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『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第5話

◆エピソード5「ショベローまかりとおる!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
 「対戦相手はメンバーを大胆に変えてきた。この戦いは、かなり苦戦すると思う。でも、みんなはいつも通り伸び伸びやってくれ」
 冒頭から本業でいいリーダーぶりを見せてくる為朝が素直に格好いい一方、珍妙で派手な制服姿で観客席に居る充瑠と瀬奈は、嫌がらせ、嫌がらせなの?!
 「おまえの天然ムカつくわー」
 「……え?」
 その頃、椰子の木基地ではショベルが、為朝がリーダーでない事にしつこく不平不満をもらしていた。
 「いつも冷静に作戦を立てとるのは誰じゃ? 充瑠がいい奴で凄いのは認めるが、リーダーに関しては、為朝も、絶対納得しとらん筈じゃ」
 ひとまず人間メンバーの方は充瑠をリーダーとして受け入れている現況で、魔進には魔進なりの思惑とこだわりを描く事で存在感と個性を出しつつ、「充瑠がいい奴で凄い」のは認めている事により、必要以上に嫌な感じにならないのは、絶妙なバランス。
 今回、ショベルが部分的に“為朝の本音”を代弁している構造なのですが、かつて自らのエゴで取り返しのつかない欠落を味わった為朝が、身内相手にはズバズバと物を言う一方で、チーム全体のまとまりの為には自分のエゴは表に出さないよう努めている事が見え隠れ。
 つまるところ、為朝の現時点での充瑠評は「いい奴で凄いのは認めるが、天然ムカつくわー」なのかな、と(笑) 自分には思いも寄らなかった発想でチームの“和”を保ったのは、為朝的にかなりポイント高かったのかも、と思えます。
 当の充瑠も為朝も知らぬ所で、キラメイジャーのリーダーを巡る場外乱闘が勃発しようとする中、地球で3つのキラメイストーン――意志を宿した巨大な魔法の鉱石――が発見される。新たな仲間が増えるのか?! と色めき立つ魔進達だが、地球産キラメイストーンはまだ若く、魔進にするには状態が不安定。博多南からは禁止令が出るが、あまり話を聞いていない魔進が約1体……。
 「魔進を増やせる?! 儂等の時代が来る予感ー」
 勝手に捲土重来を目指す黄色連合の思惑はともかく、街に邪面使が出現し、時雨と小夜が謎の「了解」ポーズを取って出撃するのですが、今後恒例になっていくのでしょうか。今回、名乗り時の一声が無かったり、細かい約束事の部分でまだ演出陣の統一が取れておらず、各監督が色々と趣向を凝らしている段階の様子。
 ターゲットロックした標的を自在にコントロールする能力を持ったジョイスティック邪面に青が操られてしまうキラメイジャーだが、ドクター大治が患者制圧術を披露して青を取り押さえている内に、黄の鮮やかな指示による連携攻撃でジョイステックの能力を封じ、邪面師は一時撤収。
 この活躍にますます気を良くしたショベルは、連絡役の瀬奈を伴って仕事に戻った為朝にハイテンションで通信。
 「為朝! やっぱおまえはリーダーにふさわしい! 待っとれ、儂が革命を起こす」
 大変不穏な事を言い出す(笑)
 ……貴方がた、武力革命で故郷から追い出されたの忘れたの?!
 為朝が仕事中、ショベルは密かに充瑠に連絡を取って新たなキラメイストーンの情報を伝えると、「姫から秘密の指令」と偽って魔進へのひらめキングを依頼し……思いきり人間を騙しに来たぞこのキラメイストーン(笑)
 影でそんな事態が進行しているとは露知らず、ひとまず試合に勝利するチーム為朝(なんか横文字で長い)だが、試合を終えてもショベルとは連絡取れず。
 「たく……何考えてんだあいつ」
 「為朝くんとショベローって……微妙なコンビだよね。タイプ的には全然違うっていうか」
 「まあなぁ……あいつとぼけてるし、すぐ腰が痛いとか言うし。困った奴だよ。……けど、死んだ爺ちゃんに似てんだ。いろんな事教えてくれて、一緒にゲームもしてくれて、本気で勝つ事教えてくれたのも爺ちゃんだった」
 だがある日、欲しかった物とは違うゲームを買ってきた祖父と喧嘩をし、きつい言葉をぶつけてしまった夜に、心筋梗塞で倒れた祖父はそのまま帰らぬ人となってしまう……。
 「滅茶苦茶……トラウマじゃん」
 「だから、なんかショベじいにはきつい事言えねぇんだよ」
 重い記憶を割合さらっと瀬奈に話す為朝ですが、これもまたチーム全体の事を考えた上での行動とも取れますし、ショベルのみならず為朝の方からも「ショベじい」呼びで擬似的な“祖父と孫”の関係が明確な事から、為朝にとってショベじいとの関係性は「過去のやり直し(或いは贖罪)」であり、同時にそれが、“抱えているトラウマを和らげてくれている”からこそ瀬奈に話せるようになっている、そして“救われている”自覚があるから「きつい事言えねぇ」とも思えます。
 …………ホント真っ直ぐだな為朝!
 出だしは斜に構えたクール(気取り)ポジションかと思われた為朝ですが、メンバー随一の真面目な常識人であり、後は小夜回次第ですが、このキラキラした真っ直ぐさというのが、今作メインメンバーの共通したコンセプトであるのかも(時雨は根本のところで若干角度が付きつつ、真っ直ぐは真っ直ぐ)。
 一方、孫煩悩に真っ直ぐなショベルの思惑に乗せられて充瑠は若い3つのキラメイストーンに魔進の姿を与えてしまい、地球産のキラメイストーンから、リフトン、ローランド、キャリー、の3体の魔進が新たに誕生。
 最初の追加装備は「地球からもキラメイストーンは生まれるよ!」と力技で来ましたが……これ、姫様の乗った白いキラメイストーンが大地に突き刺さった事で地球の地殻に影響を与えているのでは…………。
 「そう! 白いキラメイストーンこそ我がクリスタリアの最終侵略兵器! 惑星そのものを、我々クリスタリア人の生存に適した結晶惑星へと変貌させるのだよ……煌めこうぜ!」
 「そのポーズは、まさかお父様?!」
 「わかったかマブシーナ。兄上と私は、星の寿命が近付いたクリスタリアを捨て、第二のクリスタリアを作り出すべく、ヨドン軍を利用していたのだ」
 「既にヨドン皇帝は我が必殺きらめキングダムの軍門に降った。さあマブシーナ、父の元へ戻るのだ」
 明かされた恐るべき真実! 地球を狙う本当の敵はクリスタリアだった! ヨドン軍の卑劣な策略による婚活詐欺に引っかかり、ショックのあまり全財産をマカオで溶かした博多南の支援無しに、キラメイジャーはこの危機を乗り越える事ができるのか? マブシーナと魔進たちも激しい困惑から分裂状態に陥り、ココナッツタワーも陥落したその時、ヨドン軍を追われカレー屋に住み込みで働きながら保険勧誘員のアルバイトをしているクランチュラが充瑠たちに救いの手を差し伸べる……?!
 次回――『魔進戦隊キラメイジャー』エピソードXX、「キラメイナイトは許さない」にキラメイゴー!
 ……激しく脱線しました。
 本部から連絡を受けた為朝と瀬奈が慌てて戻ると、そこではショベルが得意満面。
 「おいショベじい! なんでこんな事!」
 「驚いたか?! これでおまえも、望み通りリーダーじゃぁ」
 「はぁ?! おいおい……」
 キラメイジャーのリーダーは、赤い魔石と共鳴したものというのがクリスタリアのルール。ならば……
 「儂はこいつらと組んで、キラメイジャーと並ぶ、新たなチームを作り、為朝を、そのリーダーにするだけです。名付けて……為朝戦隊・タメスキジャー!」
 新戦力を麾下に加える事で、“為朝がリーダーの新たなチーム”を作ってしまえばいい!!
 ……てっきり、博多南が禁止した新キラメイストーン魔進化を充瑠の独断専行と偽ってリーダーとしての権威を失墜させ、権力闘争はクリスタリアの日常茶飯事、この程度は権謀術数の内にも入らぬ児戯の類いよ、と追い落としを図り洒落にならない不和を引き起こすのかと身構えていたら想像よりはだいぶ素朴でしたが、既存のルールは守りつつその隙をついて新たな場面を構築するやり口には、意外な煌めきも見えます(この辺り、為朝と共鳴した所以でしょうか)。
 「おい……いい加減ガツンと叱った方が良くないか」
 他のメンバーが居ないとチームが成立しないのでは、と真っ正面から充瑠に指摘を受けて建機軍団による謀反は水泡に帰すが、事が事だけに対応を迫られる為朝。その時、再び邪面師反応がキャッチされてキラメイジャーは出撃し、充瑠にもリーダーらしい戦い方が出来たら元のチームに戻る、とショベルと約束を取り付ける為朝だが、その充瑠がいきなりターゲットロックされてしまう。
 博多南が起用に操る中継カメラを魔進達も固唾を呑んで見つめる中、仲間に襲いかかる充瑠だが、自力でコントロールに抵抗すると苦戦する黄を助け、物凄く嘘っぽい動きでばっさばっさと生身で戦闘員を蹴散らしていく大活躍!
 変身時以上ともいえるキレのある動きで暴れ回る充瑠だがそれもその筈、全ては「時雨が押さえつけたジョイスティックで、俺が充瑠を操り、ショベじいも驚く大活躍をさせる」事でショベルを納得させる為朝のプラン通りであり、生身充瑠は為朝の華麗なスティック捌きにより常以上の身体能力を引き出されていたのであった……て、翌日、地獄の筋肉痛に苛まれそうで、ちょっとドキドキ。
 充瑠の華麗すぎる戦いぶりに感銘を受けたショベルは、思い違いをしておったと反省して元のチーム戻る事を宣言し、キラメイジャーさえ操る特殊能力そのものは強力だったのに、総出の芝居の便利アイテムとして踏み台にされるジョイスティック邪面は、だいぶ可哀想(笑)
 改めての揃い踏みからジョイスティックはさっくりゲームオーバーとなるが、保険適用で怪獣は出現。クランチュラとガルザのやり取りから、怪獣はタイプ違いの量産型+仮面によって特殊能力の差別化、であると判明し、毎度新怪獣作るの大変そう……と思っていたので、ベースモデル+アレンジ、というシステムで大変納得。
 地上に出現したUFOキャッチャー怪獣の不気味な動きに苦戦するキラメイジンだが、そこに爆走建機軍団が参戦して援護攻撃。更にショベルの発案で赤がひらめキングし、3体はそれぞれシールド(キャリー)・コロコロ(ローランド)・フォーク(リフトン)の追加武装へとチェンジ。
 コロコロ(くすぐれるハンマー)の無理矢理感が目を引きますが、とにもかくにも怒濤の連続攻撃からキラメイダイナミックでフィニッシュし、革命の危機を回避したキラメイジャーは新たな戦力を仲間にするのであった。
 「すみません、ショベローが、ご迷惑をおかけして。これからも、相棒として、お付き合いいただけますか」
 「ああ。……あいつ、俺の本音を一番わかってくれてたからな」
 「ええ?! じゃあ、望み通りリーダーっていうのは……」
 「……内緒な」
 為朝はニヤリと笑い、姫様はそんな為朝の姿と心意気に朗らかに微笑むのであった、でつづく。
 2-3話とはパターンを変え、キャラ×充瑠ではなく、キャラ×魔進の相棒関係を掘り下げるエピソードになりましたが、興味深いのは、為朝は結局ショベルにガツンと言えないままで、搦め手による解決策を採っている事。
 なにごとも正面からぶつかるのが正解とはいえませんし、頭を使って人間関係を丸く収めるのは為朝らしくはありますが、行為としてはショベルを皆で騙している上に、ショベルに対する為朝の遠慮という根本的な問題は先送りにされているのが(必ずしも解決を必要としないとはいえ)、戦隊としては珍しい気がするアプローチ。
 まだ第5話ですので、両者の関係を今後も続けて掘り下げていく予定なのかとは期待でき、言い方はともかく全体の事を常に意識している為朝と、為朝が好きすぎて視野の狭くなりがちなショベじいのデコボココンボの先行きは、楽しみです(現段階では、熱血イケイケ充瑠大好きのファイヤーが一番無個性になりつつあるので、そろそろ来るであろう充瑠メイン回ではファイヤーの掘り下げも期待したい)。
 ……ところで、応援団が団扇とか振っていたタメくんもとい為朝ですが、今回のジョイスティック邪面の性格はもしかして、有り得たかもしれない初期為朝案だったりしたのでしょーか(笑)
 「君のハートにターゲットロック――ずきゅーん!(投げキッス)」
 ショベじいは為朝をそんな子に育てた覚えはありません!
 為朝とショベローの関係掘り下げから魔進(相棒)の存在感を増加させるのみならず、強化要素も詰め込んだ事でどうしても忙しくなる部分はありましたが及第点といえる内容で、これぐらいが作品標準のラインになってくれれば有り難い、といった出来。
 一気に三つ投入された新装備(ニュー魔進)は、個々の扱いは大きくないものの、第5話時点での装備数としてはスーパー戦隊史上最多でしょうか……?(笑) 今回限りでは問題なく魔進として働いていましたが、博多南の指摘した「成長途上で不安定」という部分が、ネガポジどちらの形でも良いので今後の展開で拾われてくれると嬉しい。
 一つちょっと気になったのは、充瑠→為朝が「タメくん」、為朝→小夜が「小夜ねえ」、など、二人称の距離感が全体的に急に縮まった気がする部分。あっという間にメンバーが馴染んでいる戦隊なので、そういう路線として違和感はないのですが、若干、二人称にブレがあるような無いような。
 充瑠の「タメくん」呼びは下手な戦隊だったら嫌がらせと受け止められて私闘が始まりかねないところですが、仲良き事は美しき哉。現在の世情や主演の療養もあって今後の制作状況が厳しくなっていく事が予想されますが、明るく楽しく煌めいていってほしいです。
 次回――初メイン回にしていきなりの5歳児?! 序盤から役者陣に色々やらせてくる今作ですが、小夜ねえは試練を乗り越える事が出来るのか。