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時を駆けるオーラ

光戦隊マスクマン』感想・第38話

◆第38話「タケルが消される時間」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 見所は、13年の時を超えて過去にメッセージを送る姿長官のオーラパワー。
 ……ホント出鱈目だな、この人(笑)
 ここまで37話、長石-東條の両監督だけで回してきた今作ですが、『フラッシュマン』の後、ローテを外れていた山田監督(病気療養との事)が復帰。後半差し迫ってからの初参戦の影響が出たのかはわかりませんが、冒頭、空手の冴えを披露するタケルを仲間4人が一斉に褒め称えるのが、いきなり首をひねる展開。
 「お利口さんでいい子で町内一の美少年、タケルちゃんていえば、まあ、みんなの人気者だったからねぇ」
 調子に乗って過去の自分について吹聴するタケルはともかく、それに皆がキラキラした眼差しを送りながら「さっすがタケル」と肯定するのは、ここまでのマスクマン像からはどうにも強い違和感が漂います。
 一方チューブでは、イガムが「あっと驚く奇想天外」な作戦を立案し、ダイムドグラーにタイムトンネルを開かせて、フーミンと共に過去の世界へ。異常反応を検知してダイムドグラーと交戦したマスクマンは、ダイムともどもタイムトンネルに吸い込まれてしまい、そこでイガム達に追われる過去のタケルと出会う。
 「俺だ……俺に間違いない!」
 イガムの刃が少年タケルに振り下ろされる寸前、久方ぶりの手裏剣が突き刺さり、ハルカさんホント高性能。
 「危ないとこだったぜ。この子が殺されると、ちょっとまずい事になるんでね」
 そして何故、タケルが格好つける(笑)
 とんだ悪ガキだった少年タケルは、マスクマンの話を全く聞かずに逃走してしまうが、過去の自分の行動を熟知しているタケルは、港に先回り。勉強嫌いで無鉄砲、街の鼻つまみ者だったタケルはこの日、外国に行けば誰にも怒られずに遊んで暮らせるに違いないと、子供らしい無謀さと行動力で船に潜り込もうとしていたのだった。
 「おまえは、辛い事から逃げようとしている。男の子のする事じゃないぞ」
 タケルは、13年後のタケル自身である事をやたら格好つけて説明するが信用してもらえず、そうこうしている内にイガム一派に追いつかれてしまう事に。
 「辛い事から逃げるような奴に、将来世界が守れるか?!」
 自称“13年後からやってきた自分”を名乗る不審なおじさん(11歳目線)に、そんな事言われてもな……。
 「男ならどんな困難にも立ち向かうんだ!」
 タケルは生身でダイムドグラーにゴッドハンドをお見舞いすると、5人はオーラマスク。
 「すげぇ……」
 色々と、不審も不満もあるけれど、仮面のヒーローに変身すると見入ってしまうのが、男の子の魂です。……という変身ヒーロー物のシステムが発動してしまった事で、生身の大人タケルによる少年タケルの説諭が吹っ飛び気味になってしまい、ここまで生身アクションに尺を採ってきた作りも、今ひとつ効果的にならず。
 悪ガキだった少年タケルが未来から来た不審者のオーラマスクに感化されて空手を学び、腕っ節の強さを手に入れた結果が、裏稼業の喧嘩屋(推定)という未来図に関しては、深く納得ですが(笑)
 トンネルに吸い込まれた時の事を思い出した赤がダイムドグラーの目を撃つと、タイムトンネルの帰り道が開いて一同揃って吸い込まれ……「駄目な悪ガキのままの少年タケルを捨て置けない」から改心させる事にこだわっていたタケルが、その成果を特に確認しないまま現在へ帰還してしまい、総じてキーの筈の少年タケルの扱いが雑になってしまったのは実に残念。
 ダイムドグラーの撃破後、閉じようとするタイムトンネルを通して、「男は逃げない」と立ち上がったタケル少年の姿を確認して満足する一幕は入りますが、流れとしては色々ちぐはぐになってしまいました。
 脚本ベースの問題か、演出ベースの問題かはわかりませんが、冒頭のマスクマン描写による違和感に始まり、妙にキザにキャラ付けされるタケルなども引っかかり、乗りにくかったエピソード。
 「じゃあな、タケル」と少年の自分にエールを贈って格好良く締めようとするタケルが、仲間達から一斉に非難の眼差しを向けられるコミカルなオチは、『チェンジマン』第37話(監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)を思い出すものがあり、この辺りは山田監督のテイストかなとは思いますが。
 ところで、13年前のシーンで気を失っていた少年タケルが目を覚ますシーン、少年が立ち上がるのに合わせて周囲に群がっていた鳩が一斉に飛び立つ映像はなかなか劇的なのですが、カット割っておらず、一体どうやって撮ったのか……。少年が寝転んでから周囲に餌を撒いて鳩を集めた?ところまでは想像つきますが(明らかに鳩が地面をついばんでますし)、果たして人が立ち上がったのに合わせてあれほど綺麗に飛び立ってくれるものなのか。現場で何か音を鳴らした、という可能性はありそうですが、たまたま綺麗にはまったのではなく意図的な演出だとしたら、何テイクぐらいかかったのか、ちょっと気になります(笑)
 次回――大変、井上敏樹な香りが漂う予告ですが、果たして。