡期の作劇といえ、今見るからなお驚き、という面もありますが)。
 デザイン的には完全にヒーローなので、遠からず和解するのか……? とは思わせつつ、悪の組織と同盟を組む衝撃の展開で、かなり思い切った構成。ここまではかなりシンプルな作りだったのも、ゴウライジャーという爆弾の威力を効果的に引き上げてもいます。
 ここからが物語の本番という事になりそうですが、次回――髪型がかぶっている事をちょっと気にした二人の、ロン毛対決。負けた方は、明日から二つ結びだ!